デューク・エリントンのピアニストとしての能力にフォーカスした『The Duke Plays Ellington』

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ジャズとポップ・ミュージック史の初期における真の巨人、デューク・エリントン。彼は、その作曲家とバンド・リーダーとしての才能を正当に評価されている。しかし、個性的なスタイルを持つ名ピアニストであったという事実は、しばしば見逃されている。今まで彼の名で発表された大量のアルバムの中で彼のピアニストの能力にフォーカスした作品は、ほんの一握りだ。その中で、最も優れた作品のひとつである『The Duke Plays Ellington』をご紹介しよう。

このアルバムは1953年4月13日にレコーディングされた。ワシントンDC出身のデューク・エリントンは、54歳の誕生日の数週間前にハリウッドのキャピトル・スタジオに入り、ベーシスト(ウェンデル・マーシャル)とドラマー(ブッチ・バラード)と共に、8曲をレコーディングした。

簡素であるが親密なレコーディング・セッションは、デューク・エリントンの代表曲のひとつ、「In A Sentimental Mood」で始まる。この曲は1935年にビッグ・バンドの演奏曲として作曲され、のちにマニー・カーツが作詞した歌詞を入れたヴォーカル曲となった。ここでは、デューク・エリントンの上品で確かなピアノが、ブッチ・バラードの優しく、軽く触れるような演奏で穏やかに流れるバック・ビートの上を漂っている。このピアノ・トリオが1953年4月に蘇らせた名曲はこの他に、垢抜けた「Prelude To A Kiss」がある。1938年作曲のクラシック音楽の影響を受けている曲だ。

また、これも彼のファンに良く知られている曲で、『The Duke Plays Ellington』でミッドテンポのブルースとして蘇った「Things Ain’t What They Used To Be」は、デューク・エリントンの息子マーサーが1942年に作曲したものだ。その他の曲は、デューク・エリントンがこのアルバムのために特別に提供した最新曲だった。

デューク・エリントンの音楽へのブルースの影響は、陽気な「B Sharp Blues」で明らかに証明されている。この作曲家/ピアニストはこの曲で、不協和音を使ってメロディにスパイスを加えている。それとは対照的に、美しい「Reflections In D」は高揚感のあるバラードで、鮮やかなコードが重なって幻想的な空間を創出している。デューク・エリントンが彼の主な共作者の一人のビリー・ストレイホーン(デューク・エリントンが生涯お気に入りだった「Take The A Train」の作曲家)と書いた「Passion Flower」では、よりエキゾチックな雰囲気がかもし出されている。

感情的な楽曲を創造できるだけでなく、デューク・エリントンはスウィングの仕方も知っていた。明朗で打楽器的なピアノが披露されている「Who Knows」がいい例だ。このオリジナル・アルバムを最後に締めくくる曲が「Janet」。これもテンポの速い曲だが、すぐにギアを変えて、柔らかなタッチの優しいリズムの瞑想できるバラードになり、再びオリジナルのテンポに戻るという気まぐれな性格を見せている。

1989年のCD再発アートワーク

『The Duke Plays Ellington』は、最初に1954年にキャピトル・レコードから10インチのLPとしてリリースされたが、その後12インチ・レコードが音楽業界の常識になった1958年に、1953年の4月14日にレコーディングした4曲を追加して再発された。追加曲のうちの2曲は驚異的なバラード、「Melancholia」と「Retrospective」(ピアノの内容としては、2曲目の方が凝っていてドラマチック)、そして40年代のデューク・エリントンの曲を改作した「All Too Soon」と、陽気なピアノのリズムの鮮やかなメロディが乗る快活な「Dancers In Love」だ。

1989年、デューク・エリントンの死から15年後に、『The Duke Plays Ellington』が遂に初めてCDとして再発された。しかし、タイトルは『Piano Reflections』と新しく名づけられ、ブルーノートからの発売となった。このアルバムは、1953年12月にキャピトル・スタジオでレコーディングされた3曲の未発表曲(「Kinda Dukish」「Montevideo」「December Blue」)を加えて強化されている。

長年経てもなお、『The Duke Plays Ellington』はデューク・エリントンの素晴らしいピアノの腕を最大限に楽しみたい人にうってつけのアルバムであり続けている。1899年、エドワード・ケネディ・エリントンの名で生まれた男が、もしバンド・リーダーと作曲家としてのキャリアがあれほどまでに成功しなければ、ピアニストとして成功していたであろう証拠を、提供してくれる作品だ。

『The Duke Plays Ellington』は、キャピトル・レコーズの75回目のバースデーを祝うため75枚の名作のひとつに選ばれている。

Written By Charles Waring


デューク・エリントン『The Duke Plays Ellington』


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