(function(h,o,t,j,a,r){ h.hj=h.hj||function(){(h.hj.q=h.hj.q||[]).push(arguments)}; h._hjSettings={hjid:104204,hjsv:5}; a=o.getElementsByTagName('head')[0]; r=o.createElement('script');r.async=1; r.src=t+h._hjSettings.hjid+j+h._hjSettings.hjsv; a.appendChild(r); })(window,document,'//static.hotjar.com/c/hotjar-','.js?sv=');
Join us

Stories

ケミカル・ブラザーズ 原点回帰と進化の新作インタビュー「こんまりは絶対に僕のやり方を認めてくれないだろうね」

Published on

2019年4月12日に発売となったケミカル・ブラザーズの新作アルバム『No Geography』。このアルバムについてメンバーのトム・ローランズが日本のために語ってくれたインタビューを掲載します。


Q:『No Geography』のジャケット写真は、あなた達の活動初期のシングル作品群を彷彿とさせるようなデザインになってます。原点回帰という思いはあなた達の中でもあったのでしょうか?

あの写真を見つけた時は確かに初期のアートワークとイメージが重なったよ。その中で最も思い出させられたのはファースト・アルバム『Exit Planet Dust(さらばダスト惑星)』だった。ファーストでは先へと進む道路の手前を二人の人物が歩き続けている。だから僕とエド的にはファースト・アルバムの写真の先にあるのがもしかしたら今作のアートワークなんじゃないかなという気がしている。確かにファーストとの繋がりは感じていて、初期作のフィーリングを醸し出しながらも今の時代を意識しながら作ったスピリッツが今作からにじみ出ている。今までやってきたことの繰り返しはしたくないけど、でも確かに僕らの初期の作品にあった緩さとダイレクトさはあるよね、

Q: アルバムは4年ぶりとなりますが、その間のあなたたちの活動や製作中のマインドがどのように変化していったのですか?

主にライヴ活動中心に過ごしていた。2015年に前作をリリースしてから2015年~2016年はツアーを行い、2017年にスタジオ入りして、去年もかなりの数のツアーをこなした。4年中3年をライヴとDJ活動に費やした経験がこの作品に影響を与えていて、スタジオ入りしながら頻繁にライヴ活動を行っていた『Exit Planet Dust』や『Dig Your Own Hole』の制作時と似たような状況だった。

去年の夏は数多くのツアーをこなしながらライヴで未完成曲も演奏していたんだ。ライヴに出かけては 「Free Yourself」や 「Got To Keep On」を演奏し、ツアー終わりにスタジオへ戻ってからライヴ経験から学んだことをアレンジやサウンドに反映させた。それは初期のバンド時代でもやっていたことだ。書きかけの曲をライヴで演奏し、ライヴで学んだことをアルバム制作時に活かしたんだ。僕らはライヴで使える曲を作りたいという気持ちが強かったんだと思う。コンサートで演奏したい楽曲中心に作っていて、そういうスピリッツが詰まっているからこそフィーリングが変わったんだと思う。

Q: アルバムは20年間眠っていた機材を引っ張り出し、スタジオ内に最初の2作を作った小さな部屋を作って作業することからスタートしたそうですが、昔のように機材を使いこなすことはできましたか? よかった点、悪かった点を教えて下さい

僕のスタジオにはそれぞれ異なるセッティングがされている2つの部屋があるんだ。あるミュージシャンと話していた時に「それぞれ違うシステムの小規模のセッティングをいくつか回りながら僕は作業をする。場所を変えることによって頭を切り替えながらこっちの小さい空間からあっちの小さい空間で違う作業をしてるよ」と聞いて、そういえばスタジオの2階に使わなくなったけど捨てられない機材を放置している部屋があったのを思い出した。でも奥さんが嫌がるんだよね~(笑)。NETFLIXで番組をやってる整理整頓を推奨するあの女性って誰だっけ? 。何て名前だっけ?日本人の。あぁ、こんまり。

Q: 見てるんですか?

いや、見てはいない。でも彼女は絶対に僕のやり方を認めてくれないだろうね。幸い僕はこんまり流を無視して何一つ捨てずに残してきたおかげで、若い頃、自分の部屋で音楽を作っていた時に使っていた機材を見つけて、スタジオの隅に初めて音楽制作をしていた頃のような空間を作ることができたんだ。(違う空間があることによって)作業の進め方が変わって、集中の仕方も変わったのが僕にとって面白い発見となった。僕らのスタジオでの作業はいろんな選択肢があるし、素晴らしい機材が揃っている。驚くほど素晴らしい機能があるちょっとしたものが揃っているんだ。ある1か所をミクロ的に集中したいときやアイディアを発展させる時に丁度良かったんだよ。

