マインドフルネスにおすすめのクラシック:声の瞑想指導者・NORIKOインタビュー

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現在、ビジネスマンやスポーツ選手でも実践している人が増え、話題を集める“マインドフルネス”。“今”に集中する感覚を研ぎ澄ませ、悩みや厄介事を手放すスキルとして、ストレス社会に立ち向かうために取り入れる人が増えているという。その“マインドフルネス”実践の際、より深いリラックス状態へ導く手助けをしてくれるアルバムが発売された。

『Classic for Mindfulness 〜人生を変える心のエクササイズ〜』。‟人生を変える心のエクササイズ“をテーマに制作されたクラシックのコンピレーション・アルバムだ。監修したのは、フジテレビ・アナウンサーとして、約32年間あまりニュースや情報番組のキャスターとして活躍し、現在は「声の瞑想指導者」としてアプリRussellMEに参加するなど活躍の場を広げるNORIKO(松尾紀子)。

アルバムはNORIKOの瞑想誘導のナレーションと「安らぎのピアニスト」と称されるチャド・ローソンの音楽、そして、リラックス状態へと導いてくれるクラシックの名曲が選曲されている。今回、監修者であるNORIKOにアルバムに込めた想い、クラシックと“マインドフルネス”の相性について話を聞いた。



聴いていて癒やされる素敵なアルバムに仕上がりましたね。選曲がとても良いと思います。

ありがとうございます。素敵な音楽を収めた作品はたくさんありますし、誘導瞑想のイベントもやらせていただいてきましたが、その2つが1つのパッケージになったのがとても嬉しいのです。

クラシックは詳しくはないのですが、昔からピアノの音がとても好きで親しんできました。私が子供の頃は“女の子はピアノを習うもの”という時代だったので、ご近所からいつもピアノの音が聞こえてきていたのです。私もピアノを習っていましたが、上を目指すというのではなく、好きな曲を弾きたいという感じでした。でもその時の経験が今に生きているのだと思います。

幼い頃、ピアノの部屋にいた自分の感覚を思い出させてくれたのもこの作品がきっかけでした。再び音楽に目覚めた感がありますね。

このアルバムを作るきっかけは?
この10数年、瞑想を自分の心身のためにやってきました。話す仕事もしながら、“話す”ということの中に瞑想を取り入れると、人はさらに生き生きと話すことが出来るのではないかと思っていたのです。自分自身も瞑想を行うことによって自然体で話せるようになっていることを感じていたので、この2つを融合させたいとずっと思いながら2年ほど試行錯誤してきました。

スピーチの講座の中でマインドフルネスを取り入れてみたり、マインドフルネスの中で発声練習をしてみたりしながら、なかなか思うように融合できなかったところに、「声の瞑想者」としてのお仕事をいただくことになったのです。「これこそ融合している」と思えた瞬間でした。

すると今度は、ご自身も瞑想者であるピアニスト、チャド・ローソンさんの演奏に誘導の声を付けたアルバムの話が来たのです。その結果できたのがこのアルバムです。これをやろうという具体的なビジョンが自分の中にあったわけではなく、瞑想や話す仕事、そして声の誘導者としての仕事においてベストをつくすことのコラボレーションから生まれた喜びそのものです。

アルバム内に収められた“声”にとても癒やされます。語りのプロとして、その場に応じた声の使い分けをされるのですか?
それは嬉しいですが、意識の中で使い分けはまったくありません。使いわけるというよりも、瞑想に入る方のために、テンション高くうるさく話すのはやめようとは思いました。音楽に合わせて原稿を読むわけなのですが、そのときは私自身も瞑想状態に入っていると思うのです。瞑想している中で話すと、あのような声になるのだろうなと思います。

なるほど。この作品を聴いた方にどのような気分になってもらいたいと思うのでしょう?
私達は常に目を開けて外の世界にアプローチしています。しかし、それだけではなく、目をつぶって自分の内側に入り込み、内側を見てもらいたいという思いがあります。内側には自分らしさやその人らしさといったものがあるのです。普段私達が向き合って生きている外の世界では、そこでの状況に合わさなければならないことがたくさんあります。

自分を抑えたり表現を変えたりすることそれ自体は素晴らしいことかもしれません。しかし本当の自分を感じる時間を作ることによって、いろいろなことが少しずつ変わるはずなのです。このアルバムを通して普段はなかなか体験できない自分の体の内側をじっくり感じていただきたい。そのような思いが込められています。

クラシックと瞑想の関係はいかがですか?
相性はとても良いと思いますね。私の場合は特にピアノへのこだわりが強いのです。ピアノはシンプルでピュアな音が持ち味です。普段は複雑なことを思考している人間が、ピュアでシンプルになり、自分の中の本質を感じ取れるようになっていく。それが瞑想でありマインドフルネスです。その意味で、ピアノの音やクラシック音楽の持っている波動と瞑想は似ていると思います。シンプル&ピュアと言う点で。

ピアノ以外では、打楽器のリズムだけという音楽なども瞑想と相性が良いように思います。昔の人達が、激しいリズムを奏でながら瞑想状態やトランス状態に入っていく文化も、相性と関係があるように思います。

選曲はどのように行ったのでしょう? ベリオやコルンゴルトの他ホルストの「惑星」から「金星」&メンデルスゾーンの「夏の夜の夢」の「夜想曲」など、ちょっと意表を突かれた選曲がとても心に残ります。
今回は、様々なバリエーションをもたせることがテーマでした。瞑想のための音楽というと、自然音やヒーリングミュージックを集めてそこに声を乗せるというのが多いと思います。

