スーパートランプ大ヒットとなったフランスでのライブ盤『Paris』

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「1979年11月29日、パリ・パヴィリオン」アルバム内ジャケットでデヴィッド・マージャーソンが執筆したライナーノートはそう始まる。「このツアーは大変だった。この時点までで108公演。ツアー・スタッフは、いつものように素晴らしかった。昔からスーパートランプが頼りにしていたもの、つまり目的意識とユーモアは、こうした厳しい試練にも打ち勝った」そのジャケットの中に収められていた2枚組ライヴ盤『Paris』は、この日に録音された。

この夜のコンサートは、8,000人のファンを前にして行われた。当時スーパートランプの人気はかつてないほどに高まっていた。アルバム『Breakfast In America』はこの年の3月に発売され、既に売り上げ枚数は100万枚近くまで到達。ここからは「The Logical Song」と「Take The Long Way Home」といった大ヒット曲も生まれていた。さらにこのアルバムは、比較的地味な部門ではあったものの、グラミー賞を2部門獲得することになる(最優秀レコーディング・パッケージ賞と最優秀アルバム技術賞)。

こうして、このアルバムによって世界各地で新たなファンを獲得したスーパートランプは、長期に渡るコンサート・ツアーを敢行した。フランスでは『Breakfast In America』が驚異的な売り上げとなり、フランスで売れた外国語のアルバムの中では史上最大のベストセラーになったと言われている。ライヴを録音するうえで、これ以上にふさわしい場所はなかっただろう。

ライヴ盤『Paris』には、最新スタジオ・アルバムの曲も収められている。先に挙げた2曲とアルバム・タイトル曲は、このツアーで初めてライヴ演奏された曲だった。とはいえこのライヴ盤には「Dreamer」「Bloody Well Right」「Crime Of The Century」といった以前からのスーパートランプの人気曲も並んでいた。この『Paris』は英米両方でゴールド・ディスクに認定され、シングル・カットされた「Dreamer」のライヴ・ヴァージョンは全米チャートで最高15位まで上がっている。

マージャーソンのライナーノートによれば、このフランスでのスーパートランプの人気ぶりは初めてパリでライヴをやったときとは大違いだったという。「あのときは8人しか客が入らなかった。プロモーターのパスカルの告白によると、そのうち6人は彼が金を払って雇ったサクラだったらしい!」。

Written By Paul Sexton


【ヨーベス(洋楽ベスト)~アンコール・プレス~】


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