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ライブ盤『Derek And The Dominos At The Fillmore』の複雑な収録内容変遷

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1973年1月に発売されたフィルモア・イーストでのライヴを収録したアルバム『Derek And the Dominos In Concert』とその後に続く再発の収録内容を解明するのは、ジグソー・パズルと少し似ている。オリジナル盤以降に出た再発ものに関しては、様々なライヴから集められた異なるヴァージョンが混ざり合っており、解き明かすことを非常に難解にしている。さらに、フィルモアでのライヴが行われた時点(1970年10月)では、デレク・アンド・ザ・ドミノス唯一のスタジオ・アルバム『Layla And Other Assorted Love Songs(邦題:いとしのレイラ)』はまだリリースされておらず、その場にいた観客はまだそれを聴いていなかったことを考慮するとさらに複雑になっていくのだ。

このデレク&ドミノスのライヴ盤『Derek And the Dominos In Concert』は1970年10月23日と24日に行われたもので、バンドの魅力が収録され、時にはクラプトン以外のメンバーであるカール・レイドル、ボビー・ウィットロックとジム・ゴードンがもたらした南部のゆったりとしたソウルフルな雰囲気だった。

『Derek And The Dominos In Concert』はもともと、1時間半にも及ぶ演奏が9曲収録され、公演日から約2年半後の1973年にリリースされた。全米アルバム・チャートでは20位を記録したが、全英チャートでは残念ながら36位に留まった。

このライヴ作品は1994年2月22日に『Live At The Fillmore』と名前を変えて再発され、トラック・リストの順番も大きく変わり、さらに4曲が追加収録され合計13曲となった。ここには最初に『Derek And The Dominos In Concert』としてリリースされた9曲のうちの6曲はそのまま収録、未発表音源だった5曲のうちの3曲は、『Derek And The Dominos In Concert』に収録されるものとは別公演を収録、2曲は初登場の楽曲。

2011年、『Layla And Other Assorted Love Songs』の40周年記念盤としてリリースされたスーパー・デラックス・エディションでは、トラック・リストはオリジナルの『In Concert』のヴァージョンに戻りながらも、追加の4曲も収録されたが、「Why Does Love Got to Be So Sad?(邦題:恋は悲しきもの)」、「Let it Rain」そして「Tell The Truth」は『Live At The Fillmore』とは異なるヴァージョンが使用された

理由は不明だが、この2日間のコンサートのセット・リストは大幅に変更されている。各日に2回のライヴが行われ、23日のレイト・ショーでの曲順は次の通りだ:
「Got to Get Better in a Little While’」
「Key to the Highway(邦題:ハイウェイへの関門)」
「Tell the Truth」
「Why Does Love Got to Be So Sad?(邦題:恋は悲しきもの)」
「Blues Power」
「Have You Ever Loved a Woman(邦題:愛の経験)」
「Bottle of Red Wine(邦題:レッド・ワイン)」
「Presence of the Lord」
「Little Wing」
「Let It Rain」
「Crossroads」*アンコール

Derek & The Dominos - Live At The Fillmore Booklet

翌日の第2部のセットは:
「Got to Get Better in a Little While」
「Tell the Truth」
「Nobody Knows You When You’re Down and Out(邦題:だれも知らない)」
「Why Does Love Got to Be So Sad?」
「Presence of the Lord」
「Blues Power」
「Have You Ever Loved a Woman」
「Key to the Highway」
「Bottle of Red Wine」
「Roll It Over」
「Let It Rain」
「Little Wing」*アンコール

『Layla And Other Assorted Love Songs』の40周年記念盤に収録されていた13曲には、初日の夜にレコーディングされた3曲「Got to Get Better in a Little While」、「Little Wing」、そして「Crossroads」が収録されていた。もちろん、デュアン・オールマンは不在で代表的なスライド・ギターの演奏がなかったことから、「Layla」はこのライブ・アルバムには収録されていない。

バンドのスタジオ・アルバムには収録されていないが、コンサートで演奏した楽曲は「Got To Get Better In A Little While」で、これは彼らが制作していたが発売されることはなかった2枚目のスタジオ・アルバムに収録されていた(後に『Layla And Other Assorted Love Songs』の40周年記念スーパー・デラックス・エディションに収録)。「Let it Rain」、「Bottle of Red Wine」と「Blues Power」はともにエリック・クラプトンのセルフ・タイトルのソロ・アルバムに収録されている。前者2曲は、エリック・クラプトン、デラニー&ボニー・ブラムレットが書き、後者2曲はエリック・クラプトンとレオン・ラッセルが書き下ろした。「Presence of the Lord」はブラインド・フェイスのアルバムの楽曲だ。そして、「Crossroads」は、クリームの激しいヴァージョンとは非常に異なる、もっと余裕のあるアプローチでありながら、エネルギーが潜んでいる楽曲に仕上がっている。あなたはどちらが好みだろうか?

Written by Richard Havers


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『Derek And The Dominos Live At The Fillmore』

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