ディスニーが誇る永遠の名曲とそれを歌ってきたシンガーたち15選

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Photos courtesy of Disney

もしかすると、あなたは『ライオン・キング』の台詞を一語一句覚えていて、ひとり芝居が出来るくらいマスターしているかもしれないし、ハロウィンでは自分では認めたくないくらいの頻度でバズ・ライトイヤーとウッディのペア・コスチュームを披露したことがあるかもしれない。一方で、ディズニーが誇る名曲の数々の影の主役である歌い手たちについて、実際どれくらい知っているだろうか?

ディズニーは長年にわたり、アカデミー賞®に輝くハリウッド・スターからブロードウェイのベテランまで、実に多くの俳優たちや作曲家たちを起用してきた。けれど、誰もが知っている人気曲を歌っているだけでは、物語の理解度は中途半端というものだ。その歌たちに生命を吹き込んだ歌い手についても理解を深めることで、全く新しい物語が見えてくることだろう。

これから、ディズニー名曲を支えているシンガーたちについて、知っておくべきことを余すところなくお伝えしよう。

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1. ジュリー・アンドリュース「A Spoonful Of Sugar」(1964年『メリー・ポピンズ』)

ジュリー・アンドリュースに任せれば、薬を服むといった味気ない作業ですら魅力的で愉快なひと騒ぎになるというものだ。ディズニーの名曲の歌い手の中でもとりわけ馴染み深い人物のひとり、みんなの大好きな映画界のばあやは、実はメリー・ポピンズを演じるずっと前から、観客の心にふんわりと入り込んでいたのである。

彼女はデビューして間もなく、ブロードウェイでの『マイ・フェア・レディ』のイライザ・ドゥーリトル役や、『キャメロット』でリチャード・バートン演じるアーサー王の脇に控える王妃グウェネヴィア役で鮮烈な印象を残していた。『メリー・ポピンズ』の翌年、『サウンド・オブ・ミュージック』の映画版で、もうひとりの愛すべき家庭教師マリアを演じたジュリー・アンドリュースは、瞬く間に誰もが知る大スターとなったのである。

2. クリフ・エドワーズ「When You Wish Upon A Star」(1940年『ピノキオ』)

“ウクレレ・アイク”の名で知られ、この映画に登場する一番の愛されキャラであるコオロギととてもよく似た容貌の持ち主、クリフ・エドワーズはハリウッドではお馴染みの人物だった。

舞台と銀幕の両方で活躍していた彼はジョージ&アイラ・ガーシュウィンによるブロードウェイ・ミュージカルのデビュー作『レディー・ビー・グッド』から、映画『ヒズ・ガール・フライデー』に至るまで、ありとあらゆるガーシュウィン兄弟の作品に出演していた。その名を一躍有名にした『ピノキオ』での辛抱強い昆虫の声優に加え、彼はディズニーの名作『ダンボ』でもカラスのリーダーの声を演じている。

 

3. ジョディ・ベンソン「Part Of Your World」(1989年『リトル・マーメイド』)

ディズニーが生んだ最もおませなマーメイド役の声と歌声の両方を担当したジョディ・ベンソンは、ディズニーで主役に抜擢される以前はブロードウェイで活躍する女優だった。作詞家で劇作家でもあるハワード・アッシュマンと組んだ舞台『Smile』に出演後、彼女はアッシュマンから、近々製作される映画のオーディションを受けるよう勧められた。

かくしてジョディ・ベンソンは1989年、ディズニー作品の中でも屈指の不朽のヒット作で銀幕デビューを果たした。その後も『トイ・ストーリー2』及び『トイ・ストーリー3』でのバービー役をはじめとする様々なキャラクターに生命を吹き込んできた彼女は、優れた声優、そしてトニー賞にノミネートされたパフォーマーとして高い評価を獲得し、2007年にはミュージカル仕立てのファンタジー・ロマンティック・コメディ映画『魔法にかけられて』で珍しく実写版の俳優として出演を果たしている。

