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グロリア・ゲイナー、ヒット曲「I Will Survive」やゴスペルの新譜、自身の成功の秘訣を語る

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Photo: Courtesy of Artist

1978年に発売されたグロリア・ゲイナーによるヒット曲「I Will Survive」はダンスフロアだけではなく、「あなたなんでいらない  私は生き残るから」とパートナーに対して突きつけるその歌詞の力強さも相まってLGBTQコミュニティのアンセムともなっている。

6月のプライド月間に合わせて、2020年に行った彼女のインタビュー記事を掲載。「I Will Survive」の思わぬリバイバルヒットから、当時の最新作でグラミー賞を受賞したゴスペルアルバム『Testimony』まで語ってくれた。

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Gloria Gaynor – I Will Survive

 

ディスコより生き延びた歌姫

グロリア・ゲイナー(Gloria Gaynor)と彼女のヒット曲「I Will Survive」は、彼女が普及に貢献したジャンル、ディスコよりも長生きしているといえるだろう。米ニュージャージー州ニューアーク出身の彼女は、1969年にニューヨークのナイトクラブで発見されて以来、今まで生き延びてきた。

ゲイナーは、「Honeybee」とジャクソン5の「Never Can Say Goodbye」の楽しいリメイクという2枚のヒット曲で70年代を迎えて、10年間ディスコの聖火を持ち続けたが、あるB面曲で彼女のキャリアの方向性が変わることになる。1978年にリリースされたその曲「I Will Survive」は、生存の賛歌となり、LGBTQコミュニティにもすぐに受け入れられ、その後の数十年間、さまざまな運動やコミュニティにインスピレーションを与えてきた。

ダンスフロアの熱狂を集めたゲイナーだが、「I Will Survive」の発売から40年以上たった今でも、グラミー賞受賞のゴスペルアーティストとして、音楽で人々を感動させる力を持ち続けている。過去50年間、10年ごとにヒットを記録してきた彼女は、2020年、ビルボードトップゴスペルアルバムチャートでトップ5入りを果たした18枚目のスタジオアルバム『Testimony』でグラミー賞の最優秀ルーツ・ゴスペル・アルバムを受賞した。

ゲイナーが活躍した伝説的ナイトクラブ“スタジオ54”の時代は正式に終わったが、「I Will Survive」は伝説のリミキサー/プロデューサー、エリック・クッパーによる新しいリミックスによって、今の世代に響き続けている。この新しいデジタルEPには、3つの新しいリミックスが収録されており、すべてストリーミングサービスで視聴可能だ。

 

「I Will Survive」を語る

グロリア・ゲイナーは「I Will Survive」について次のように語っている。

「“I Will Survive”は、人生で困難や悲劇に直面する人々のための世界中のアンセムとなっています。そして今の時代は、これまで以上に、可能な限り音楽を通じてお互いを助け合い、励ましやインスピレーションを与える必要があると思うんです」

新しいリミックスとともに、この象徴的なアンセムは、パンデミックの最中にゲイナーがTikTokに手洗いの指導ビデオを共有し、#iwillsurvivechallenge を始めた後に復活を遂げた。この動画は、この曲に合わせて口パクをするようファンに呼びかけ、400万回以上の再生回数を記録している。

Gloria Gaynor #WashYourHands #IWillSurviveChallenge on TikTok

この曲が各世代に受け入れられていく中で、ゲイナーはこの曲についてこう説明する。

「その時々で私にとっての意味が違うんです。ですが誰かを元気づけ、励ます機会であることに変わりはありません」

この曲の粘り強い精神は、ゲイナーが歩んできた歴史を知る人であれば、決して偶然だとは思わないであろう。1978年まで、彼女はレーベルとの衝突、世間のディスコへの反発、そしてステージのモニターから転倒して腰から下が一時的に麻痺したことによる深刻な脊椎手術などを乗り越えてきた。背中に固定具をつけたままレコーディングしたゲイナーは、この曲を単なるダンスソング以上のものにしてリスナーに提供したのだ。

