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オリヴィア・ディーンが語る今までとこれから:最優秀新人賞を獲得したグラミー後の長尺インタビュー

2025年にリリースしたセカンド・アルバム『The Art Of Loving』が、母国UKだけでなくオーストラリア、アイスランド、オランダなど全世界7か国で1位、全米チャートでも3位を記録。Brit Awards 2026では最優秀ブリティッシュ・アーティスト、最優秀楽曲賞など合計4部門を受賞、2026年度グラミー賞でも最優秀新人賞を受賞するなど、大きな成功を収めているオリヴィア・ディーン(Olivia Dean)。
同作からの先行シングル「Man I Need」でも全英1位、全米2位、Spotifyでは約12億再生を記録するなど、絶好調を維持。そんな彼女が、これまでとこれからを語るオフィシャルインタビューを掲載。
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栄光の2026年と、『The Art Of Loving』に込めた“愛”
―― こんにちは、オリヴィア! 今日は2026年4月8日です。どんな気分ですか?
オリヴィア:今日は、正直かなり最高な気分です。ロンドンはもう春で、ここ3日くらいずっと青空なんですよ。ということは、もうすぐ夏かも? それもあって、すごく前向きな気分です。
―― グラミー賞の「最優秀新人アーティスト賞」受賞、そして『The Art Of Loving』で「アルバム・オブ・ザ・イヤー」を含む4部門のブリット・アワード受賞、おめでとうございます。最高の2026年のスタートですね。グラミー賞の受賞スピーチも本当に素晴らしく、とても心を打たれました。その中で「私は『勇気』の産物です」と話していましたが、あの言葉にはどんな思いが込められていたのでしょうか?
オリヴィア:グラミーのスピーチについては、事前にはあまり考えていなかったんです。そもそも、自分があのステージに立つとは思っていなかったので。「もし立つことになったら何を言おう」みたいなことも、そこまで考えていなくて。
ただ、自分より前に道を切り開いてくれた人たちのことに触れるのは大事だと思いましたし、家族だけじゃなく、チームや私の人生に関わってくれているみんなが、私と同じように努力してくれている。そのおかげで、私は今こうして自分のやりたいことをやれているので、そこへの感謝を伝えたかったんです。だから、あれはシンプルに「ありがとう」と言いたかったんだと思います。
―― あなた自身にとって、これらの受賞はどんな意味がありましたか? また、今年の残りの時間にどんな影響を与えそうですか?
オリヴィア:そういう意味では、ここ数か月はちょっと不思議な時間でした。こういう授賞式みたいな場所に何度か行くことになって。なんというか、私はこういうのをちょっと照れくさく感じるんですけど、同時にものすごく光栄なことでもあって。「よくやったね」って背中をポンと押してもらったような感じですね。
このアルバムには本当に自分のすべてを注ぎ込んだと思っているので、みんなから「ちゃんと見てるよ」「あなたのやったこと、いいと思うよ」と言ってもらえるのは嬉しいです。
でもこれからも、たぶん今までと同じようにやっていくと思います。私は成功を測るものさしとして、賞よりもライブやパフォーマンスのほうを大事にしているので。だから、あまり考えすぎないようにしたいですね。
―― 「照れくさい」とは、具体的にどういう意味ですか?
オリヴィア:すごくイギリス人っぽい感覚だと思うんですけど、単純に、たくさん注目されるのがちょっと恥ずかしいんです。歌っているときに注目されるのは好きなんですけど、話しているときに注目されると、なんか照れちゃうんですよね。
―― グラミー賞やブリット・アワードの夜は、そうそうたるセレブが集まっていたと思います。憧れの人に会うことはできましたか?
