パンク・バンド、ザ・セインツのクリス・ベイリーが逝去。その功績を辿る

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Chris Bailey (second left) with The Saints - Photo: Michael Ochs Archives/Getty Images

オーストラリア出身のパンク・バンド、ザ・セインツ(The Saints)のフロントマンであるクリス・ベイリー(Chris Bailey)が2022年4月9日に65歳で亡くなった。死因は今のところ発表されていない。この訃報はバンドのソーシャルメディアで次のように伝えられた。

「2022年4月9日にザ・セインツのシンガー兼ソングライターであるクリス・ベイリーが亡くなったことをお知らせしなければならないことは、私たちの心に大きな痛みを伴います。クリスは詩と音楽の人生を送り、土曜の夜に亡くなりました(stranded on a Saturday night)」

この投稿の中で「stranded」とあるのは、ザ・セインツのデビュー・アルバムからのタイトル曲でありリード・シングルの「(I’m) Stranded」にちなんだもの。パンク・ロック初期のシングルのひとつで、1976年9月に発売され、ザ・ダムドがイギリスで「New Rose」をリリースする1ヶ月前に発売された。「(I’m) Stranded」は、史上最も影響力のあるパンクソングのひとつとみなされており、2001年には、オーストラリア・パフォーミング・ライツ・アソシエーションによって、オーストラリアのベストソング30に選出されている。

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オーストラリアのクイーンズランド州立図書館は2016年、シングルの発売40周年を記念して、このシングルのスプリット7インチ盤を秘蔵のジョン・オクスリー・コレクションに収蔵した。同図書館は次のように述べている。

「ここで紹介されている7インチ・シングルは、世界中のバンドに影響を与えた、音楽史の一端を表しています 。セックス・ピストルズやザ・クラッシュのデビューに先駆け、1976年9月にリリースされた当時は無名だったバンド、ザ・セインツは、このシングル“(I’m) Stranded / No Time”によって、新しいアンダーグラウンド・パンクミュージック・ムーブメントの最前線へと押し上げられました… 」

その生涯

クリス・ベイリーは1957年にケニアのナンユキで生まれ、幼少期を北アイルランドで過ごし、その後、家族でオーストラリアのブリスベンに移り住んだ。クリス・ベイリーは1973年に2人の友人、ギタリストのエド・キュッパーとドラマーのアイバー・ヘイとザ・セインツを結成した。その後、バンドにはカイム・ブラッドショーが加わり、ベースにはアラスデア’アルギー’ワードが続いた。

ザ・セインツのサウンドは原始的だが爆発的で、クリス・ベイリーのヴォーカルはパンクのトレードマークである卑屈さと若き日のヴァン・モリソンのような熱気を併せ持っていた。デビュー・アルバムは、キューパーのラモーンズ風のリフに支えられ、続く素晴らしいセカンド・アルバム『Eternally Yours』では、ホーンを導入してバンドの野心を広げ、そのサウンドを希釈することなく完成させた。しかしながら「Know Your Product」や「No, Your Product」といった曲では、ベイリーが企業文化を問題にしたことで親会社のEMIの怒りを買い、評価の低いサード・アルバム『Prehistoric Sounds』を最後にバンドは契約解除となった。

1979年にキューパーとヘイが脱退した後もベイリーはザ・セインツを続け、様々なメンバーでアルバムをレコーディングして発売、通算30人以上のミュージシャンがバンドを出入りした。バンドの最新アルバム『King Of The Sun』は2014年にリリースしている。ベイリーはソロ活動も平行して行い、1983年から2005年にかけて5枚のスタジオ・アルバムを発売している。

2015年、クリス・ベイリーはPenny Black Musicのインタビューで次のように語っている。

「あのファースト・アルバムはとても不愉快で、とてもひどい録音だったが、とても誠実な作品だから、僕のある部分は若々しいセインツを本当に誇りに思っている。時代遅れなのか、その時代のものなのか、わからない。批評的な距離が足りてないんだ」

「正直なところ、自分がどう考えているのかわからないんだ。ある種の気分の時に聴くと、笑顔になれるし、”最高だ “と思うことができる。そして、他の曲を聴くと、”何を考えているんだ、頼むよ “って思うこともある」

セインツのエド・キュッパーはベイリーが亡くなったことに悲しみを表し、2人の間には「非常に強い芸術的パートナーシップ」が築かれており、「これ以上のシンガーは望めない」とコメントしている。

Written By Tim Peacock



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