レミー・キルミスターに乾杯:モーターヘッドの今は亡き偉大なるフロントマンを称えて

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12月24日はクリスマス・イヴ。しかしロック・ファンにとってはそれだけではない。この日はイアン・フレイザー・キルミスターの誕生日。すなわちモーターヘッドの今は亡き偉大なるフロントマン、レミーの誕生日でもあるのだ。

レミーはかつてホークウインドのメンバーだったが、カナダの税関でドラッグ所持容疑をかけられて拘留された結果、バンドから解雇された。この事件は、のちの彼にしてみればおそらく最高の出来事だったのだろう。もっとも本人は当時そう考えてはいなかった。1977年の雑誌サウンズのインタビューで、彼は非常に辛い思いをしたと語っている。「あのバンドから追い出された時は全く信じられなかった。ただただ泣き崩れてたよ。2日間、何がどうなってるのか全然わからなかったし、どうでもいいやという気分にもなってた。でも誰だって、立ち直らなきゃいけないからね」。

レミーは、自分の新しいバンドにモーターヘッドと名付けた。これは、この不運な解雇事件の直前に作り上げていた曲の題名にちなんだものだった。バンド名に関してはバスタードという名前も候補に挙がっていたが、そちらの案は(賢明なことに)ボツになった。

モーターヘッドは1977年にデビュー・アルバム『Motorhead』をチジック・レーベルから発表。その2年後の1979年にはブロンズ・レーベルに移籍し『Overkill』を出している。この1979年には、この『Overkill』を含め3枚のアルバムがチャート入りを果たした。やがて’80年代に入ると、アルバム『Ace Of Spades』とそのタイトル曲が大ヒットし、モーターヘッドはブリティッシュ・ロックの一流バンドにのし上がる。その1年後には、アルバム『No Sleep ‘Til Hammersmith(邦題:極悪ライヴ ノー・スリープ・ティル・ハマー)』が全英チャートの首位に到達。それ以降、メンバーは次々に入れ替わったものの、このバンドは力強い作品を発表し続けた。

近年のモーターヘッドはレミー(ベース)、フィル・”ウィゾ”・キャンベル(リズム/リード・ギター)、ミッキー・ディー(ドラムス)という3人編成に落ち着いていた。2015年8月には22枚目の(そして残念ながら最後の)スタジオ・アルバム『Bad Magic』を発表。次に挙げるのは、その収録曲「When The Sky Comes Looking For You」のプロモ・ビデオである。

 

ご存じのように、レミーは70歳の誕生日を迎えてからわずか4日後の2015年12月28日に亡くなった。しかし彼の生き方と音楽は、最初のころからずっと変わらなかった。モーターヘッドがスターへの階段を昇り始めたころ、雑誌NMEのインタビューで彼はこう語っていた。「ガキどもを楽しませることができれば、それでもう十分。芸術だのなんだのはどうでもいい――ああいうのはクソだ。ガキの背筋をゾクゾクっとさせるようなことをやる。それが肝心なんだよ」。

「そもそもロックン・ロールというのはそういうもんだったし、俺に関する限り、そこが今でも一番大事なんだ。昔、初めて‘All Shook Up(邦題:恋にしびれて)’や‘Good Golly Miss Molly’を聴いたときに、俺もゾクゾクっと来た。そういう気持ちをガキどもにも味わわせてやろうと頑張ってるんだよ。とにかく背筋をゾクゾクッとさせてやりたいだけ。あれは、俺が人生の中で味わった最高の感触だったからね」。

Written by Paul Sexton


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