オリヴィア:特にグラミーは、「こんな人たちに本当に会えるの?」っていうくらい、すごい人たちが集まっている場所でした。でも、私にとって一番だったのはスティーヴィー・ワンダーですね。グラミーの前夜にクライヴ・デイヴィスのパーティーで歌ったんですけど、客席にスティーヴィー・ワンダーがいて、「Man I Need」に合わせて歌ったり、手拍子をしてくれたりしていたんです。
そのあと少しだけお会いすることができて、「この曲、大好きだよ」「おめでとう」「そのまま続けて」って言ってくれて。私はもう、「ありがとう、スティーヴィー・ワンダー!」って感じでした。
「正直なところ」から生まれる曲――オリヴィア・ディーンの創作術
―― 『The Art Of Loving』は数々の賞に輝いたアルバムです。愛のさまざまな段階や、いろいろな捉え方をとても鮮やかに描いていますよね。タイトルやイントロには、作家ベル・フックスと彼女の著書『オール・アバウト・ラブ:愛をめぐる13の試論』へのオマージュがあり、「throw some paint(絵の具をぶちまけろ)」という言葉も引用されています。ベル・フックスは、なぜあなたにとってそれほど大切な存在なのでしょうか? また、彼女が語ったテーマは、このアルバムにどのような影響を与えましたか?
オリヴィア:『オール・アバウト・ラブ:愛をめぐる13の試論』は、愛について書かれたものの中で、初めて自分の考え方を本当に変えてくれた本だったと思います。愛をどう捉えるか、自分がどう人を愛してきたのか、そして過去にほかの人たちがどう私を愛してくれたのか。その見方が変わったんです。本当に革新的な作品だと思いましたし、その本への返事のような形で音楽を書いてみたいと思うきっかけにもなりました。
その本に呼応して作られた展覧会にも行ったことがあって。何かを読んだときに、「今の私にとって、これはバイブルみたいなものだ」って思うことってあるじゃないですか。まさにそんな感じで、「できるだけたくさんの人にこの本を知ってほしい」と思ったんです。
今の世界には、もう少しお互いを思いやったり、いたわったりする気持ちが必要なんじゃないかなと思います。それぞれが本当にいろいろなことを心の中に抱えて生きている、ひとりの人間なんだと考えることも大切だと思うんです。うまく言えないけど、私たちはときどき、ほかの人たちを自分の人生に出てくる単なる登場人物みたいに考えてしまうことがある気がして。それが、思いやりのなさにつながってしまうんじゃないかなと思います。
―― アルバムに収録された12曲の中で、今一番気に入っている曲はどれですか?
オリヴィア:ツアーのリハーサルをしているので、最近は全部の曲を演奏しているんです。そういう意味では、今は「Baby Steps」が一番好きかもしれません。あの曲はマーヴィン・ゲイから影響を受けていて、アルバムの中の胸が痛くなるような曲を聴いたあとに、傷ついた心をそっと癒やしてくれるバームみたいな曲なんです。それに、すごくグルーヴがある。
親しい人に初めて聴かせたとき、「自分の成長に合わせてグルーヴしてるみたいだね」っていう感じになったんです。まさにそんな曲で。「私、ちゃんと癒えてきてる」っていう感じなんだけど、それでもちゃんとセクシーで。
本当に気分が良くなる曲です。演奏するのが大好きですね。
―― このアルバムをレコーディングするためにイースト・ロンドンにスタジオを作って、お茶やワインを用意し、親しいコラボレーターたちと制作していたそうですね。アルバム作りの中で、一番心に残っている瞬間は何ですか?
オリヴィア:アルバムを作っている間には、本当にたくさんの思い出があります。今振り返ってもそうですけど、きっと10年後に振り返ったら、「ああ、あれは人生の中ですごく魔法みたいな時間だったな」って思うんだろうなって。
特によく覚えているのは、マックスとバスティアンと「I’ve Seen It」を書いた日です。春で、たぶん去年のちょうど今ごろでした。庭に座って、鳥がさえずっていて、ギターとお茶を囲みながら曲を書いて。1時間とか、1時間半くらいで「I’ve Seen It」ができたんです。
それから録音して、初めて聴き返したときは、もう涙が止まりませんでした。「これは、私たちの間にあるすごく純粋な愛の瞬間から生まれたんだ」って思ったから。それと同時に、お互いの人生の中で目にしてきた、いろいろな愛の形をみんなで見つめて、それを2分ちょっとの曲にまで凝縮できたことも、本当に特別でした。
―― 曲を書くとき、歌詞のインスピレーションはどこから得ていますか? 本を読んだり、映画を観たりすることからでしょうか?
