デフ・レパードの20曲:悲劇や困難を乗り越え、世界中で計1億枚を売り上げた英国バンド

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最高品質のシェフィールド産のハード・ロック/ヘヴィ・メタルで身を固めた英国ヨークシャー出身のデフ・レパードは、死や災難、そしてドラマーのリック・アレンの腕の損失に至るまで、あらゆる困難を乗り越え、世界中で計1億枚を超えるセールスを達成してきた。

そして2017年の1年間、フロントマンのジョー・エリオットとメンバー達は、彼らの代表作『Hysteria』の30周年記念盤を祝うことに費やした。このアルバムに関しては、多くの人々が、過去最高のデフ・レパードの曲が揃った作品だと言うであろう。そして、彼らは新しい大イベントと共に、2018年を迎えた。遂に、デフ・レパードの楽曲が、あらゆる主要ストリーミング/ダウンロード・サービスで聞けるようになったのだ。

急いでデフ・レパードのベスト曲のプレイリストを作成しているファンと同じく、uDiscoverも彼らの素晴らしい功績を、「デフ・レパードの20曲」で祝いたいと思う。

デフ・レパードのルーツは1977年、彼らの母校であるシェフィールズ・タプトン校に遡る。だが、ジョー・エリオット(vo)、リック・サヴェージ(b)、ピート・ウィリス( g)の3人に、スティーヴ・クラーク( g)とリック・アレン(ds)が加わってデフ・レパードのラインナップが固まったのは、1979年だった。

リック・アレンが加入する前に、バンドはジョン・ピールが出資した初の作品『The Def Leppard』を自主発表していた。それが、目利きの音楽ジャーナリスト、ジェフ・バートンの目に留まる。彼はイギリスのロック週刊誌サウンズで、デフ・レパードをアイアン・メイデン、モーターヘッド、サクソンといった70年代後半の新バンド達が代表する、ハード・ロックにパンクが内包するエネルギーと攻撃性を注入したニュー・ウェイヴ・オブ・ヘヴィ・メタル(通称:NWOHM)の新星のひとつと評した。

NWOBHM関連の露出が盛り上がり始めた時期にプロとして活動を進めたデフ・レパードは、AC/DCの全英ツアーのオープニングを努め、イギリスでフォノグラム/ヴァーディゴと、アメリカではマーキュリーと契約を結ぶという好スタートを切った。1980年3月に発表されたトム・アロムのプロデュースのデビュー・アルバム『On Through The Night』は、「Wasted」や「Rock Brigade」など、タフでありながらもラジオでかかりやすいアンセムを収録。現在も彼らのベスト曲とみなされているこれらの曲は、彼らが全英アルバム・チャートのトップ20入りをし、初のゴールド・ディスクを獲得することになった。

その後、パット・トラヴァース、テッド・ニュージェント、AC/DCとの全米ツアーが続いた。そして、AC/DCを手がけたプロデューサー、ロバート・マット・ランジが、デフ・レパードの1981年のセカンド・アルバム『High’n’Dry』のプロデュースを担当する。『High’n’Dry』は前作『On Through The Night』よりも洗練されたアルバムとなり、前作のアルバム・タイトルと同じ曲の「On Through The Night」、感動的な「Bringin’ On The Heartbreak」等、不朽の人気曲を収録していた。そして「Bringin’ On The Heartbreak」は、1982年、MTVで最初にヘヴィ・ローテーションで流されたヘヴィ・メタルのビデオのひとつとなり、デフ・レパードの人気が拡大した。

『High’n ‘Dry』は全米アルバム・チャートで38位を記録したが、ギタリストのピート・ウィリスと作った最後のアルバムとなった。後任として、元ガールのギタリスト、フィル・コリンがサード・アルバム『Pyromania(邦題:炎のターゲット)』の制作中に加入。ローリング・ストーン誌のデヴィッド・フリックが「待望の炎がラジオに戻ってきた」と称賛したロバート・マット・ランジ・プロデュースの素晴らしいアルバムは、メタルだけではなくポップのフィールドにもクロスオーヴァーしたサウンドになっており、そのサウンドことが彼らを短期間でスーパースターにしたのだった。その中でも、全米シングルチャート1位を獲得したリード・シングル「Photograph」のおかげで、彼らは世界的に有名なバンドになった。この曲のミュージック・ビデオは、マイケル・ジャクソンの「Beat It」に取って代わり、MTVに最もリクエストされたビデオになった。

『Pyromania』は、2曲目の全米1位獲得曲「Rock Of Ages」も生み出した。この曲はアメリカ国内だけで、最終的に1,000万枚を超えるセールスを達成。絶頂期の波に乗って、彼らは4枚目のアルバムの制作に取りかかった。しかし、このバンドの人気が絶頂の中、悲劇が起きた。1984年の年末、アルバム制作の最中にドラマーのリック・アレンが自動車事故で左腕を失う悲劇に見舞われたのだ。しかしリック・アレンはバンドに在籍し続けるために、根性と決意、そして特注のカスタム・ドラム・キットを制作。他のメンバーもそれを歓迎した。そして、1987年発表の彼らの記念碑的アルバム『Hysteria』で、その腕でドラムを演奏したのだ。

