ジョナス・ブラザーズ出演、新作映画『ベリー・ジョナス・クリスマス・ムービー』サントラ全曲解説

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2000年代ディズニー・チャンネルで人気を博し、2019年シングル「Sucker」で全米No.1に輝き、今年デビュー20周年を迎え、最新アルバム『Greetings from Your Hometown』を引っ提げたツアーも大盛況で再び旋風を巻き起こしているジョナス・ブラザーズ。そんな彼らが出演、音楽の制作を務めたホリデー映画『ベリー・ジョナス・クリスマス・ムービー』がディズニープラスにて11月14日(金)より独占配信スタート。

ホリデーシーズンにぴったりな新曲や「Sucker」のライヴ・ヴァージョンなど、物語を盛り上げる音楽を収録したオリジナル・サウンドトラックも同日にリリースされた。本アルバムを音楽ライターの村上ひさしさんに全曲解説していただきました。

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今年デビュー20周年を迎えたジョナス・ブラザーズの3人が、ディズニーと再タッグ。カリフォルニア ディズニーランド・リゾート70周年の公式テーマソング「Celebrate Happy」を5月に発表し、彼らの大ブレイクのきっかけとなったディズニー・チャンネル オリジナル・ムービー『キャンプ・ロック』シリーズの最新作『キャンプ・ロック3(原題)』の制作も報じられる中、彼らがプロデュースを手掛け出演した最新のクリスマス映画『ベリー・ジョナス・クリスマス・ムービー』がディズニープラスで11月14日より独占配信スタート。彼らの手掛けた同映画のオリジナル・サウンドトラックもリリースされた。

映画のストーリーの進行に沿って収録されている楽曲(全10曲中、7曲が新曲!)を順に追っていきたい。

 

1. Like It’s Christmas (Live Version)

映画のオープニングクレジットと共にパフォームされるこの曲は、彼らのオリジナル・クリスマスソング。欧州ツアーファイナルのロンドン公演という設定のライヴで披露。

クレジットによると、実際にはカナダはトロントで収録されている模様。元々は、2019年の11月にリリースされた彼らの書き下ろしのクリスマスソング。大切な人に向けて、クリスマスを一緒に過ごせる喜びが歌われる。

 

2. Best Night

次男ジョー・ジョナスがメインボーカルを取る、空想シークエンスで歌われるパーティーチューン。ご存じのように、長男ケビンと三男ニックは、妻と子どもを持つファミリーパパ。一方のジョーはと言えば、離婚後はシングルライフを謳歌中。そんな3者のプライベートも映画には随所に鏤められており、ここではジョーがパーティーボーイぶりを発揮。エルトン・ジョンやハリー・ポッター、マシュメロに扮して笑わせる。

楽曲の作詞・作曲・プロデュースには、ジャスティン・トランター(ブリトニー・スピアーズ、チャペル・ローン)、ダン・クリーン(KATSEYE、ソフィア・カーソン)、エレン・カンナータ(デミ・ロヴァート、ケイティ・ペリー)らポップシーンの達人たちが勢揃い。

 

3. Coming Home This Christmas (feat. Kenny G)

アルバムと映画に先駆けて公表されたシングル曲。クリスマス気分を盛り上げてくれる煌めくサウンドと、電車の駅構内で繰り広げられるダイナミックなミュージカル調の映像が見事にマッチする。しかもベテラン・サクソフォーン奏者のケニー・Gがゲスト参加。90年代に一世風靡したケニーは、今年9月のMTV VMAsでドージャ・キャットのオープニングのステージにも登場して話題を蒔いたが、そんな時の人がサプライズで登場。ジャジーな演奏で祝賀ムードをいっそう盛り上げる。

制作にはBTSを手がけるデヴィッド・スチュワート、ケイティ・メルアを手がけるルーク・バットが参加。映画のテーマをそのまま反映したかのような歌詞とタイトルだが、そんなに容易く家へと帰れないのが、この映画のストーリー。コミカルなドタバタ劇と、ハートウォーミングな感動が待ち受ける。

 

4. Home Alone

ニック・ジョナスと、俳優で歌手のアンドリュー・バース・フェルドマン(『白雪姫』)による共演ナンバー。むしろ競演と呼ぶべきか。対抗意識を燃やした2人が、次第にヒートアップし、抱腹絶倒の熱血ボーカルバトルを繰り広げる。映画のみならず、ブロードウェイなどのミュージカルの舞台にも立っている2人。歌と振りの兼ね合いが絶妙だ。ニックは『The Last Five Years』で、アンドリューは『Maybe Happy Ending』で、今年NYブロードウェイに出演した。

楽曲のタイトル「Home Alone」は、当然ながらクリスマスコメディ映画の傑作『ホーム・アローン』を意識しているはず。曲作りやプロデュースに携わったジャスティン・トランターも、劇中にピアノ伴奏者として登場する。

 

