レーナード・スキナード『Pronounced’Lĕh-‘nérd ‘Skin-‘nérd』解説:50周年を迎えたデビュー作

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Cover: Courtesy of Geffen Records

フロリダの片田舎にある小川のそばの、うだるように暑い山小屋からすべてが始まった。1973年8月13日にリリースされたレーナード・スキナード(Lynyrd Skynyrd)のデビュー・アルバム『Pronounced’Lĕh-‘nérd ‘Skin-‘nérd』は、その質素な始まりにもかかわらず、発売から50年経つ今日も世界中のファンを魅了し続けている。

この記事では、この名盤を生んだその過酷なリハーサルで彼らが使用していた機材の一部、そしてそこから生み出されたサウンドを紹介しよう。

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シンガーのロニー・ヴァン・ザント、ギタリストのゲイリー・ロッシントンとアレン・コリンズ、ベーシストのエド・キング、キーボード奏者のビリー・パウエル、そしてドラマーのボブ・バーンズの6人は、ジャクソンビルから南へ15マイル(約24キロ)ほど離れた山小屋を借りてアルバムのリハーサルを行っていた。ブルース、カントリー、ロックをミックスしたその美しいノイズ・サウンドは、彼らの羨ましくなるようなクラシック・ギターのセレクションに加え、いくつかのあまり馴染みのない楽器によって作り出されていった。

『Pronounced’Lĕh-‘nérd ‘Skin-‘nérd』が完成して間もなく、レコーディング直前にバンドを脱退していたオリジナル・ベーシスト、ウィルクソンが再加入すると、アルバムにベーシストとして参加していたエド・キングは3人目のギタリストとして正式加入し(そのため、ジャケット写真には7人編成のバンドの姿が描かれている)、バンドはライヴにおいてもスタジオでの3つのギター・セクションを再現できるようになった。

実際、エド・キングはこのアルバムの数曲でギターを弾いており、「Mississippi Kid」でのスライド・ギターのソロ演奏は特に有名だ。しかし、このファースト・アルバムでは、なんといってもゲイリー・ロッシントンとアレン・コリンズの強力なコンビによる、「I Ain’t The One」や「Things Going On」などでのツイン・ギターの演奏が、バンドをさらなる高みへと押し上げていった。

 

「Free Bird」のギター演奏

アレン・コリンズは、ジョージア州ドラヴィルのスタジオ・ワンでのセッションで、1964年製のギブソン・ファイアバードIをメインに使用していた。このファイヤーバードの初期バージョンは、ギター愛好家の間では“リバース”モデルとして知られている。ボディ上部にホーンがないため、下部のホーンがさらに突き出ているように見え、通常のソリッドボディのエレクトリック・ギターとはほぼ逆のルックスになっているからだ。

「Free Bird」の長いソロ演奏は、ピックアップとネックを付け替えたアレン・コリンズの改造モデルによるもので、ゲイリー・ロッシントンは、デュアン・オールマンが勧められたという風邪薬の小瓶をスライドとして中指に装着し、マホガニー材をボディに使用した1969年製ギブソンSGスタンダードをこの有名曲の冒頭を飾る哀愁漂うスライド・ギターに使用している。

ゲイリー・ロッシントンはまた、1969年製ギブソン・レスポール・ゴールドトップとサンバーストの1959年製レスポール・スタンダード、白い1969年製ギブソンSGスタンダードも演奏した。

 

メロトロンが織りなすストリングス

彼らの楽曲はストレートなロック・サウンドばかりではなかった。「Tuesday’s Gone」の2番のヴァースからコーラスに入る時のオーケストラのように幽玄なストリングスは、プロデューサーのアル・クーパーと、しばしばサンプラーの元祖と言われることもある音声再生楽器“メロトロン”によるものだ。

メロトロンは、本物の楽器の録音テープを再生することでバッキング・リズム、伴奏、リード・サウンドを提供するもので、当初はハモンド・オルガンに匹敵する一種の高性能エンターテインメント装置として登場し、60年代と70年代には、アル・クーパーが実証したように、オーケストラの楽器に近似した特徴的な演奏を作り出す手段として人気を博した。

『Pronounced’Lĕh-‘nérd ‘Skin-‘nérd』の発売から4年後となる1977年、ロニー・ヴァン・ザント、スティーヴ・ゲインズ、キャシー・ゲインズらの命を奪った飛行機墜落事故によってバンドは悲劇的な解散を迎えたが、このファースト・アルバムは、ロック史上最も印象的なデビュー作の1つとして今でも語り継がれている。

Written By Tony Bacon




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