 

4. ブラッド・ケイン「A Whole New World」(1992年『アラジン』)

わずか3歳の時に映画『Six Weeks』の端役で俳優としてのキャリアをスタートさせたブラッド・ケインは、オフ・ブロードウェイでコーラス・ボーイとして実績を積み上げ、ミュージカル『エビータ』をはじめ、TVシリーズ『LAW & ORDER:性犯罪特捜班』、『バフィー 〜恋する十字架〜』といった数々のドラマや映画への出演をこなした。

『アラジン』ではスコット・ウェインガーが演じた主役の声にヴォーカルを提供し、アラン・メンケンが手掛けたこの楽曲で第36回グラミー賞の“年間最優秀楽曲賞”に輝いた。これはディズニー史上初の受賞にして、現在においても唯一の快挙となる栄誉であり、「A Whole New World」は、名だたるディズニー・ソングの歌い手たちを前に、ブラッド・ケインの地位を不動のものにした作品と言える。

 

5. レア・サロンガ「Reflection」(1998年『ムーラン』)

『アラジン』でアグラバーの宮殿に暮らすジャスミン王女を演じ、『ムーラン』では中国皇帝の軍隊教練場で目覚ましい成長を遂げた女性兵士ムーランの声優を務めたレア・サロンガ。1991年に、20歳にして『ミス・サイゴン』でトニー賞“ミュージカル主演女優賞”を受賞した初のアジア人女優でもある。2011年にはこれまでの仕事が認められ、“ディズニー・レジェンド”の仲間入りも果たした。

レア・サロンガは、わずか7歳にしてフィリピンのレパートリー・プロダクション制作の『王様と私』で初舞台を踏み、1980年には『アニー』で主人公役に抜擢された後、『ミス・サイゴン』や『レ・ミゼラブル』といった有名ミュージカル作品に次々と出演を果たし、実績を積み重ねていった。

 

6. ダニー・エルフマン「What’s This?」(1993年『ナイトメアー・ビフォア・クリスマス』)

『ナイトメアー・ビフォア・クリスマス』がクリスマス映画とハロウィン映画の二役をそつなく兼ねているように、ダニー・エルフマンもまたこの映画でスコアを担当し、歌詞を書き、ジャック・スケリントンの歌声を担当するという三役をこなしている。

ニュー・ウェイヴ・グループのオインゴ・ボインゴでフロントマンを務めるかたわら、ダニー・エルフマンは自らのスコア作曲家としての才能を生かし、『ナイトメアー・ビフォア・クリスマス』以外にも『シザーハンズ』や『チャーリーとチョコレート工場』といったティム・バートン監督の傑作映画にも楽曲を提供してきた。かの『ザ・シンプソンズ』のテーマ曲を作ったのも彼である。

『ナイトメアー・ビフォア・クリスマス』のサウンドトラックは、1993年のゴールデン・グローブ賞で最優秀オリジナル・スコア部門にノミネートされ、ダニー・エルフマンの歌う「What’s This?」は、彼をディズニー楽曲の歌手の中でも最も愛すべきひとりへと押し上げることになった。

 

7. ジェリー・オーバック「Be Our Guest」(1991年『美女と野獣』)

映画『ダーティ・ダンシング』で人生最良の時を過ごしてから、TVシリーズ『LAW & ORDER:性犯罪特捜班』でのレニー・ブリスコー役でこれ見よがしにバッジを光らせるようになる前、ジェリー・オーバックはみんなの大好きな踊るパリ風の燭台だった。

彼はまた、ミュージカル『シカゴ』のビル・フリン役や『プロミセス・プロミセス』のチャック・バクスター役など、数々のブロードウェイの出演舞台で幾度となくトニー賞にノミネートされており、後者では受賞を果たしている。ジェリー・オーバックの歌う「Be Our Guest」はゴールデン・グローブ賞とアカデミー賞®で最優秀オリジナル楽曲部門にノミネートされた。いつだって隅に置けない人物なのだ。