5. Feel Something

ジョー・ジョナスと、女優のクロエ・ベネット(『マーベル エージェント・オブ・シールド』)による共演ナンバー。とはいえ、一緒に肩を寄せ合い歌うわけではなく、離れ離れになって、じわじわと感じるものがあるというロマンティックな楽曲だ。両者のケミストリーは、この上なく最高。自身のルーツである中国でシンガーを目指したこともあるベネットは、この後、本格的にシンガーとしての活躍も期待できそう。

同曲のソングライティングには、前出のジャスティン・トランター、エレン・カンナータの他、元コブラ・スターシップのライランド・ブラッキントン(トリー・レーンズ、スウィーティー)、ブランドン・コルベイン(ヘイリー・キヨコ、ゼイン)も参加した。

 

6. Remember When

サンタ・クロース役のジェシー・タイラー・ファーガソン(『モダン・ファミリー』)の運転するトラックの荷台で、3兄弟が想い出に浸りつつ歌うノスタルジックなナンバー。フラッシュバックのように挿入される彼らの幼い頃の姿には、ファンなら黄色い声を挙げずにはいられないだろう。今や彼ら自身も子どもをもつ年齢だけに、歌にもいっそう真実味が宿っている。今年8月にリリースされた彼らの7作目のアルバム『Greetings From Your Hometown』にも原点回帰ムードが感じられたが、さまざまな経験を経て再びディズニーのルーツへと戻ってきたというわけか。人生を一周(半周?)した彼らの現在地というのを教えてくれる。

前出のジャスティン・トランターを始め、エレン・カンナータ、ダニエル・クリーン、ブランドン・コルベインらが曲作りで参加(7、8にも同様のスタッフが関わっている)。

 

7. Better Off Alone

驚愕の展開で、なぜだか雪山にいる3人が(その経緯は観てのお楽しみ!)再び仲違いした直後に歌われるナンバー。それぞれが“1人きりのほうがいい”と自分自身に言い聞かせるかのように歌われるのだが、実際に長らく活動を休止した時期もあった彼らだけに、たっぷり実感も込められているはずだ。実生活で言ってそうな内輪ジョークも満載のこの映画。何事も包み隠さず、彼らの日常と本音が反映されているのも、大きな魅力と言えそうだ。ニックがまずリードボーカルを取り、次にジョー。そしてケビンは歌ではなくギターソロを披露するが、胸中の呟きが歌詞のように字幕で綴られるのがご愛嬌。ウィットに富んでいる。

 

8. Time

最大のハイライト曲と言えそうな、映画の大団円を彩るナンバーだ。愛しい人に贈られる最高のクリスマスソングが誕生した。“All I wanted was you and you”(君だけ 君だけが欲しかった)と繰り返されるフレーズから、あのマライア・キャリーの名曲「All I Want For  Christmas Is You(恋人たちのクリスマス)」を思い出す人も少なくないだろう。劇中には3兄弟のみならず、ケビンの実の妻のダニエル・ジョナス、ニックの実の妻のプリヤンカー・チョープラー(『ラヴ・アゲイン』)や子どもたち、四男フランキー・ジョナスらも顔を揃える。そしてケビンが遂にリードで歌うパートも差し挟まれる。というのは、本作のストーリー上でも重要なプロットなのだが、実際ケビンはソロシングル「Changing」をリリースしたばかり。もちろん彼が全て歌っている。

 

9. Sucker (Live Version)

エンドクレジットと共にライヴステージでパフォームされるのは、彼らの2019年の大ヒットシングル。再結成後に発表されたアルバム『Happiness Begins』からのファーストシングルであり、アルバムとシングル共々に全米No.1を記録した。もちろん世界各国のチャートも席巻。この曲で初めて彼らを知った日本のファンも少なくないはずだ。

ワンリパブリックのライアン・テダー(ビヨンセ、テイト・マクレー)が共作及びオリジナルバージョンのプロデュースを担当。3兄弟と共に、彼らの妻やフィアンセが出演したミュージックビデオも話題をさらった。

 

10. Like It’s Christmas

ラストは1.のオリジナルバージョン曲。こちらのスタジオ録音バージョンは、元々2019年11月に発表されたもので、全米アダルトコンテンポラリー・チャートで1位を記録。また去年のクリスマス後の2025年1月にも再びチャートイン。全米シングルチャートで39位まで上昇した。本作の後押しも加わり、今年のクリスマスにも再びチャートインするのではないだろうか。

共作とプロデュースには、ジョナス・ブラザーズ関連の仕事も多いジアン・ストーン(アリアナ・グランデ&ジャスティン・ビーバー、メーガン・トレイナー)、ジェイソン・エヴィガン(マルーン5、ダミアーノ・デイヴィッド)、マイク・エリゾンド(50セント、トゥエンティ・ワン・パイロッツ)らが参加し、ワンリパブリックのライアン・テダーが全体を監修。レトロなサウンドが、クラシックかつタイムレスなクリスマスムードを高めてくれる。

 

Written by 村上ひさし


A Very Jonas Christmas Movie(Original Soundtrack)
2025年11月14日発売
輸入盤CD  / 輸入盤LP / Apple Music / Spotify / Amazon Music / YouTube Music



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