例えば、15年ほど使い倒した機材があって、その楽器で演奏の仕方を学んだとする。一時にその楽器から離れて違うものに興味を持ったとしても、しばらくぶりにその楽器を持った瞬間、手に吸い付くような感覚を味わう。落ち着くんだ。そんな感じで生まれたアイディアを次のステップとしてメイン・スタジオに持ち込んだ。(古い機材を使ったことによって)何かが確かに呼び起こされ、今作に染み込んでいった。でも実は今までもアルバム制作時は好んでいろんな作業環境で音楽作りをしてきたんだよ。というのもやり方を変えることによって気分や考え方が変わり、アコースティック楽器を前にすることによって通常とは違う何かが生まれる可能性がある。何かを繋げてギター演奏をしたり、違う部屋で演奏してみたり、その部屋での演奏音を確認してからその部屋でレコーディングを行ったり。こういう要素が全てアルバム制作に反映されるから当然色んな方法を試してみることになんだね。

Q: アルバムを聴いて、まず最初に思ったのが、近年の中でも非常に”プリミティヴ”な魅力を持った作品だということです。荒削りで非常に生々しいといいますか。このようなサウンドの質感はどのようにして得られたものなのでしょうか?

直感的で本能的に聞こえるサウンドも実は時間をかけて作っているんだ。長年かけて培ったスキルを駆使して僕らは時間をかけながらあの直感的でミュージシャンになりたての頃のフィーリングを伝えられるよう努力した。何時間もジャミングしてレコーディングし、色んな演奏を試してぴったり合うパートを探し求めた。ここまで生々しくフレッシュなサウンドを作り上げるにはそれ相当な努力が必要なんだ。

Q: アルバム制作の中で、転換点となったエピソードや楽曲はありますか?

アルバム制作の初期段階で、ライブでDJを再び初めた時に「Free Yourself」の超初期バージョンを演奏したんだけれど、その時に新しいやり方に気付かされたことはあった。その後「MAH」と 「Got To Keep On」 ができて、お客さんにとっては初めて聞く曲であっても 「Star Guitar」みたいな曲の前後に入れてもしっくりきたんだ。その時にこれは上手くいくと実感したよ。

Q: アルバムのオープニングを飾る「Eve of Destruction」ではゆるふわギャングのNENEが参加しています。彼女との出会い、作業のエピソードを教えてください。

インターネットの偉大な力を借りて制作を進めたんだけれど、この曲を制作中に聴いていたらなぜか日本語の声がふとイメージとして湧き上がったんだ。この曲のこの部分に(日本語が)はまると直感したんだよね。僕らは今作の制作ではとにかく本能に従い、心地よさを優先し、理由づけはいらないというスタンスで挑んだ。そんな時にこの曲に合う声を探していたら彼女の曲と出会った。日本の友人と話していた時に彼女の作品やバンドのレコードを勧められて聴いてみたら彼女は間違いなく適任だって確信したよ。すごく上手くいったし、彼女がやってみたいと言ってくれた時はワクワクしたよ。

Eve Of Destruction

Eve Of Destruction

 

Q: あえて日本語でオーダーした理由を教えてください。

(この曲に)驚きとインターナショナルなフィーリングを与えたかったんだ。曲の中盤に出てくる日本語に対して「何であんなことをしたんだ?」という声にも「そりゃ聞き心地良かったし、作り手としてもしっくり感があったからだ」と言い返せるような箇所が欲しかった。興奮させられたし「これだ!」って思わず声を上げたくなるような要素だ。「そろそろ彼女のパートだ!」って聞きながらワクワクさせられるような曲になったよ。制作中も彼女のパートになると僕らは毎回エキサイトしていたんだよ。

Q: 彼女は日本語で「ぶっ壊したい何もかも」という印象的なリリックを綴ってます。

そうそう「ぶっ壊したい何もかも」ね。彼女が何を言っているのかちゃんと訳したんだよ。「コワシテナニヌカモ」(笑)。

Q: この言葉にあなたたちのモチベーションが集約されていたと言えますでしょうか?

もともとは別のヴォーカリスト、オーロラというノルウェー人のアーティストとのコラボレーションだったんだ。彼女との仕事はとても楽しかったところから 「Eve of Destruction」のコンセプトが生まれたんだ。この曲のアイディアがまとまってからNENEに送ったんだ。なので「Eve of Destruction」のアイディアを元に「ぶっ壊したい何もかも」という歌詞がきっと生まれたんだろうね。僕とエドは最初、あの歌詞を発する彼女の声そのものに惚れ込んだんだ。後から「実際の所、彼女はなんて言っているんだろ?」と不思議に思い調べた結果、また大満足。良いサプライズだったよ。

Q : 「Eve of Destruction」や「Bango」、「We’ve Got To Try」など、今作はベースの格好いい曲がかなり多く、曲を牽引しているような印象もありますが、そうしたこだわりはありましたか?

