エルトン・ジョンが一度は断ったザ・フーのカヴァー「Pinball Wizard / ピンボールの魔術師」

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いくつかのロック・スタンダードは決して他人によって作り変えられるべきではないが、別の独特な表現方法で披露されるのに素晴らしく適している曲やタイミングがある。それは、ピート・タウンゼントの『Tommy』を1975年に映画化した中で、ピンボールの魔術師の役の依頼を最初に断ったエルトン・ジョンが、映画監督のケン・ラッセルに出演してくれるように説得させられたときであった。

エルトン・ジョンはいつものチームのプロデューサー、ガス・ダッジョン、そして彼のバンド・メンバーのデイヴィー・ジョンストン、ディー・マレー、レイ・クーパー、ナイジェル・オルソンを呼び、ピート・タウンゼントが作曲したザ・フーの「Pinball Wizard(邦題:ピンボールの魔術師)」のレコーディングに正式に取り掛かった。合唱の導入後、デイヴィー・ジョンストンの甲高いリード・ギターが鳴り響く中、エルトン・ジョンはピート・タウンゼントのオリジナルのリード・アコースティックのギター・ラインの代わりに、彼の独特なピアノ・スタイルを追加した。

ピート・タウンゼントは彼の自伝『フー・アイ・アム』の中で、このカヴァーのレコーディング・セッションを鮮明に記述している。「エルトンはロールス・ロイスのファントムVでバターシーのスタジオに到着した。イギリス王女が乗っていたのとよく似ている。こんな車をロック界で見たのは、1967年のアンドリュー・オールダム以来だ。4時間以内でソロ、リードとバック・ヴォーカルを入れた曲を完成させたんだが、エルトンと彼のバンドがいかに迅速に効率よく作業するかを観察できたのは貴重な体験だった」。

エルトンによる「Pinball Wizard」のカヴァーは、アメリカでは映画のプロモーション用のリリースのみだったが、イギリスではシングルとして発売、1976年3月20日には36位にチャートインした。その後、21位まで上昇し、初のUKシングル・リリースの成功を味わっていたザ・ビートルズの「Yesterday」と並び、最高7位にまで達した。

トップ10に食い込んだエルトン・ジョンのカヴァーは、バーニー・トーピンと共に書いた彼自身の過去シングル3曲(「Philadelphia Freedom」「Someone Saved My Life Tonight(邦題: 僕を救ったプリマドンナ)」「Island Girl」)では達成できなかったことだった。事実、ザ・ビートルズの「Lucy In The Sky With Diamonds」のカヴァーが1974年のクリスマス前に10位にチャートインして以来、エルトン・ジョンにとって久しぶりのUKトップ10入りであった。

Written by Paul Sexton

 


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