オリヴィア:詩を読むのも、本を読むのも大好きなので、そこで出会った言葉の一節からインスピレーションをもらうこともあります。でも実は、会話から刺激を受けることのほうが多いですね。曲や、自分でも気に入っている歌詞の多くは、面白い会話とか、ちょっとした冗談から生まれているんです。「これを聞いて私が笑ったなら、曲の中で聴いてもきっとクスッとするだろうな」って思って。
私は、歌詞に具体性があるのが好きなんです。すごく具体的な歌詞って、一見すると「これはみんなには共感されないんじゃないか」と思うかもしれないけど、実は意外とそうでもないと思っていて。ある意味、私たちはみんな、それぞれ似たような人生を生きているじゃないですか。結局、みんな同じようなことをしているんだと思います。
―― 「So Easy (To Fall In Love)」を聴いたファンに、どんなことを感じてほしいと思っていましたか?
オリヴィア:「So Easy (To Fall In Love)」は、アルバムのほかの曲と比べても、書いているときにかなりリスナーのことを意識していた曲だと思います。みんなに向けた曲ではあるんですけど、特に私の周りにいる女性たちのことを考えていたかもしれません。
たとえば初デートに行くときに、「相手に気に入ってもらえたらいいな」とか、「誰も私のことなんて好きになってくれないけど、この人には好きになってほしい」みたいな気持ちで行くんじゃなくて。むしろ、「みんな私のことを魅力的だと思ってるし、私に恋できるなんて相手はラッキー。だって私、最高なんだから」って思ってほしいんです。
そして、「私はただ、自分がこの人を好きかどうか確かめに行くだけ」くらいの気持ちでいてほしい。
人を励ましたり、「あなたは本当に特別なんだよ」って思い出してもらうことって、大事だと思います。
―― 若い女性たちにとって、すごくいいメッセージですね。では今のあなたの人生で、「So Easy」だと感じるくらい、自然にできることや楽に感じることはありますか?
オリヴィア:私にとって「So Easy」なこと……うーん、なんだろう。この週末、イースターの週末は、ただ道を歩いているだけでもすごく気持ちよかったんです。日も出ていて。今は、人と一緒にいることがすごく自然に感じますね。誰かと過ごすことが。なんだろう、そんな感じです。
―― プロダクションは、曲作りにどのくらい影響しますか? マーヴィン・ゲイやプリンスを思わせる要素もありますし、もちろん「So Easy (To Fall In Love)」にはボサノバの要素もあります。ビートを先に聴いてから書くのでしょうか? それとも、歌詞をビートに合わせるのでしょうか?
オリヴィア:これまでは基本的に、まず歌詞とコードが先ですね。そのあとでプロダクションについて考えます。曲がどんな世界観の中にあるのかとか、「こういう雰囲気になりそう」というイメージや参考になるものは、頭の中にあることが多いです。
でも私の曲作りの原点って、自分の部屋でギターを弾きながら曲を書いたり、人の曲をカバーしたりすることなので。いつも、「もし全部のアレンジを取り払ったとしても、誰かが座ってピアノ一本で弾ける曲になっているか?」って考えるんです。それができるなら、「よし、曲としてちゃんと強いな」と思える。
だから、プロダクションはそのあとですね。その作業も好きですけど、やっぱり一番好きなのは、曲そのものを書くところです。
―― 曲を書くときは一人ですか? スタジオにいますか? スマホの「メモ」アプリを使うのか、手書きなのか……普段どんなふうに曲を作っていますか?
