【ライブレポ】ケミブラ・トム×オーロラによるTOMORA:FUJI ROCKから2ヶ月、一夜限りの祝祭
ノルウェーの歌姫オーロラ(AURORA)と、UKダンス・ミュージック界を代表するザ・ケミカル・ブラザーズ(The Chemical Brothers)のトム・ローランズによるコラボレーション・プロジェクト、TOMORA(トモーラ)。
彼らが今年のFUJI ROCKに続き、10月1日に東京ガーデンシアターで一夜限りの単独公演を行った。このライヴ・レポートを掲載。またこの日のセットリストがプレイリストで公開されている。
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TOMORAが7月のFUJI ROCK FESTIVALからわずか2ヶ月後に帰ってきた。入場規制がかかるほどの人が集まったWHITE STAGEで、異次元の音楽体験を披露した彼らにとって、今回はその謳い文句通り、まさに東京一夜限りの伝説と言える単独公演となった。
今回はオープニングDJをAshley Yukaが務め、ケミカル・ブラザーズの曲をたっぷりと取り入れたセットで、会場を埋め尽くした人たちを盛り上げていく。そこからメンデルスゾーンの『パウロ』序曲が会場に流れた後、「INTRO SEQUENCE」のナレーションが始まると、1曲目の「RING THE ALARM」で、いきなりパーティが幕を開けた。
ピンクのライトが点滅する中、巨大なバックスクリーンにはトムの姿が映し出され、オーロラは、まるで自身の分身のようなアマリー・ホルト・クライヴとともに、巨大なメガホンを手にして歌い始める。会場である東京ガーデンシアターは、とにかく音が良い。重低音のバウンス感も、アタックの効いたキックの音も、8,000人規模のインドア会場を一気にダンスフロアへと変えてしまっている。
FUJI ROCKの時と同様、アマリーはステージにおける重要なパフォーマーで、オーロラとともに歌い、踊り、パーカッションをプレイする。ステージ中央後方のコンソールでシンセ、サンプラー、プログラミングを操るトムを背景に、前方ではオーロラとアマリーが白い衣装でシンクロした動きを見せる。白のAライン・ミニドレスに、足元のロング・ファー・レッグカバー、長い手袋といった衣装をまとった二人は、未来的でもあり、妖精のようでもある。そこにシンクロするスクリーンの映像や照明は、時には曲の世界観を表現し、時にはパーティを扇動する役割も担っている。
祈りとダンスが交差するTOMORAの宇宙
聖なる儀式のような「MY BABY」で祈りのような歌声を聴かせたオーロラは、「お元気ですか」と日本語でMC。オーロラの楽曲である「Starvation」では、脈打つような4つ打ちに乗せて、天まで届きそうな声を響かせる。そこに続くのは、トムが所属するケミカル・ブラザーズの「The Universe Sent Me」。二人の最初の接点とも言える、7年前に共同制作した曲が今、TOMORAの音として鳴っている。
FUJI ROCKでも披露した新曲「What Do We Got?」がこれに続く。この曲は、新作EP『CELEBRATION』に収録される予定だ。同作は10月16日にデジタル配信され、11月27日にフィジカル版がリリースされる。ステージはピンクとブルーの2色に染まり、祈りと祝祭が同居する空間へと変わっていく。続く「THE THING」では、スクリーンの映像が顕微鏡の中のようにも見え、そこにはトムが映ったり、映らなかったりする。地響きのようなビートが鳴る中、二人の歌声が広がっていく。
中盤に差しかかる頃、アンセム曲の「SOMEWHERE ELSE」が始まる。スクリーンに映し出される真っ赤な光は、まるでエネルギーの炎のように上昇し、時には花火のような閃光も放つ。オーロラはダンスを見せ、マイクスタンドを傾けながら歌に思いを込める。そこからそのままノンストップでつながっていくのは、ケミカル・ブラザーズの「Eve Of Destruction」。パーティ感は一気に別次元へとアップし、スクリーンにも日本の戦隊シリーズをオマージュしたMVが映し出される。
