reDiscover:トム・ペティ&ザ・ハートブレイカーズ『You’re Gonna Get It!』

Published on

フロリダ州ゲインズヴィルで生まれ育ったトム・ペティが始めてロックン・ロールに夢中になったのはまだ10歳の頃で、それは彼のおじさんが映画関係の仕事をしていることからエルビス・プレスリーの撮影現場に遊びに行ってエルビス本人に会った時のことだった。その後「これだ!」とひらめいた瞬間は3年後にエド・サリバン・ショウに出演したザ・ビートルズを見た時で、彼は自分の天職をみつけたという衝撃を受けた。

ザ・ビートルズが初めてエド・サリバン・ショウに出演したのは1964年2月9日で、その影響で何百万もの短命に終わるアメリカン・ガレージ・バンドが生まれるが、トム・ペティにとってのロックン・ロールは永続するものだった。まだティーンになったばかりのトム・ペティには何年かかろうがその夢を追う賢さとひたむきさがあった。けれどもトム・ペティは熱心なファンを惹き付けるには忍耐が必要だとすぐに知る。後にハートブレイカーズのメンバーとなるベンモント・テンチとマイク・キャンベルと60年代後半にマッドクラッチを結成し、1974年にロサンゼルスへ引っ越すまでは南部の州を何年も周り活動し続けた。

マッドクラッチはレオン・ラッセルとデニー・コーデルのレーベル、シェルターから1枚のシングルを発売し、その後にトム・ペティとベンモント・テンチ、そしてマイク・キャンベルは新しくフロリダ出身のドラマーのスタン・リンチとベーシストのロン・ブレアをメンバーに迎えトム・ペティ&ザ・ハートブレイカーズを結成。初めはシェルターに所属し、バンド名をタイトルにした1976年のデビュー・アルバムはUKやオーストラリアやニュージーランドなどで話題となったが、1978年5月に発売された2作目の『You’re Gonna Get It!』はアメリカ中心地に商業的成功を収めた。

批評家からも高い評価を得たトム・ペティ&ザ・ハートブレイカーズの『You’re Gonna Get It!』はクールで分かりやすいロック・アルバムで、ラジオ・フレンドリーな曲と記憶に残るコーラスが沢山詰まっている。実際にザ・バーズのような「Listen To Her Heart」と勇気のある踊りたくなる「I Need To Know」の2枚のシングルは、ラジオでかなりオンエアされ「I Need To Know」は全米シングル・チャートの41位にランクインした。

トム・ペティは作曲家としても開花し始め、素晴らしいサビを作る才能は『You’re Gonna Get It!』がヒット曲満載であることを保証し、ハートブレイカーズも素晴らしい多才さを見せた。揺るぎないトラック(復讐を燃料とした名ばかりの「When The Time Comes」)、南部のルーツと繋がり奏でられるアメリカーナ調のロック・トラック(「Too Much Ain’t Enough」)、そして刺激的なブルース・スプリングスティーンのようなラヴ・ソング(「Magnolia」)を通じてトム・ペティと才能溢れるバンドはより大きな群衆の意識内へと浸透していこうとしていた。

ローリング・ストーン誌は“印象的でスタイリスティックなまとまりある作品”と評したが、発売時の評価は分かれた。しかし、ファンが急増していき、『You’re Gonna Get It!』はじわじわと売れ続け全米アルバム・チャートに23位にまで上昇、その過程でゴールド・ディスクを獲得している。1978年の大晦日にサンタモニカ公会堂にて行われたステージで人気が爆発し、トム・ペティ&ザ・ハートブレイカーズのプロモーションとして初めて北米アリーナ・ツアーが行われて、1979年のメインストリーム・ヒット作『Damn The Torpedoes(邦題:破壊)』の土台を作ることになった。

Written By Tim Peacock



 

『You’re Gonna Get It!』入ったレコード盤ボックスセット
『The Studio Album Vinyl Collection 1976-1991(9LP BOX)【輸入盤】』

♪ トム・ペティの代表作「Free Fallin’」や「I Won’t Back Down」を含むプレイリスト『Rock Icons』を聴く:Spotify

 


Share this story

Don't Miss

{"vars":{"account":"UA-90870517-1"},"triggers":{"trackPageview":{"on":"visible","request":"pageview"}}}
モバイルバージョンを終了