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ハイドンの聴くべき作品ベスト10:古典派の偉大な”交響曲の父”による名曲選

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古典派の偉大な作曲家、ヨーゼフ・ハイドンの代表作を10曲ご紹介する。

フランツ・ヨーゼフ・ハイドン(1732年3月31日~1809年5月31日)は、古典派時代の最も偉大な作曲家の一人である。ハイドンは、ほぼ独学で、その後1世紀以上にわたってクラシック音楽の基礎となる形式を確立したのである。彼には「交響曲の父」、「弦楽四重奏曲の父」という2つの称号が与えられたことでよく知られている。

しかし、彼の与えた影響は、協奏曲、ピアノ・ソナタ、ピアノ・トリオのジャンルにおいても同じく重要である。また交響曲を104曲、協奏曲を20曲以上、ピアノ・ソナタを60曲、弦楽四重奏曲を83曲書くなど、多作な作曲家でもあった。ハイドンは、裕福なエステルハージ家の宮廷音楽家として、そのキャリアの大半を人里離れた領地で過ごしている。しかし、彼の音楽は広く流布し、活動していた時期の大半、ヨーロッパで最も有名な作曲家であった。

ハイドンのベスト作品:偉大な作曲家による10の重要な作品
弦楽四重奏曲 Op.64 第1番〜第6番

ハイドンの6つの弦楽四重奏曲Op.64(1790年)には、鳥の鳴き声を思わせる魅惑的な《ひばり》が含まれており、翌年の《ロンドン交響曲》の栄光を先取りしている。これらの弦楽四重奏曲は、エステルハージ楽団の元ヴァイオリニスト、ヨハン・トストに捧げられたことから、「トスト四重奏曲」と呼ばれている。

弦楽四重奏曲 Op.76 第1番〜第6番

ハイドンの弦楽四重奏曲の中で最も優れた作品群である。息を呑むような巧みな技と素晴らしい感情の起伏があり、次々と華麗な楽章が展開される。著名な作家で音楽史家のチャールズ・バーニーは、作品76の弦楽四重奏曲を「発明、炎、品格、新しい効果に満ちている」と評し、「器楽でこれ以上の喜びを得たことはない」と宣言した。6曲の四重奏曲は、いずれもハイドンが築き上げた伝統の継承と、さらなる革新への意欲が絶妙なバランスで表現されている。

十字架上のキリストの7つの最後の言葉

《十字架上のキリストの7つの最後の言葉》は、ハイドンの国際的な高い評価の獲得に大きく貢献し、彼はこの作品を自分の最高傑作の一つとみなしている。この7つの緩徐楽章から成る荘厳な曲は、スペインのカディス大聖堂から、聖金曜日の特別儀式でキリストの最後の7つの言葉(死に際に天上の神に語りかけたもの)を読み、瞑想する間に演奏する器楽曲を作曲してほしいと依頼を受け書かれた。この作品には、ハイドンによるオーケストラ版、オーケストラと合唱のための版、弦楽四重奏版、そして作曲者の監修によるピアノ・リダクション版が存在する。

困苦の時のミサ(ネルソン・ミサ)

1796年から1802年にかけて作曲された最後の6曲のミサ曲で、ハイドンはこのジャンルの価値を《ネルソン・ミサ》のように交響曲に匹敵するものにまで高め、抑えきれない激しさと情熱で灼熱の情景を表現している。《ネルソン・ミサ》は、ハイドンの伝記作家でアメリカの音楽学者であるH.C.ロビンス・ランドンによれば、間違いなくこの作曲家の「最高の唯一無二の楽曲」であるという。

オラトリオ《天地創造》

《天地創造》は、ハイドンがイギリスを訪れた際に聴いたヘンデルの《メサイア》と《エジプトのイスラエル人》に触発されて作曲された。形のない虚空から魅惑的な庭園を創り出すという世界の創造、海、太陽、鳥、花などを鮮やかに描き出したオラトリオで、ハイドンの最高傑作のひとつである。

オラトリオ《四季》

世俗的なオラトリオ《四季》は、農民の踊りと移り変わる天候を生き生きと描く音楽で一年の四季を祝う素朴な作品である。冬の嵐、口笛を吹く農夫、賛美歌、酒宴など、ハイドンがロンドンで過ごした時代にインスピレーションを得て、英国の聴衆にアピールするために特別に書かれた《天地創造》の続編である。

チェロ協奏曲 第1番

ハイドンのチェロ協奏曲は、長い間顧みられることがなかったが、現在ではピリオド楽器、モダン楽器に関わらず、コンサートの中心的なレパートリーになっている。チェロ協奏曲第1番は、1961年にプラハで発見され、すぐに作曲家の最も人気のあるオーケストラ作品の一つとして確立された。ハイドンはこの協奏曲でオーケストラの演奏を再定義した。速い走句と肉厚の和音で奏者のテクニックを完璧に引き出し、チェロが単なる低音楽器でないことを証明している。

ロンドン交響曲集 第1巻(第95番、第96番、第98番、第102番、第103番、第104番)

ハイドンは12曲の《ロンドン交響曲》を作曲し、そのうちのいくつかは彼の最高傑作に数えられている。これらはすべて「ロンドン交響曲」と総称されるようになったが、その最後のものである第104番ニ長調は、1794年から95年にかけての2度目の訪問時に作曲され、後に《ロンドン》交響曲として知られるようになった。ハイドンのロンドン交響曲全12曲を収録した初のコンピレーションでは、《奇跡》(第96番)、《太鼓連打》(第103番)、《ロンドン》(第104番)などの作品が誤ったタイトルで収録されている。

パリ交響曲 第82番~第87番

1787年にフランスの首都で、王妃マリー・アントワネットの立会いのもとに初演された、限りなく創意に富んだ6曲の交響曲セットである。この作品は、大衆や評論家たちに非常に人気があり、現代の批評家もこの作品を高く評価している。ハイドンの伝記作家であり、アメリカの音楽学者であるH.C.ロビンス・ランドンは、「輝き、優雅さ、温もりの驚くべき融合」と評している。

トランペット協奏曲

ハイドン最大の協奏曲であるこの曲の特筆すべき点は、美しく叙情的な緩徐楽章と、トランペットの持つ軍事的傾向を音楽的至福に変える、忘れがたい終楽章にある。ハイドンは、全音域を半音階的に演奏できる有鍵トランペットを開発した友人アントン・ヴァイディンガーのために、このトランペット協奏曲を作曲した。それ以前のトランペットはバルブがなく、限られた和声音域しか演奏できなかったのである。ハイドンの協奏曲は、この新しい楽器の性能を活かしている。

Written By uDiscover Team



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