1970年夏、3週1位を記録したムーディー・ブルースの『A Question of Balance』

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ムーディー・ブルースは1964年に発売し全米1位を記録した「Go Now」のリズム&ブルースを主体としたスタイルから1967年の『Days Of Future Passed』のような哀愁的なアルバムを作るようにスタイルを変容させたことにより、1960年台後半は大きな評価を得るようになった。それが特に現実となったのは、1969年の数ヶ月間に立て続けに出した『On The Threshold Of Dream(邦題:夢幻)』と『To Our Children’s Children(邦題:子供たちの子供たちの子供たちへ)』の2枚の成功であった。

彼らはその次の10年を傑出した存在として維持できるのか? その答えをムーディー・ブルースは1970年に力強く見せつけた。5月の最終週、ジャスティン・ヘイワードによる力強く、挿話的な「Question」で「Go Now」以来の全英シングルっチャート2位のヒット曲となり、1970年以降の彼らのキャリアではこれが最高位となった。

同曲を収録したアルバム『A Question of Balance』は前作までと異なりアルバム全体を通したテーマを設定せず、ムーディー・ブルースとして新たな方向性を示した。驚くことに、バンドは事前に何も用意をせずにスタジオに入り、5週間後にはマスターテープを持ってスタジオから出て来たのであった。

「僕たちの曲は、誰にでも起こりうることを歌っているんだ」とアルバム発売後にジョン・ロッジはレコード・ミラー誌のインタビューに答えている。「僕たちはいろんなところに行けるかもしれないけど、誰とも変わらない同じ体験をする、そしてそれが僕らの歌になるんだ」。

1970年8月に発売された6枚目のアルバム『A Question of Balance』は、サイモン&ガーファンクルの『Bridge Over Troubled Water(邦題:明日に架ける橋)』が首位を独走する中、全英第3位に躍り出た。ちなみに1970年1月末に発売されたサイモン&ガーファンクルのアルバムは、5週連続1位を記録しただけでなく、チャートに入っていた26週のうち22週も頂点に君臨していた。

では、ポール・サイモンとアート・ガーファンクルに追いつくのは誰だったか、それはエルヴィス・プレスリーの『On Stage』だと思われていたが、1970年2月に5位から2位に上昇したのみで1位にはならなかった。サイモン&ガーファンクル抑えたのは、ムーディー・ブルースだった。1970年8月22日、『A Question of Balance』は3週に渡り全英1位を記録し、全米でも3位にまで登り、後にプラチナムを獲得したのである。

By Paul Sexton



ムーディー・ブルース『A Question of Balance』     

 

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