今回は、様々な曲を集めることによって多くの人にアプローチすることを考えました。普段の瞑想のときにはあまり聴かないタイプの音楽も選んでいます。静かでシンプルな曲だけではなく、ちょっとした不安感などを喚起する要素も加えてみたかったのです。それによって自分の中にある感情があぶり出されるという新たな気付きがあるのです。

例えばホルストの「惑星(金星)」のように宇宙空間を描いた音楽は、人のイマジネーションが広がっていきます、静けさだけではなく、その先に広がる壮大な世界を感じることも出来るのではないでしょうか。

チャド・ローソンの音楽の魅力についてはいかがでしょう?
今回のアルバムの中での最大の出会いがチャド・ローソンです。音楽にコメントを付けさせていただいたというご縁もありますが、初めて聴いた瞬間に、イマジネーションが浮かんでくるような感覚でした。聴いた瞬間にスルスルと言葉が浮かんでくるのです。

今はコロナの影響で対面イベントができなくなっていいますが、いつかぜひチャド・ローソンさんの音楽をイベントに使ってみたいと思います。チャドさん自身が瞑想状態の中で作曲されているのではないかと想像します。お目にかかれる機会があれば嬉しいです。

NORIKOさんご自身は瞑想中に何を考えているのですか?
何も考えないようにしています。その中で広がりを感じることが一番嬉しい感覚です。特に「絶対なる安心感」を得られた時の瞑想は最高です。毎回あるわけではないのですが、言葉にできないほどの至福の時を味わえます。普段の生活では、頭がゴチャゴチャしている中で瞑想をすることも多いです。瞑想後は、静かになれてよかったと思ったり、忘れていたことを思い出したり、迷っていたことに対する答えがフッと出てきたりですね。

コロナ禍においては、自分の心身を整えて健康でいることがとても大事です。目の前のことを行うことはもちろん大切ですが、そのためのベースを作ること。より良い状態で事に臨むことがとても重要だと思います。


■収録曲
1. チャド・ローソン:アイ・ロート・ユー・ア・ソング/NORIKO(瞑想誘導)
自らも瞑想を行うというローソンの音楽は、NORIKOにとって今回最大の出会いだったという。聴いた瞬間に言葉が浮かんだという素敵なメロディを味わいたい。

2. ドビュッシー:夢 L.68
印象主義を代表する作曲家ドビュッシー初期の名作「夢」からは、若きドビュッシーの見た夢が美しいピアノの音色に乗って伝わってくる。

3. ブラームス:3つの間奏曲 作品117 第1番 変ホ長調
ブラームス最晩年の作品からは、得も言われぬ安らぎが感じられる。ドイツロマン派の巨匠が到達した境地はまさに瞑想。

4. ラヴェル:組曲《鏡》 M.43 第5曲:鐘の谷
19世紀末のパリで流行していた芸術家集団のメンバーに献呈された「鏡」は、ラヴェル自身の心に映った幻影そのもの。ラヴェルの優しさがにじみ出るかのような作品だ。

5. モーツァルト:クラリネット五重奏曲 イ長調 K.581 第2楽章
ピアノからクラリネットへの移行に少し戸惑うこの曲は、天才モーツァルト晩年の傑作だ。哀愁に満ちたメロディは、室内楽史上空前絶後の美しさと言えそう。

6. ベリオ: 6つのアンコール 第3曲:水のピアノ
現代を代表する作曲家ベリオの曲といえば尖った音楽を想像しがちだが、「水のピアノ」に流れる空気は穏やかの極み。今回のアルバムの選曲の素晴らしさに感嘆した1曲だ。

7. ホルスト:組曲《惑星》作品32 第2曲:金星-平和をもたらすもの
有名な「木星」を差し置いて選曲された「金星」の美しさに改めて惚れ直す瞬間がここにある。占星術に基づいて書かれた音楽は、まさに瞑想的。

8. コルンゴルト:私に残された幸せは[マリエッタの歌]~歌劇《死の都》
「スター・ウォーズ」のジョン・ウィリアムズにも影響を与えたコルンゴルトの凄さを改めて認識できるメロディがここで聴ける。この美しい音楽をピアノで奏でるティボーデのセンスにも脱帽だ。

9. メンデルスゾーン:劇音楽《真夏の夜の夢》作品61 第7番:夜想曲
名高い「結婚行進曲」の影にこんなに美しいメロディがあったことを認識する。早熟の天才メンデルスゾーンはこれからさらに再評価が進むはずだ。

10. シューマン:子供の情景 作品15 第13曲:詩人は語る
クラシック史上最高のロマンティスト、シューマンが描いた夢見るような世界は、シンプルでピュアなピアノで刻まれるだけに心に沁みる。

11. チャド・ローソン:イン・ザ・ウェイティング/NORIKO(瞑想誘導)
聴いた瞬間に「さざ波」をイメージしたという音楽から伝わる波動が心地よい。

Interviewed & Written By 田中泰(音楽ジャーナリスト/プロデューサー)


■アルバム情報

『Classic for Mindfulness 〜人生を変える心のエクササイズ〜』
2020年9月30日(水)発売
CD / iTunes / Amazon Music / Apple Music / Spotify


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