オリヴィア:いろんなやり方が混ざっていますね。たとえば、近いうちにスタジオに入る予定があると分かっていたら、「これは歌詞になりそうだな」と思った言葉や、曲のアイデアをメモしておきます。ピアノの前に座って、最初に曲の構成を作ってみることもあります。「Nice To Each Other」も、最初はピアノで書いた曲なんですよ。
でもスタジオに行くと、自分以外の「もうひとつの耳」がある。それって、実はすごく大きな武器だと思うんです。誰かが「これ、ギターでやってみたら?」って言ってくれて、「そんなこと考えたこともなかった!」ってなることもある。だから、人と一緒に作るのはすごく好きです。でも根っこの部分では、私にとって正直なところから生まれたものでないといけないと思っています。
―― これまでにも素晴らしい人たちと仕事をしていますが、次に一緒に何かやってみたい人はいますか? ミュージシャンでも、映画監督でも、作家でも、振付師でも。
オリヴィア:面白い質問ですね。私はけっこう同じ人と長くやるタイプなんです。誰かと仕事をしてすごく楽しかったり、その人と「これは本当にいいものができた」と思えるものを作れたり、一緒にいると生き生きした気持ちになれたりすると、本能的に「またこの人とやりたい」と思うんです。
筋肉を鍛えるような感じというか、一緒に作る力を育てながら、お互いの考えや感覚が重なるところをどんどん磨いていく感じですね。それが答えのひとつ目。
でも、ふたつ目として、新しく誰かと仕事をするとしたら……うーん。私は新しいコラボレーションがそんなに得意じゃないんですけど。映画監督とか、小説家とか……ゼイディー・スミスと何かやってみたいです。具体的に何をするのかは全然分からないんですけど、彼女の文章って本当に情景を呼び起こす力があって、読んでいると全部が目に浮かぶんです。だから、彼女と何かできたら面白いだろうなって思います。
映像からステージへ――作品の世界をもっと大きく
―― ミュージックビデオについても聞かせてください。あなたの作品は本当に映画のようですよね。「Man I Need」や「So Easy (To Fall In Love)」の撮影で、何か面白いエピソードはありますか?
オリヴィア:撮影のエピソード? もう、たくさんありますね。あのビデオはどちらも、とにかく作るのが楽しかったんです。「So Easy (To Fall In Love)」は、ビデオ全体をすごく「ロンドンらしい」雰囲気にしたかったんですけど、ロンドンで撮影するのはなかなか大変なので、実はブルガリアで撮ったんです。
ロンドンバスも用意してもらって、通り全体をロンドン風に作り込みました。ブルガリアには本当にすごいセットがあって、ロンドンにいると思ったら、そこから2分歩くだけでローマ、しかも古代ローマみたいな場所に行けるんですよ。
本当に楽しかったです。そのあとブルガリアで、かなりすごい夜も過ごしました。
―― これまであなたの音楽を聴いたことがない人に、過去の作品から1曲おすすめするとしたら、どの曲ですか?
オリヴィア:私を知ってもらうための最初の1曲か……難しいですね。実は「Man I Need」ではないと思います。「Man I Need」は、自分にとってちょっと違うことを試してみた曲という感じがしていて。もちろん大好きな曲なんですけどね。
私を知ってもらうなら、「Lady Lady」がいいかな。自分を肯定したり、力をもらえるような雰囲気がありつつ、かなりグルーヴィーで、ジャズっぽい要素もある。それがけっこう私らしい気がします。うん、あの曲は本当に大好きですね。
―― アルバムがリリースされてからしばらく経ちましたが、この一連の制作を通して、どんなことを学びましたか?
オリヴィア:この一連の経験を通して改めて思ったのは、何かを作るときには、周りばかり見ないことが本当に大事だということです。自分がやっていることに集中して、それが本当に自分にとって正直で、本物だと信じられるかどうか、自分の直感にちゃんと耳を傾けること。
何かを本当に好きなときって、自分で分かるじゃないですか。その曲のビデオを作るのがすごく楽しみだったり、プロモーションするのが楽しみだったり。
自分がやっていることの中心にあるものを本当に好きでいられたら、それ以外のことは自然と楽になるんです。「ライブをやるのが楽しみ」とか、「インタビューを受けるのが楽しみ」と思えるのも、結局その作品自体をすごく好きだから。
だから、自分がやっていることを愛する気持ちを忘れないことを学びました。無理やりやるものじゃないんですよね。楽しめているなら、きっと大丈夫です。
―― もうすぐツアーが始まりますね。しかもロンドンのO2アリーナで6公演です。6回も! 今、どんな気分ですか?
