マルーン5の最新ベスト『シングルス・コレクション』全曲解説
アダム・レヴィーン率いるマルーン5(Maroon 5)の最新のベスト・アルバム『Singles Collection』が、2025年11月26日に日本限定で発売される。
2015年に発売された『Singles』に収録された14曲に加えて、それ以降に発売された7曲が追加されるこのアルバム収録楽曲の解説を掲載。
<関連記事>
・マルーン5 東京ドーム公演レポート
・マルーン5『Songs About Jane』解説:失敗したバンドの再挑戦
・マルーン5「Memories」:「これは死別を経験したことのある全ての人に捧げる曲」
1. This Love
2004年発表のデビューアルバム『Songs About Jane』からのシングルで、ファンキーなピアノリフとグルーヴィーなギターが特徴的なポップロックナンバー。ヴォーカルのアダム・レヴィーンが経験した辛い別れを基に書かれた赤裸々な歌詞が多くの共感を呼んだ。
世界的な大ヒットとなり、第48回グラミー賞で「最優秀ポップ・パフォーマンス」を受賞。バンドの知名度を世界的に押し上げた代表曲の一つ。
2. Payphone (feat. Wiz Khalifa)
2012年発表の4thアルバム『Overexposed』からの先行シングルで、別れた恋人への未練を、今は使われなくなった公衆電話になぞらえて歌う切ないポップアンセム。壮大なメロディとアダムの情感豊かなファルセットが胸を打つ。
人気ラッパーのウィズ・カリファをフィーチャーし、彼のラップパートが楽曲に深みと現代的なヒップホップの要素を加えている。アクション映画のようなMVも話題であった。
3. She Will Be Loved
デビューアルバム『Songs About Jane』に収録された、バンド初期を代表するバラードで、傷ついた女性に寄り添い、静かに愛を捧げる男性の心情を歌った優しい一曲。
アコースティックギターの柔らかな音色と、アダムの甘くソウルフルなボーカルが心に響く。その普遍的な愛のメッセージは世界中で支持され、多くの映画やドラマで使用された、バンドの音楽性の幅広さを示す名曲。
4. One More Night
4thアルバム『Overexposed』からのセカンドシングルで、レゲエの要素を取り入れた軽快なダンスポップチューンで、その中毒性の高いメロディが特徴。
歌詞では、互いに傷つけ合うとわかっていながらも離れられない男女の葛藤が描かれている。「もう一晩だけ」と関係を引き延ばす様を歌ったこの曲は、全米シングルチャートで9週連続1位という驚異的な記録を打ち立てた。
5. Moves Like Jagger (feat. Christina Aguilera)
2011年にリリースされ、世界中で大ヒットしたダンスポップナンバー。3rdアルバム『Hands All Over』の再発盤に追加収録された。
ザ・ローリング・ストーンズのミック・ジャガーが持つ独特の動きをテーマにしており、一度聴いたら忘れられない口笛のメロディが印象的。番組で共演したクリスティーナ・アギレラをフィーチャーし、二人のパワフルなボーカルが楽曲を一層盛り上げている。
6. Wake Up Call
2ndアルバム『It Won’t Be Soon Before Long』からのセカンドシングルで、ファンキーでグルーヴィーなサウンドに乗せ、恋人の浮気を発見した男性の怒りと復讐劇を歌うスリリングな一曲。
タイトなリズムセクションとカッティングギターが心地よい緊張感を生み出しており、アダムが恋人と浮気相手を撃ってしまうという衝撃的なMVも、楽曲の持つ危険な雰囲気を表現し話題となった。
7. Misery
3rdアルバム『Hands All Over』からのリードシングルで、関係が破綻寸前のカップルの苦悩をテーマにした、アップテンポでキャッチーなポップロックチューン。「いっそ惨めな思いをさせてくれ」と歌う歌詞は切実だが、メロディは明るくダンサブルというギャップが魅力である。