 

8. ジョセフ・ウィリアムズ「Can You Feel The Love Tonight?」(1994年『ライオン・キング』)

かの有名な映画音楽作曲家ジョン・ウィリアムズの息子であることを考えれば、ジョセフ・ウィリアムズがディズニーの誇る名曲の歌い手として名を挙げるようになることはごく自然な流れだったのかもしれない。

シンバの歌を担当する以前のジョセフ・ウィリアムズは、80年代半ばから後半までは「Africa」リリース以降のロック・バンド、TOTOでフロントマンを務めていた。ソロ作品のリリースに加え、偉大なる父親の足跡を追うように作曲家としてのキャリアもスタートさせたジョセフ・ウィリアムズは映画やTVのスコアなども手掛けている。

 

9. ジュディ・クーン「Colors Of The Wind」(1995年『ポカホンタス』)

90年代半ばにポカホンタス役としてそのソプラノ・ポップな歌声を披露する遥か昔、ジュディ・クーンは傑出したブロードウェイ・シンガーとして、80年代のブロードウェイ・ミュージカル『レ・ミゼラブル』やABBAのベニー・アンダーソンとビョルン・ウルヴァースによるミュージカル『チェス』、そしてウェスト・エンドで上演された『メトロポリス』等、錚々たるメジャーな舞台で主役を務めていた。

満を持して出演したディズニー映画で、ジュディ・クーンが歌った「Colors Of The Wind」は見事アカデミー賞®の“最優秀楽曲賞”を受賞し、『ポカホンタス』のサウンドトラックは全米アルバム・チャートで1位に輝いた。この曲の歌詞はネイティヴ・アメリカンの首長がアメリカ議会に宛てた、父祖の土地に対して彼らが果たすべき責任と、生態環境資源への敬意と配慮を求める手紙にインスパイアされている。結果として生まれたのが、時が経っても色褪せることのないメッセージを持つ美しく感動的なこの曲なのだ。

 

10. ロジャー・バート「Go The Distance」(1997年『ヘラクレス』)

この映画で主人公ヘラクレス役の声を務めたのはテイト・ドノヴァン(TVドラマ『The O.C.』で横領に手を染める株式仲買人、ジミー・クーパーを演じたことで有名)だったが、このディズニー映画きってのマッチョな半神半人のキャラクターの歌を担当し、ディズニーの名曲を歌うシンガーの仲間入りを果たしたのはロジャー・バートである。

オリンポスの山で甘い歌声を響かせる以前、ロジャー・バートはブロードウェイの『きみはいい人、チャーリー・ブラウン』(この舞台で彼はトニー賞を受賞)、『プロデューサーズ』、そして『ハウ・トゥー・サクシード』といったミュージカルの舞台で輝かしいキャリアを積んでいた。なお、本作ではロジャー・バートによる「Go The Distance」に加え、マイケル・ボルトンとリッキー・マーティンがそれぞれ英語版とスペイン語版をエンド・クレジット用にレコーディングしている。

 

11. ランディ・ニューマン「You’ve Got A Friend In Me」(1995年『トイ・ストーリー』)

ランディ・ニューマンは、ディズニー史上最大級のヒット曲の歌い手の1人であるだけでなく、熱狂的なファン・ベースを持つれっきとした実力派シンガー・ソングライターだ。若い世代のファンは、『トイ・ストーリー』をはじめとする数々のディズニー映画のサウンドトラックにセンチメンタルなメロディを提供している作曲家という認識しかないかも知れないが、ランディ・ニューマンのミュージシャンとしてのキャリアは、彼がピクサー社の輝けるスターになる遥か以前から続いている。

60年代から70年代にかけて、彼はフリートウッド・マックやペギー・リー、ダスティ・スプリングフィールドといった大物たちのヒット曲を手掛け、その中でもとりわけ有名なのはハリー・ニルスンの作品だろう。