オリヴィア:今は本当にワクワクしています。自分がO2でライブをする日が来るなんて思っていなかったし、ましてや6回もやるなんて。あそこではこれまでたくさんライブを観てきて、そのたびに「ここ、本当に人が多いな」って思っていたので、自分がステージに立ったらどんな感じなんだろうって思います。でも、とにかくテンションが上がっています。きっと素晴らしいライブになると思うし、本当に楽しくて、喜びにあふれた時間になると思います。
【*ライブレポ公開中】オリヴィア・ディーン母国凱旋ツアー:音楽文化を現在へと接続した一夜
―― ライブ前に、ときどきビールを飲むのが好きだと知って、なぜかちょっと意外だったんですが。本番前に決まってやることはありますか?
オリヴィア:そうですね。うまく言えないけど、もう本当に長い間ライブをやってきたので、昔からなんとなくそうしてきたんだと思います。緊張を落ち着かせるために、ビールを半パイントくらい飲んだりしていました。
でも本番前は、気分が上がる音楽をたくさん聴くのが好きです。メアリー・J. ブライジ、ビヨンセ、アンジー・ストーンとか。そういう曲を聴いていると、頭の中で女友達が周りにいて、「いけるよ!」って盛り上げてくれているような気分になるんです。それから普通にウォームアップをして、あとはステージに出るだけ。もっと面白いルーティンだったらよかったんですけどね。
―― ライヴの前に緊張はしますか?
オリヴィア:今はあまり「緊張」っていう言葉では捉えていないかもしれません。むしろ「ワクワク」とか「期待感」だと思うようにしているんです。「いや、緊張してるんじゃない。ものすごく楽しみにしてるんだ」って、自分に思い込ませるというか。
それに、何かに緊張するのって、そのことを大切に思っているからだったりするじゃないですか。ちゃんと良いものにしたいから緊張する。それって、いいことだと思います。
―― ちなみにどんなビールが好きですか?
オリヴィア:今いる場所によりますね。アメリカにいるならパシフィコが好きです。こっちなら……もう一生この答えでいくことになりそうだけど、モレッティかな。これって物議を醸します?(笑)
コロナも好きです。軽いから、そこまで気合いを入れて飲む感じじゃないんですよね。じゃあ、コロナにします。
ライブは“進化し続ける生き物”――ステージで育つ音楽
―― これから始まるツアーやライブについて、ほんの少しだけヒントをもらえますか?
オリヴィア:見た目はすごく華やかになると思います。これまでやってきたこととまったく違うものになるわけではないですけど、そこからさらに作り込んで、もっとスケールアップしたものになるはずです。
ファッションの見せ場もたくさんあって、今かなり細かく計画しています。それからバンドにも何人か新しいメンバーが加わって、それもすごくいい感じです。ステージに立つ人数も増えますね。
―― ライブで曲を演奏することは、その後の曲作りにどのくらい影響しますか? 今の曲をライブで演奏して、次のアルバムを書くときにも、その経験が頭の中に残っているのでしょうか?