元恋人から様々な攻撃を受けるコミカルかつ過激なMVも、楽曲の世界観をユニークに表現している。
8. Maps
5thアルバム『V』からのリードシングルである。疾走感あふれるギターリフが印象的なポップロックナンバーだ。タイトルの「地図」では、歌詞では失った恋人のもとへ帰るための道を必死に探す男性の切ない心情が歌われている。
アダムのハイトーンボイスが楽曲のエモーショナルな雰囲気を高めている。悲劇的な結末を迎えるMVも、楽曲の持つ喪失感や後悔といったテーマを深く描き出し反響を呼んだ。
9. Makes Me Wonder
2ndアルバム『It Won’t Be Soon Before Long』からのリードシングルで、70年代ディスコやファンクの要素を取り入れたダンサブルなサウンドが特徴の曲。歌詞は、終わった恋愛への失望と、当時のイラク戦争に対する政治的な不満という二重の意味を持つとされる。
この曲でバンドは初の全米シングルチャート1位を獲得し、第50回グラミー賞で「最優秀ポップ・パフォーマンス」を受賞した。
10. Animals
5thアルバム『V』に収録された、ダークでシンセが効いたエレクトロポップで、歌詞では元恋人を獲物に見立て、本能の赴くままに追いかけるストーカー的な執着が歌われている。
アダムの妖艶なファルセットが、楽曲の持つ危険な雰囲気を強調している。精肉店で働く男が客の女性を追いかけるという、その過激な内容のミュージックビデオは公開時に大きな論争を巻き起こした。
11. Daylight
4thアルバム『Overexposed』からのシングル。壮大なスケール感を持つロックバラードであり、ライブのハイライトを飾るアンセムの一つ。歌詞は、終わりが近いと悟っている関係の中で、共に過ごす最後の夜明けを惜しむ切ない心情を描写している。
世界中のファンから投稿された映像で構成されたMVは、人々の日常の断片が織りなす感動的な作品として高く評価された。
12. Sugar
5thアルバム『V』からのシングルで、世界的な大ヒットを記録したディスコポップナンバー。軽快なギターカッティングとファンキーなベースラインが心地よく、恋人への甘い愛情を「砂糖」にたとえて歌っている。バンドがロサンゼルスの結婚式にサプライズで乱入しパフォーマンスを披露するという内容のMVが爆発的な話題を呼び、楽曲の人気を不動のものとした。ハッピーな雰囲気に満ちた一曲。
13. Sunday Morning
デビューアルバム『Songs About Jane』に収録された、ジャズやソウルの影響が色濃いメロウな楽曲。日曜の朝、恋人と過ごす穏やかで幸せな時間を、雨の情景と共に描写している。
洗練されたピアノやサックスの音色が、都会的で心地よい雰囲気を醸し出す。リリースから年月を経ても色褪せない魅力を持つ、バンド初期の代表曲であり、ライブでも定番の人気曲。
14. Won’t Go Home Without You
2ndアルバム『It Won’t Be Soon Before Long』からのサードシングルで、シンプルで耳に残るギターリフが印象的なソフトロックナンバー。喧嘩をしてしまった恋人に対し、「君なしでは家に帰らない」とストレートに謝罪し、関係の修復を願う男性の心情を描いている。
キャッチーなメロディとアダムの誠実なボーカルが一体となり、多くのリスナーの心を掴んだ一曲。
15. Harder To Breathe
デビューアルバム『Songs About Jane』からのファーストシングルで、当時のレコード会社からのプレッシャーや干渉に対する、バンドの強いフラストレーションを叩きつけたロックチューン。
硬質なギターリフとアダムの切迫感のあるシャウトが、タイトルの「息苦しさ」を体現している。彼らのキャリアの原点であり、ポップなイメージとは異なる、骨太なロックバンドとしての一面を示す一曲。
16. Lucky Strike
4thアルバム『Overexposed』に収録された、ファンクとディスコの要素が強いアップテンポなダンスナンバーである。躍動感のあるベースラインとカッティングギターが聴く者の体を自然と揺らす。