稲妻のようなハード・ロックと、中毒性のあるメインストリーム・ポップのほぼ完璧な融合である『Hysteria』は、マルチ・プラチナム・アルバムの『Pyromania』を追い越し、最終的に世界中で2,500万枚を売り上げ、6曲ものシングルを全米トップ20入りさせた。大抵の人々のデフ・レパードのベスト曲のリストに入る「Pour Some Sugar On Me」は、リチャード・マークスの「Hold On To The Nights」に次いで、全米シングル・チャートの2位を記録。輝かしいパワー・バラードの「Love Bites」は、全米1位を達成し、T.レックス的でアグレッシヴな「Armageddon It」は、全米3位になった。

しかし、彼らはまたしても悲劇に苦しまなければならなかった。ギタリストのスティーヴ・クラークがアルコールが原因で他界したのである。彼らが新アルバム『Adrenalize』を制作中の出来事であった。1992年に発表されたこのアルバムは、全米と全英の両方で同時に首位を達成した中毒性のあるファースト・シングルの「Let’s Get Rocked」を含めて、素晴らしい曲の数々を収録していた。

スティーヴ・クラークの後任として、デフ・レパードは元ディオホワイトスネイクのギタリストであるヴィヴィアン・キャンベルをバンドに迎えた。ベルファスト生まれのヴィヴィアンは、バンドが新たな全米ヒット『Adrenalize』のレコーディング中に作られたアコースティック曲の「Two Steps Behind」を放つ直前に加入。この曲の作曲家マイケル・ケイメンによるストングスを加えたヴァージョンが、アーノルド・シュワルツネッガー主演のハリウッド映画『ラスト・アクション・ヒーロー』のサウンドトラックに使用されている。

もうひとつの素晴らしいパワー・バラード「When Love & Hate Collide」は、1995年の彼らのキャリアを総括するベスト盤『Vault: Def Leppard Greatest Hits』に収録された曲で、再び全米2位を達成した。一方、1996年発表のアルバム『Slang』では、ジョー・エリオットとレーベルがオーガニックなサウンドのオルタナティヴ・ロックの流行に前向きに反応し、スタイル的に新しい出発作となった。東洋に影響された「Turn To Dust」や、INXSを彷彿とさせるファンキーで自信に満ちたアルバム・タイトル曲を生み出している。

18ケ月に渡る巨大なワールド・ツアーと、新ミレニアムの到来に後押しされた7作目『Euphoria』で、バンドは昔のスタイルに戻り、熱くアンセミックな「Promises」が1999年に全米シングル・チャートで首位を達成して、彼らのベスト曲のひとつとなった。

デフ・レパードのプロフィールは、2000年代でも上位にあり続けた。2002年の過小評価された『X』は、全英ではトップ20入りするに止まったが、2006年のカヴァー・アルバム『Yeah!』は全米トップ20入りを果たした10枚目のアルバムとなった。

2008年の『Songs From The Sparkle Lounge』に収録された「Nine Lives」では、ほぼ予想されなかった組み合わせとしてアウトロー風カントリー・スター、ティム・マックグロウとのコラボレーションが実現。デフ・レパードは再び脚光を浴び、全米アルバム・チャートで初登場5位を記録した。

珍しく一年の休暇を過した後、バンドは2011年に、エネルギッシュなダブル・ライヴ・アルバム『Mirror Ball: Live & More』を発表。このアルバムには2曲の新曲も収録。その中の一曲が反逆的なパワー・バラード「Undefeated」だ。彼らの新たなステージへの意欲は、ラスベガスのハードロック・ホテル&カジノでの2013年のレジデンス・ショーの成功を導いた。このステージで、彼らは『Hysteria』を最初から最後までパフォーマンスし、この歴史的な常設ショーを記録したライブ作品『Viva! Hysteria』を、2013年に発表した。

彼らの売りであるポップ・メタルに回帰し、デフ・レパードは2015年のセルフ・タイトル・アルバム『Def Leppard』で、ヴィンテージの、拳を突き上げたくなるアンセム「Let’s Go」を完成させた。再び全米トップ10入りヒットとなった『Def Leppard』は、この根気強いバンドが彼らの魅力を全く失わずに、新たな実験をする意欲を持ち続けていることを、モダンな側面と最高のデフ・レパードの曲とを合わせたエレクトロニカ風の「Energized」といった曲で提示してみせた。

『Def Leppard』の発表後は、再び長期のワールド・ツアーが行なわれ、2017年には待望のスーパー・デラックス再発盤となる『Hysteria』を発表。ジョー・エリオットとバンドのメンバー達が、再び新曲作りに取りかかっているというニュースから予想すると、このほぼ無敵のハード・ロックの戦士達が、これからもベスト曲を生み出す可能性は多いにありそうだ。

Written By Tim Peacock

♪プレイリスト『Def Leppard Best Of



 

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