オリヴィア:すごく影響します。『The Art Of Loving』での選択の多くも、『Messy』のツアーをやった経験から生まれたと思います。私は自分のライブを、ずっと進化し続ける生き物みたいに考えるのが好きなんです。「今、この子には何が足りない?」って。
たとえば、「後半にこのテンポの曲が1曲足りないな」と思ったら、「じゃあ次にスタジオに入るときは、そういう曲を作りたいな」って考える。うまく言えないけど、いつもライブを成長させて、できる限り最高のショーにしようとしているんです。だから間違いなく、ライブで演奏することを意識して曲を書いています。
―― 初めてライブをしたときのことを教えてください。
オリヴィア:最初のライブはServant Jazz Quartersでした。お客さんは40人くらいだったかな? ステージはものすごく小さくて、部屋の半分くらいの広さしかなくて。しかも一段高くなっているわけじゃなくて、床にそのままあるんです。そこに10人くらいのメンバーで入っていたので、みんなぎゅうぎゅうでした。私は当時まだタンバリンも叩いていて、それもなんとか続けていましたね。
「わあ、ここをソールドアウトできたなんて信じられない。すごい!」って思ったのを覚えています。人前でパフォーマンスすることを考えるだけで、昔からすごく高揚した気持ちになっていたんです。だから、見ての通り今も続けています。
―― 2025年にサブリナ・カーペンターのオープニング・アクトとして回った大規模なスタジアム公演から、どんなことを学びましたか?
オリヴィア:サブリナのライブに出演したのは、本当に素晴らしい学びの機会でした。技術的なことだけでも、あれだけ大きな会場で自分の音が跳ね返ってくる感覚に慣れることとか、それが普通の会場とどれくらい違うのかとか。
それだけじゃなく、彼女がどうパフォーマンスするのか、どう観客とやり取りするのか、バックステージではどうすべてが動いているのか、あれだけのショーを作るのに何人の人が必要なのか。そういうものを全部見ることができました。今の自分が何をしなきゃいけないのかを、ちょうどいい形で少し見せてもらえた気がします。本当に完璧なタイミングであのツアーを経験できたと思います。
―― 数万人の観客が見ているような巨大なスタジアムに立っているとき、頭の中ではどんなことを考えていますか?
オリヴィア:本当に特別なことだと思いますし、すごくワクワクします。「わあ、こんなにたくさんの人が、一緒に歌うためにここに集まってくれたんだ」って。私の音楽に何かを感じてくれたから来てくれた人もいるし、一緒に来た誰かとのつながりを私の音楽を通して感じてくれている人もいる。そう思うと、ただただ「すごいな」って。ちょっと理解が追いつかないくらいなんですよね。「人、人、人……!」って感じで。
ライブをしていると、何人か特定の顔を見つけることがよくあります。会場のそれぞれの方向でひとりずつ顔を選んで、その人たちに向けて歌うような感じです。
―― その人たち、きっと嬉しいでしょうね。
オリヴィア:いや、本人たちはたぶん全然気づいてないと思います。でも逆に、「絶対に私のこと見てたよね」って言ってくる人もいて。そういうときは、「あなたが来てたことすら知らなかったよ、ベイビー」って感じです。
仲間、ファッション、そして世界へ――広がっていく表現
―― 昔から仲の良い友達のエレノア、ロージー、ルイーズがいて、「I’ve Seen It」でも彼女たちの名前を挙げていますよね。今では音楽業界の中にも友達ができましたか?
オリヴィア:この仕事って、本当に特殊な仕事だと思うんです。だからここ数年、ほかのアーティストと話すことが、私にとってすごく助けになっています。「こういうことが起きるのって普通なの?」とか、「こういうとき、あなたはどうしてる?」みたいなことを聞けると、少し地に足がつく感じがするんです。
レイは、本当に素晴らしいアドバイスや導き、そして友情を与えてくれた人です。彼女は本当にすごいと思います。新しいアルバムも素晴らしいし、今の時代を代表するアーティストだと思います。
アメリカでは、サブリナも本当に話しやすくて素敵な人でした。レイヴン・レネイもすごく素晴らしいです。それから、縁があって出会えた人たちもいて。たとえばローラ・ヤングとは、ここ数か月で本当に何度も会っていますけど、彼女も最高です。だから、素晴らしい女性たちが本当にたくさんいますね。
―― 今はイギリスの女性アーティストたちが世界でもどんどん活躍していますよね。なぜ今、ブリティッシュ・ミュージックはこれほど勢いがあると思いますか? 何がこんなにうまくいっているのでしょう?