「あなたたちはそのままで完璧です」。オーロラは日本語でMCを始め、メンバー紹介も「ちゃん」「くん」付けで行う。「お久しぶり」「やったあ!」と話す声が、とにかく可愛い。そこから、天まで届きそうな歌声とともに、「I DRINK THE LIGHT」が始まる。まるでどこか違う世界を覗いているような感覚だ。オーロラとアマリーは、解放されたようにステージ上を舞い踊り、時々戯れ合うようにも見える。モノクロの照明と映像の中、シンクロするような動きを見せる二人は、おんぶや抱っこのような体勢になり、まるで双子のように見える。
「COME CLOSER」では、モノクロームの世界の中で、オーロラが一人で歌う。「Come closer to me」の「to me」のところでは、歌声はささやきに変わっていく。人間のつながりを願う曲だが、内に向かう親密さだけでなく、大きな包容力を持って外に開かれている。
新曲「Celebration」が示したTOMORAの現在地
大きな拍手の後に披露されたのは、プロモーション映像でも予告されていた通り、新曲「Celebration」の全世界初披露だ。それまでピンク、ブルー、モノトーンを基調としていた色彩に、どんどん新しい色が足されていく。音楽もそうだし、映像もそうだ。この曲は、圧倒的な祝福を表現している。
TOMORAはおそらく、世界中のフェスに出演し、ツアーを重ねていく中で、もともと祝福への思いを込めていた楽曲を多くの人たちと共有することによって、その思いが本物の祝福になったと感じたのかもしれない。実際、この新曲はそうした状況の中で制作されたという。この曲はある意味、進化を遂げるTOMORAの今の音なのだろう。
オーロラの曲「My Body Is Not Mine」の終わりでは、オーロラとアマリーがロボットのようなダンスを見せ、最後にはうなだれて動かなくなってしまう。ある意味、歌詞とシンクロしているのだが、トムが前に出てきてオーロラを起こし、続いてオーロラがアマリーを起こしていく。会場中が笑顔に包まれた後、3人はステージを後にする。
「私たちの家」となった特別な夜
アンコールは、おなじみ「IN A MINUTE」のロングヴァージョンだ。スクリーンに映し出されたネコは口をパクパクさせているのだが、実はこのネコが、この日のパーティにおける最高のアゲキャラであった。
それにしても、トムのビートは容赦なくぶち上げてくる。音の波は何度も何度もせり上がり、時に引いていく。それでも音楽は止まらない。終盤には音量まで上がったように感じた。観客とのコール&レスポンスもあり、高揚感が頂点に達した時の強いオレンジの光は、歌詞の中の太陽とシンクロしている。最後の最後までライヴならではのエネルギーがあったし、とことん突き抜けていく強さがあった。最後に、3人は手を取り合って会場全体に向かって挨拶をし、この日のステージは終わった。
途中のMCでオーロラは、たとえ自分がどんな人間であったとしても、たとえ世界がどれだけダークであったとしても、みんなを友達として受け入れると語り、「大好き、愛してます!」と呼びかけていた。TOMORAの曲はある意味、そういう「自分が自分である」ということを肯定し、祝福するものだと思う。
そして、新作EP『CELEBRATION』に収録される「Celebration」「What Do We Got?」「IN A MINUTE」のロングヴァージョンを聴くにつれ、その祝福の色合いは、ますます強くなっているのだと感じる。
この日のオーロラは、何度も日本語をスタッフに確認しながら、会場全体を指して「私たちの家みたい」と伝えていた。何だかこの日は、ライヴを観た私たちが、トムとオーロラが新たに作り上げた、その「家」というか「宇宙」に招かれたような、特別な夜になったと思う。
Written By 大野 俊也
TOMORA『CELEBRATION』
2026年10月16日配信(フィジカル盤は11月27日発売)
CD・LP / iTunes Store / Apple Music / Spotify / Amazon Music / YouTube Music
2026年4月17日発売
CD&LP / iTunes Store / Apple Music / Spotify / Amazon Music / YouTube Music
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