ダイアナ・ロスのシュープリームス脱退、ラスベガスでのさよならコンサート

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既に周知の事態ではあった。しかしそれでも、シュープリームスのファンにとって、1970年1月14日の夜は心揺さぶられる夜となった。

年が明けると、ダイアナ・ロスはソロ・デビュー曲の準備を開始。またシュープリームスも、新メンバーのジーン・テレルと共にダイアナ・ロス脱退後初のアルバムを録音し始める。そのアルバム『Right On』は1970年4月に発表されるが、その時点で既に新生シュープリームスは先行シングル「Up The Ladder To The Roof」でチャートに入っていた。ダイアナ・ロスもすぐにあとに続き、ソロ・デビュー・シングル「Reach Out And Touch (Somebody’s Hand)」(ニコラス・アシュフォードとヴァレリー・シンプソンの共作)でチャート入りを果たす。

しかしこうした慌ただしいスケジュールのさなかに、公の場でお別れを言う機会が訪れた。1月14日、ラスベガスのニュー・フロンティア・カジノ&ホテルで、ダイアナ・ロス、メアリー・ウィルソン、シンディ・バードソングは3人揃っての最後のコンサートを行った(ちなみにシンディ・バードソングは、1967年にフローレンス・バラードの後任として参加したメンバーだった)。

そのステージを見ようと、同じモータウンの所属歌手だったスモーキー・ロビンソンマーヴィン・ゲイも観客の中に交じっていた。このコンサートの模様はライヴ・アルバム『Farewell』として発売されたが、意外なことに全米チャートでは最高46位に留まっている。このアルバムは、1992年に『Captured Live On Stage!』という題名で再発された。あの夜のステージでは初期シュープリームスの名曲がメドレーで演奏されたほか、「Reflections」や「Love Child」といった後期のヒット曲がフル・ヴァージョンで歌われている。そして言うまでもなく、最後の締めくくりは「Someday We’ll Be Together」だった。

新メンバーのジーン・テレルを観客に紹介する前に、ダイアナ・ロスはこう語った。

「フロンティア・ホテルに感謝します。それからもちろん、ファンのみなさんにも、これまで10年間に私たちを支えてくれたすべての人にも感謝しています」

それからちょうど6日後、ダイアナ・ロスはスタジオ入りして「Reach Out And Touch」を吹き込んだ。こうしてシュープリームスのファンにとっても、1960年代は正式に終わりを迎えたのだった。

Written by Paul Sexton




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