オリヴィア:なぜ今イギリスの音楽にこんなに勢いがあるのか? うーん、私には分からないですね。イギリスには、クリエイティブな才能を持った人たちがたくさんいると思います。何が起きているのか、私も正確に分かっていたらいいんですけど。
―― 今のムードボードにいる、スタイルのお手本トップ3は誰ですか?
オリヴィア:私にとってのスタイル・インスピレーション、トップ3ですね。まず、いつも言っているのがダイアナ・ロス。シュープリームス時代も含めて、彼女が着てきた衣装には、本当に完璧なお手本になるものがたくさんあります。
それからガル・コスタ。ブラジルのアーティストが大好きなんです。70年代のブラジルの女性たちも、今の女性たちもそうですけど、あの野性的で自由な、女性ならではのエネルギーをまとっている感じが大好きです。
あと誰だろう? トレーシー・エリス・ロスも最高ですね。ということで、結局ロス・ファミリー全体ですね。大好きです。
―― 今名前が挙がったアーティストたちには共通点がありますよね。みんな自分が信じる音楽を作っていて、それがちゃんと本物だということです。
オリヴィア:そう言ってもらえるなら、ありがたく受け取ります。でも、自分がその時代の真っただ中にいると、自分自身のことや、なぜ今こういうことが起きているのかを客観的に見るのって難しいんですよね。何年か経ったら、もう少し見えてくるのかもしれません。
―― ここ数年で、あなたにとってファッションと音楽は、より深く結びつくようになりましたか?
オリヴィア:今の私にとって、ファッションと音楽はすごく密接につながっています。服を着ることで、ステージ上では普段とは少し違う自分に入っていけるんです。それがすごく好きで。ステージを降りたら、ある意味そこから少し離れることもできます。もちろんそれも私自身ではあるんですけど、もっとグラマラスなバージョンの私というか。
そういう自分で遊ぶのも楽しいし、みんなを驚かせ続けたり、ワクワクさせたり、ときには誰かをちょっと挑発したりするのも面白い。まあ、何をしても何か言う人はいますからね。自分では、そこまで攻めたことをしているつもりはないんですけど。
シモーネと一緒に仕事をするのも大好きです。彼女が選んでくれる服を着ると自分をすごく美しく感じられるし、自分では絶対に着ると思っていなかったものに挑戦できるのも楽しいです。
―― ツアー初日に何を着るかは、もう決まっていますか?
オリヴィア:私はかなり計画するのが好きなんです。当日になって「今日はこれにしよう」みたいに決めることは、ほとんどないですね。いくつか候補を用意することはありますけど、基本的にはかなりしっかり決めています。プレゼン資料まであるくらいです。
―― これまでいろいろな国でライブをしていますが、まだ行ったことがなくて、特にライブをしてみたい場所はありますか?
オリヴィア:本当にたくさんあります。カリブ海地域でライブをやってみたいですね。あの地域には家族もいますし、自分のルーツがある場所でもあるので、そこでライブができたら本当に特別な気持ちになると思います。
それから、ブラジルでもライブがしたいです。もう、本当に行きたくてたまらない! ブラジルに行ってライブがしたいです。
正直、世界中どこにでも行きたいですね。ちゃんとした意味でのワールドツアーをしてみたい。すべての大陸を回るような。あとはアイスランドとかでもライブしてみたいですね。
次の章へ――成功の先で守りたいもの、日本への思い
―― 『The Art Of Loving』の制作では、理想的とも言えるスタジオ環境を作り上げましたよね。3枚目のアルバムのレコーディングは、どんな形になると思いますか?
オリヴィア:3枚目のアルバムがどんなものになるのか、私も知りたいです。私は、もし次のアルバムを作るなら——きっと作ると思うし、そう願っていますけど——何か言いたいことがないと作れないタイプなんです。「次のアルバムを作らなきゃいけないから作る」みたいなことは絶対にしたくありません。
そこには、自分の人生経験からちゃんと生まれてきたものとか、何か意味のある、伝えたいことがあってほしい。だから、私の人生の次の章で何が起こるのか、見てみようかなという感じですね。
―― ここ数年、本当に素晴らしい出来事が続きましたね。希望や夢でいっぱいだった16歳の自分を振り返って、当時のオリヴィア・ディーンに何かアドバイスするとしたら、何と言いますか?