僕らにしてみればダンス・ミュージックを含む全ての音楽の基礎はベースであるべきだと信じているし、楽曲の基礎であるドラムとベースが良ければ後の物は自然とついてくると思っている。だから僕らはベースラインにはこだわっているよ。ベースラインには常にワクワクさせられているよ。

The Chemical Brothers – We've Got To Try

The Chemical Brothers - We've Got To Try

 

Q: クレジット周りの情報が来てないので確認できないのですが、「We’ve Got To Try」はソウルフルなボイスやストリングスのサンプルなどをかなり中毒性の高いトラックと大胆に掛け合わせた暴力的で高揚感のあるデジタル・ファンクです。この曲はどのようにして作られていったのでしょうか?

“暴力的で高揚感のあるデジタル・ファンク”?それ、いいね!この曲がどのようにして作られたかって? Halleluiah Chorusというバンドのサンプルを長年温存していたんだ。大昔に7インチ・レコードを見つけたんだよ。この曲のヴォーカルがとても魅了的で、でも僕がやりたかったこととイマイチ合わなかったので知り合いに声をかけて使いたかったサンプル部分を歌いなおしてもらって再構築し、僕らが手掛けていた楽曲と合わせたんだ。その結果…なぜ合ったのかとか、上手くいったのかとか、コンビネーションがはまったのかなんて説明するのは難しい。様々なコンビネーションが上手くまとまるのは音楽が作り出す魔法なんだと思う。それを好きだと言ってくれるのは嬉しいし、暴力的で高揚感のあるファンクだなんて良い表現だよね。

Q: 「MAH」や「The Universe Sent Me」に代表されるように、今作はシンセやビートのプリミティヴな魅力に導かれていった作品のように感じたのですが、一方でメロディの方はどの程度、意識されたものだったでしょうか?

とりあえず全てにおいて意識しているよ。音楽的要素のバランスと緊張感と…なんて表現するべきか悩むけど。ご存知の通り僕らはアルバム制作をしていて、その作業に没頭していた。アルバム制作の技術的なことを言うといろんな要素を巧みにやりくりして、構造的に甘さとパワフルでワイルドな要素のバランスを図る。そのバランスも作業の過程の中から生まれてくる。明確な答えはないけれど、今作の制作において(うまいバランスが)見つかった時は気持ちよかったよ。本能だね。

Q: 通常、多くのアーティストはキャリアを重ねる中で、”洗練”という罠にハマって勢いを失ってしまいがちですが、あなたたちがそうならなかったのは何故なのでしょうか?

僕らも長くやってるからね(笑)。それは僕らもそういう風に傾きそうになったことはある。さっきも言ったように、音楽制作を始めたばかりの頃は一辺倒のことしかできない。音楽制作をやればやるほど選択肢が増え、「こんなことができる、こんなこともできる、ちょっと奇抜なこのジャズ・コードをここに入れてしまおうか」ということにもなる。だけど時には学んだことを全て捨て去ることも必要だ。特にエレクトロニック・ミュージックを数多く手掛けていると作業のプロセスや様々な音楽制作がメインになってくるけれどそれでも僕はプロセスを忘れ去りたくなる。音楽制作で僕の好きな瞬間がどういうものかというと、考えなくても自然と曲が出来上がってしまう時。さっきも言ったようにそれは本能であり、僕らは本能に導かれるままどこかに連れて行ってもらうんだ。でも確かに知識や技術をひけらかしたりクレバーで洗練された音楽作りに必死になる人もいるけれど、よりダイレクトなアプローチとして一見シンプルなものこそ実は複雑だったりする(笑)。例えばこの回答もそうだよね。

Q: その中で、今作のタイトルを『No Geography』と定めたのはどのようなきっかけや理由があったのでしょうか?

タイトルには僕らの願望が込められているんだと思う。『No Geography』というタイトルはアルバムの収録曲で使った詩から来ているんだ。ある二人の関係を綴っている詩で、地理的に離れていても愛によって二人は通じ合っているから地理的な分断はないという内容なんだ。僕らは人間同士のエモーショナルな繋がりについて、そして更には人と人の間には”ノー・ジオグラフィー”、すなわち分断はないという内容に共感したんだ。人々の間に分断はない。世界中を周り、大勢の前で演奏して僕らのライヴを見てもらうために人々を家から外へと連れ出している訳だけれど、そういうことから僕らが何を経験したかというと“人間という生き物は皆同じようなことに反応し、基本的に他の人間と交流を持ちたがる”ということだ。このアルバムはそういうフィーリングが詰まっているように思えたんだ。僕らが今暮らすこの時代、特に僕らの国では今まで以上に分断と分離が激しく、人と人の間に壁ができているけれどこのタイトルは僕らが成し遂げようとしていることを上手く表現していると思った。「No Geography」という曲はマイケル・ブラウンステインという詩人が70年代、もしくは80年代初期に書いた詩に基づいている。僕らはこの詩にいたく共感してサンプリングをしたんだ。調べてみて!


ケミカル・ブラザーズ『No Geography』

CD&LP / iTunes / Apple Music / Spotify 


 

Share this story
Share
日本版uDiscoverSNSをフォローして最新情報をGET!!

uDiscover store

Click to comment

Leave a Reply

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

Don't Miss