歌詞は、一目惚れした相手を「ラッキーストライク(大当たり)」にたとえ、今夜こそ君をものにすると情熱的にアプローチする様を描いている。ライブでの盛り上がりも必至な、高揚感に満ちた一曲。
17. Don’t Wanna Know (feat. Kendrick Lamar)
6thアルバム『Red Pill Blues』に収録された、トロピカルハウスの要素を取り入れた軽快なポップソング。
別れた恋人が新しい誰かといるのか、その真実を「知りたくない」という未練と葛藤に満ちた複雑な心境を歌う。ケンドリック・ラマーによる思慮深いラップが楽曲にアクセントと深みを加えている。当時流行した「ポケモンGO」をパロディにしたコミカルなMVも大きな話題となった。
18. What Lovers Do (feat. SZA)
6thアルバム『Red Pill Blues』からのリードシングルで、ダンサブルなエレクトロポップチューン。恋人との関係を次のステップに進めるべきか悩む、甘くもどかしい駆け引きを描写している。
フィーチャリングされたR&Bシンガー、SZA(シザ)のメロウなボーカルがアダムの声と絶妙に絡み合い、楽曲の魅力を高めている。一度聴くと耳から離れない中毒性のあるコーラスが特徴だ。
19. Girls like You (feat. Cardi B)
6thアルバム『Red Pill Blues』からのシングルカットで、シンプルで心地よいギターリフに乗せて、「君のような女の子」と時間を過ごしたいというストレートな愛情を歌うポップソング。人気ラッパーのカーディ・Bが参加したリミックスバージョンが世界的な大ヒットを記録。
様々な分野で活躍する著名な女性たちが多数出演したMVは、多様性と女性のエンパワーメントを称える象徴的な作品となった。
20. Memories
7thアルバム『Jordi』からの先行シングルで、パッヘルベルの「カノン」のコード進行を基にした、シンプルで心に響くバラード。
今は亡き人々や、過ぎ去った日々の思い出に乾杯を捧げるという内容で、2017年に急逝したバンドの長年のマネージャー、ジョーダン・フェルドスタインに捧げられている。その普遍的なメッセージは世界中の人々の共感を呼び、追悼のアンセムとして愛されている。
21. Beautiful Mistakes (feat. Megan Thee Stallion)
7thアルバム『Jordi』に収録された軽快なギターサウンドが心地よいポップロックナンバー。終わってしまった恋を「美しい過ち」として振り返り、後悔と懐かしさが入り混じったほろ苦い感情を歌っている。
フィーチャリングされた人気ラッパー、メーガン・ザ・スタリオンによる力強いラップが、楽曲に現代的なエッセンスと女性からの視点を加え、より多層的な物語を構築している。
Written By uDiscover Team
2025年11月26日発売
CD / iTunes Store / Apple Music / Spotify / Amazon Music / YouTube Music
- マルーン5・アーティスト・ページ
- マルーン5、BLACKPINKのリサとコラボした新曲「Priceless」をリリース
- マルーン5『V』:人気バンド5作目のアルバムにまつわる20の真実
- マルーン5『Songs About Jane』についてあなたが知らない(かもしれない)20の事
- マルーン5『Songs About Jane』解説:失敗したバンドの再挑戦
- マルーン5の大ヒット・シングル10曲とそれらにまつわる最高の瞬間
- あなたが知らないマルーン5『Red Pill Blues』20の事実
- マルーン5「Memories」:「これは死別を経験したことのある全ての人に捧げる曲」
- マルーン5『Hands All Over』解説:発売当初の不振から大成功した3rdアルバム
- マルーン5のアルバム・ガイド決定版
- プロモ・ビデオ(PV/MV)のパイオニアと映像表現進化の歴史