「この曲のおかげで、ファンがいろいろな話をしてくれるようになり、私の目的の核となったんです。そしてこの曲は、私の新しいアルバムの土台となりました。この何年もの間、私は人々に“I Will Survive / 私は生き残る”と言い続けてきましたが、今度はその方法を伝えようと思うんです。だから、この新しいアルバム『Testimony』は、私がどのように生き延びてきたか、そして人生のどんな局面でもどうにかして生き延びることができることを伝えたいんです」

アルバムのオープニング曲「Amazing Grace」では、彼女は1978年の出発地点に立ち返っている。聖歌隊とフルバンドをバックに、ゴスペルの名曲を歌い上げる。

この曲は、スピリチュアルなスタンダード曲、オリジナル曲、そしてボブ・ディランの「Man of Peace」を含む意外な解釈で構成されたアルバムの中で最もパーソナルな曲だ。グラミー賞受賞のプロデューサー、クリス・スティーブンスとのパートナーシップにより制作されたこの曲で、ゲイナーは自身の個人的な経験をソウルフルなルーツゴスペル集に表現したのだ。

Amazing Grace

 

グロリア・ゲイナーとゴスペル

ナッシュビルの音楽業界の中心地ミュージック・ロウで最も歴史的な建物のひとつである旧RCAスタジオで録音されたこの作品は、ナッシュビルで最も優れたセッション・ミュージシャンを起用し、ライヴでレコーディングを行った。

「今の音楽とレコーディングを始めた頃の音楽の大きな違いは何かと聞かれたら、私は必ず、生のミュージシャンが一緒に演奏し、互いに刺激し合うことでしか生まれない自発的な創造性だと答えます」

過去40年間、ダンスチャートの常連だったアーティストがゴスペルのレコードを出すのは突然のことに思えるかもしれないが、実はゲイナーはこのジャンルで育ってきたのだ。

「ゴスペルは常に私のコンフォート・ゾーン(居心地の良い環境)でした。ゴスペルと世俗の音楽を分けて考える人は常に存在します。でも今の時代、人々は好きな音楽を何でも聴けるようになったんです」

「マドンナを聴いて、その後にマヘリア・ジャクソンを聴いても、誰にも止められない。だから、人々は今、欲しいものを、欲しいときに、欲しいように手に入れているのだと思います。これって批判する人が常に正しいわけではないということを示していますよね」

1980年に初めてグラミー賞の最優秀ディスコ・レコーディング賞を受賞し、40年後の2020年にもグラミー受賞を果たしたゲイナー。彼女は今回の受賞について、自分が自分のやり方で成功できることを証明したと考えている。

「長年、ゴスペル音楽をする機会を否定されてきたので、ゴスペル音楽でグラミーを受賞できたことがとても嬉しかったんです」

「『そんなこと(ゴスペル)やらなくていいよ、グラミー賞を取るために我々が努力してるから』って言われてましたが、私が自分で行動して今回ゴスペルをやるまでグラミー賞が取れませんでしたよ」

多くのアーティストがそうであるように、ゲイナーもコロナの隔離期間中、想像性を保っていた。キッチンでクリエイティブになるのと同時に、彼女は本の執筆に取り組み、Instagram Liveの「I Will Survive Monday」シリーズでファンと交流をしていた。

6月のプライド月間を迎え、彼女のアンセム的なシングル「I Will Survive」がチャートに戻ってくるのは必然だが、ゲイナーのソングブックの中でLGBTQのオーディエンスに響くのはこの曲だけでない。1983年、ゲイナーは舞台劇『ラ・カージュ・オ・フォール』のナンバー「I Am What I Am」を世界的なクラブ・ヒットにした。

「みなさん、この曲がいかに自分たちを高揚させ、励まし、刺激したかという個人的な話をたくさんしてくれました。私はこの地球上でただ存在するだけなのではなく、人のために何かをし、他の人々の人生に良い影響を与えているのだと思うと、いつも励まされます」

Gloria Gaynor – I Am What I Am.
Written By Laura Stavropoulos



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