オリヴィア:若い頃のオリヴィア・ディーンへのアドバイス……伝えたいことはたくさんありますね。すごくシンプルに聞こえるかもしれないけど、「とにかく続けて」と言いたいです。
先が見えないと感じることもあるかもしれないし、どうして自分がこんなことをやっているのか分からなくなることもあるかもしれない。いろんなものを犠牲にしている気がしたり、それが人生のかなり大きな部分を占めているように感じたり、どうしてそこまで大切に思っているのか、周りに分かってもらえないこともあるかもしれません。
でも、そこまで大切に思うのにはちゃんと理由があるし、いつか報われるから。だから、もう少し踏ん張って続けていてほしいです。
―― 成功して、一番意外だったことは何ですか?
オリヴィア:意外だったことはたくさんありますね。一番驚いたこと……いい質問ですね。
ここ半年くらいは、人から注目されることに慣れるのに、けっこう時間が必要だった気がします。注目って、自分でスイッチを切ることができないじゃないですか。そこに気持ちを慣らしていく必要があって。
たとえば私が近所の酒屋にいるときだって、私はやっぱり「酒屋にいるオリヴィア・ディーン」なんですよね。自分では誰にも見られていないような気がしていても。
メガネをかけると、「私は透明人間。誰にも見えてない」みたいな気分になるんですけど、実際にはメガネをかけても私の顔は私の顔なので。だから、以前ほど匿名ではいられなくなったことに慣れるのが、意外だったのかもしれません。たぶん、それですね。
―― 周りの人たちはあなたのことを本当に高く評価していますし、あなた自身もすごく素敵な空気をまとっていますよね。どうやってそんなふうに自然体でいられるのでしょう? もちろん、いつだって完璧というわけではないでしょうけど。自分らしさや、自分という存在、そして心の健康を、どうやって守っていますか?
オリヴィア:難しい質問ですね。自分の心の健康をどう守っているか……。
私は、このすべてとは別に、ひとりの人間としての自分がいると思っているんです。グラミーに行くとか、そういうことがあったとしても。あまり夢のある言い方じゃないかもしれないけど、私はこれをかなり「仕事」として捉えています。皆さんが自分の仕事をしているのと同じような感覚です。
自分が「ハリウッドの世界にいる」とか、そういうふうにはあまり感じていなくて。ただ、「私はこの仕事が大好きだから、仕事をしに行く。そして終わったら家に帰る」という感じです。その外側には自分の生活があって、ひとりの人間としての自分がいる。そう考えると、私にとってはすごくシンプルなんです。
仕事をしに行けることにすごく感謝できるし、同時に、家に帰って仕事をしない時間を持てることにも感謝できる。そして別のことをするんです。バルコニーに花を植えたり、友達とパブに行ったり、ロンドンにいるほかのみんなと同じようなことをしたり。不思議なんですけど、同時に自分はすごく普通の人として暮らしているような感覚があるんです。
―― 最後に日本へのメッセージをお願いします。
オリヴィア:ぜひまた日本に行きたいです。前に行ったときは本当にあっという間だったので。次に行くときはもっとゆっくり時間を取って、日本のいろいろな場所を見て回りたいです。特に東京は、しっかり満喫したいですね。いろいろ食べ歩きもしたいです。最近になって、ようやくお寿司のおいしさがちゃんと分かるようになってきた気がするんです。前に行ったときは、まだそこまでではなかったので。次は、トロをいろいろ食べ比べてみたいです。
それに日本でライブがしたくてたまらないです。本当に、また日本に戻れる時が待ちきれません。前に行ったとき、日本の文化も人も本当に素晴らしいなと思ったので、また行くのがすごく楽しみです。
Written By uDiscover Team

2025年9月26日発売
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