また自身もレコーディング・アーティストとして活動しており、「Short People」といった予想外のヒット曲を持つ。80年代以降の彼は映画音楽の作曲家として大きな成功を収め、ディズニーが誇る最も心温まるヒット曲の立役者となった。過去に20回以上も自身名義の作品でアカデミー賞®のノミネーションを受けているランディ・ニューマンは、間違いなくディズニーの“頼れる友達”である。

 

12. イディナ・メンゼル「Let It Go」(2013年『アナと雪の女王』)

アレンデールの山の上にある氷の城に住みつく以前、イディナ・メンゼルはブロードウェイの舞台版と2005年の映画版のミュージカル『RENT/レント』で、その日暮らしの落ちぶれた都会のボヘミアン、モーリーン・ジョンソン役を演じていた。

彼女はまた、ブロードウェイでスマッシュ・ヒットとなった『ウィキッド』で、初代エルファバとして邪悪な魔女を演じて一気に名を挙げた。彼女の歌う「Let It Go」は全米シングル・チャートTOP5入りを果たしただけでなく、アカデミー賞®での“歌曲賞”とグラミー賞で映画・テレビ・その他映像部門の“最優秀楽曲賞”受賞と両賞レースを制している。

 

13. クリストファー・ジャクソン「Where You Are」(2016年『モアナと伝説の海』)

リン=マニュエル・ミランダによる大ヒットミュージカル『ハミルトン』でアメリカ初代大統領を演じたのは、クリストファー・ジャクソンのキャリアにおいては単なるハイライトのひとつに過ぎない。ミランダとジャクソンは『モアナと伝説の海』でも再びタッグを組み、音楽を制作した。

同映画の中でトゥイ村長の声を担当する以前も、クリストファー・ジャクソンはHBOのTVドラマ『オズ』や『ゴシップガール』『グッド・ワイフ』など、様々な番組にレギュラー出演する俳優だった。また彼は、映画や舞台向けの音楽のみならず、LL・クール・Jやブラック・アイド・ピーズのウィル・アイ・アムにも自作の曲を提供する生粋のソングライターでもあるのだ。

 

14. ベンジャミン・ブラット「Remember Me」(2017年『リメンバー・ミー』)

映画『リメンバー・ミー』の音楽のアイデアの元になっているのは架空のクルーナー、エルネスト・デラクルスだが、この役の声を演じたベンジャミン・ブラットにとって、同作品が本格的な歌の世界での最初の仕事だった。彼もまた『LAW & ORDER:性犯罪特捜班』の出演で頭角を表わし、ディズニー・シンガーの仲間入りをした俳優である。

ベンジャミン・ブラットは、ロバートとクリステン・アンダーソン=ロペス夫妻が書いたこの曲で2017年のアカデミー賞®の“歌曲賞”に輝いた。映画の中で彼は、同じハリウッド俳優であるエドワード・ジェームズ・オルモスやガエル・ガルシア・ベルナルと共演しており、ガエル・ガルシア・ベルナルにとってもこれが歌手デビュー作となっている。

 

15.  メアリー・コスタ「Once Upon A Dream」(1959年『眠れる森の美女』)

1959年に公開された『眠れる森の美女』の中で、ディズニー史上最もよく眠るプリンセスの歌を担当したのがメアリー・コスタである。この曲のメロディは1890年に『眠りの森の美女』がバレエとして上演された際に、チャイコフスキーが作曲した楽曲がベースになっており、映画全編にわたって愛のテーマとして使用されている。

メアリー・コスタはディーン・マーティンやジェリー・ルイスらとUCLAのコンサートで経験を積んだ後、ウォルト・ディズニー本人から声がかかり、オーディションを経てオーロラ姫の役をオファーされた。また1963年には、ロサンゼルスで行なわれたジョン・F・ケネディ大統領の葬儀で歌を披露するよう、大統領夫人のジャッキー・ケネディから直々に指名を受けたこともあった。

Written By Julie Epstein




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