久石譲 新作 「Concerto for Orchestra」ワシントン・ナショナル交響楽団にて世界初演

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© Elman Studio

久石譲の新作 「Concerto for Orchestra」が、アメリカ時間5月14日、久石 譲・指揮、ワシントン・ナショナル交響楽団の演奏により、世界初演を迎えた。
ワシントン・ナショナル交響楽団は今年設立95周年を迎え国際的に高い評価を確立し、ジョン・F・ケネディ・センターの芸術提携団体として活動。定期公演に加え、大統領就任式をはじめとする米国の重要な国家行事でも演奏するなどアメリカ屈指のオーケストラ。

久石譲「Concerto for Orchestra」 は、ワシントン・ナショナル交響楽団に加え、共同委嘱団体である、トロント交響楽団をはじめ、カーネギー・ホール、パリ管弦楽団、ロイヤル・フィルハーモニー管弦楽団、シカゴ交響楽団など世界各地の著名なオーケストラやコンサートホール計10団体からの共同委嘱を受けて作曲された。

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世界初演となるワシントン、ジョン・F・ケネディ・センターでの全3公演(5月14日〜16日)は完売。5月14日の初日公演では、後半に演奏された「Concerto for Orchestra」終演後、客席から大きな歓声とともにスタンディングオベーションが巻き起こり、世界初演にふさわしい熱狂的な反響に包まれた。

一般的な「Concerto」(協奏曲)がひとつの独奏楽器とオーケストラによる音楽であるのに対し、「Concerto for Orchestra」(管弦楽のための協奏曲)はオーケストラそのものが表現の中心に据えられ、各パートがソリストのように聴かせどころを持つ管弦楽曲。
バルトーク、ルトスワフスキ、コダーイをはじめ過去に多くの作曲家が手がけてきたこの形式を久石は、バルトークの管弦楽協奏曲やスティーヴ・ライヒの『砂漠の音楽』などの指揮経験を活かしながら、自身の原点であるミニマル・ミュージックの手法をもとに現代的なリズムとメロディックなソロパートを巧みに交えた全5楽章・約45分の楽曲として書き上げた。

本作品は、トロント交響楽団とのカナダ初演(2026年5月28日〜30日)、カーネギー・ホール公演(7月10日〜11日)、パリ管弦楽団とのシンガポール公演(11月12日〜14日)、ロイヤル・フィルハーモニー管弦楽団とのヨーロッパ6都市での公演(11月23日〜12月2日)など、今後数シーズンにわたり共同委嘱団体との演奏が続く。
既に完売の公演も多く、世界各地の観客から高い期待が寄せられている。

さらに久石はこの夏、フランス・ニームの野外劇場でのフィルムコンサート、タングルウッド音楽祭でのボストン交響楽団デビュー公演、ロサンゼルス・フィルハーモニックComposer-in-Focusとしてのハリウッド・ボウル公演、ニューヨークのラジオシティ・ミュージックホールにおける空前の7夜連続公演など、世界各地で大規模な公演活動を展開する。

■ 久石譲:Concerto for Orchestra 委嘱団体
ワシントン・ナショナル交響楽団 / トロント交響楽団 / カーネギー・ホール/久石譲財団 /コロラド交響楽団 / サンフランシスコ交響楽団 / パリ管弦楽団 / ロイヤル・フィルハーモニー管弦楽団 / シカゴ交響楽団 / サンタ・チェチーリア国立アカデミー管弦楽団

■Concerto for Orchestra 本人解説
Concerto for OrchestraはNational Symphony Orchestra、Toronto Symphony Orchestra など10団体の共同委嘱によって作曲した。
オーケストラ全体を協奏曲的に扱うこの形式はバルトーク、ルトスワフスキ、コダーイが有名だが他にも多くの作曲家がチャレンジしているやりがいのある形態である。が、コンセプトとして難しい面もある。多くの作曲家は、作品に対して何をテーマにするか?何を表現するか?など論理的かつ感覚的イマジネーションを掻き立てて曲を構成していくのだが、このConcerto for Orchestraという形態ではオーケストラのメンバー自体の演奏が表現の主体になる。

つまりオーケストラを使って何かを表現する通常の作曲からオーケストラ自体を表現の主体にするところが異なる。当初は僕も戸惑ったが、恣意的な何か!を表現するよりもバッハをはじめとするバロック音楽のような純粋な音の運動性を目指している僕としては、バルトークのConcerto for Orchestra、スティーヴ・ライヒのThe Desert Music等を自ら指揮した経験を踏まえてこの作曲にあたり、ミニマル・ミュージックの原点を考慮しつつ、より現代的なリズムアプローチを1、3楽章に置き2、4楽章にメロディックな各楽器のソロパートを配置し、最終楽章は(実はこの文章を書いている現在この楽章の仕上げを急いでいる)その両方が合体することで全体を構成することにした。全5楽章で45分くらいの楽曲になる予定だ。

演奏は大変難しい。そのことは作曲者として大いに反省しているが、世界各地のオーケストラを指揮してきた自らの経験からして現代のオーケストラの演奏水準の高さを僕は信じている。そしてその先にあるエンターテイメント性をオーケストラのメンバー、観客の皆様に楽しんでもらえることを願っています。

2026年 4月
久石 譲


■ 久石譲 プロフィール
現代音楽の作曲家として活動を始め、音楽大学卒業後からミニマル・ミュージックに興味を持つ。2004年「新日本フィル・ワールド・ドリーム・オーケストラ」の音楽監督に就任。14年より最先端の“現代の音楽”を紹介する「MUSIC FUTURE」を主宰、19年には「FUTURE ORCHESTRA CLASSICS」を開始するなど、多岐にわたる取り組みを展開している。

これまで、フィリップ・グラス、デヴィッド・ラング、ミッシャ・マイスキーなどのアーティストや、ウイーン響、ヘルシンキ・フィル、ロンドン響、シカゴ響、トロント響、ロサンゼルス・フィル、フィラデルフィア管、クリーヴランド管などのオーケストラと共演。24年11月、ロサンゼルス・フィルなど4団体の共同委嘱によるハープ・コンチェルトを発表。25年8月にはロイヤル・フィルを指揮しBBCプロムスにデビューした。

ロイヤル・フィルハーモニー管弦楽団Composer-in-Association、日本センチュリー交響楽団音楽監督。2025年10月、フィラデルフィア管弦楽団のComposer-in-Residenceに就任。ロサンゼルス・フィルハーモニックのComposer in Focus(2026シーズン)。2026/27シーズンよりフィルハーモニー・ド・パリの Compositeur en Résonance(Composer in Association)に就任。


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