タグ: Mick Rock

  • 数々の有名ロックミュージシャンを撮影した写真家、ミック・ロックが逝去。その功績を辿る

    数々の有名ロックミュージシャンを撮影した写真家、ミック・ロックが逝去。その功績を辿る

    デヴィッド・ボウイ、クイーン、ルー・リード、ザ・ストゥージズ、セックス・ピストルズなどを撮影したことで有名な伝説的音楽写真家、ミック・ロック(Mick Rock)が2021年11月18日に逝去した。72歳だった。死因は現時点で明らかにされていない。ミック・ロックの死は、彼の公式Twitterアカウントを通じて発表された。声明は次の通り。

    「我々の最愛のサイケデリック・レネゲードであるミック・ロックが、別の世界へ精神的な旅に出たことをお伝えすることは、心が大変重いです」

    「ミック・ロックは “70年代を撮った男”以上の存在であったことを、彼の軌道に乗ることができた皆さんはご存じのとおりです。彼は写真の詩人であり、真の自然の力であり、彼は自分の好きなことを、いつも自分なりに楽しくとんでもない方法でやって日々を過ごしていました」

    「ミックがカメラの前にいるとき、スターたちは楽々と並んでいるように見えました。被写体のユニークなカリスマ性を利用することで、彼は電気を帯び、エネルギーを得ていたのです」

    「彼の意図するものは常に激しく、彼の集中力は常にとぎれませんでした。イメージに魅了された彼は、レンズを通して視覚的な存在を吸収し、彼らの芸術に没頭することで、ロックミュージックがこれまでに見たことのないような壮大なイメージを生み出したのです。ミックを知ることとは、彼を愛することです。彼は我々が二度と経験できないような、神話的な生き物だった」

    <関連記事>
    クイーン『Queen II / クイーンII』制作秘話
    ロック・アイコンの撮影の裏側にいた男:ミック・ロック
    2021年に亡くなったミュージシャン、音楽業界の関係者たち

     

    その生涯

    イギリスのハマースミスで生まれたマイケル・デビッド・ロックは、ケンブリッジ大学在学中に写真を撮り始め、地元のコンサートを記録するようになった。そんな時、ミック・ロックは1972年にデヴィッド・ボウイと出会い、一時は彼の公式フォトグラファーを務め、”ジギー・スターダスト”としてのボウイの最も象徴的な写真を撮影し、ボウイの「Space Oddity」「Jean Genie」「John, I’m Only Dancing」のミュージック・ビデオを制作・監督した。

    David Bowie – Space Oddity (Official Video)

    また、ルー・リードの『Transformer』や『Coney Island Baby』、イギー・ポップとストゥージーズの『Raw Power』、クイーンの『Queen II』、ラモーンズの『End of the Century』、ジョーン・ジェットの『I Love Rock ‘n Roll』など、ロック界で最も記憶に残るアルバムジャケットもロックによる作品だ。

    また、ミック・ロックが撮影した他のアーティストには、ミスフィッツ、スヌープ・ドッグ、レディー・ガガ、キラーズ、アリシア・キーズ、マイリー・サイラス、ヤー・ヤー・ヤーズ、クイーンズ・オブ・ザ・ストーン・エイジ、ダフト・パンク、ブラック・キーズ、ホール&オーツ、MGMTなどがおり、そのキャリアは多岐にわたっている。また、2001年には自身のキャリアについての本『Psychedelic Renegades』を上梓している。

    この写真家への訃報についてクイーンのブライアン・メイは、クイーンの象徴的なショットを撮影してくれたことを偲び、次のようにInstagramでコメントしている。

    「我々の友人である写真家のミック・ロックが亡くなったと聞いて悲しく、ショックを受けています。彼は1974年に“QUEEN II”のアルバム・カバーのために我々の象徴的な写真を撮影するためにシャッターを切りましたが、当時の私達は大スターなんかではありませんでした」

    「私たち4人に用いられたマーレン・ディートリッヒ式の照明(グループ全体に1つの光源だけを照射)は、私たちに永遠のイメージを与え、数年後の私たちの‘Bohemian Rhapsody’のミュージック・ビデオの一部に影響を与えてくれ、そしてその影響は、その後何年にもわたって、いろんな人によって広く使われています」

    「ミックはデヴィッド・ボウイのために多くの印象的な仕事をし、スタジオでもライヴでもイメージを創り出したんです。彼の作品は間違いなく輝き続けるでしょう。RIP Mr Rock」

    作家のバーニー・ホスキンスが2014年に出版した『The Rise of David Bowie』に掲載されたインタビューで、ミック・ロックはこう振り返っている。

    「テクニックにこだわらず、とにかく写真を撮ることを早くから学びました。初期のフィルムの多くは自分で処理したもので、光量が少なかったために粒状のものが多かった。私はライトメーターを使ったことがなく、ただ推測していたんです」

    「1973年のボウイのサックス・セッションのようなスタジオワークをする頃には、ハッセルブラッドを手に入れ、ポラロイドを使っていました。ドイツ系アメリカ人のファッション写真家ホルスト・P・ホルストが、現代の写真家が技術的なものにこだわるのは理解できないと言っていたのを覚えています。彼は、“私はほとんど1つのライトで仕事をしていて、気に入ったものが見つかるまでライトを動かすだけだ”と言っていたんです」

    「重要なのは、私が何からも抑制されていなかったことです。若い写真家にアドバイスを求められたとき、私はたいてい “自分のこだわりを貫きなさい。一回のセッションよりも、すべての要素の合計に価値があるようなコレクションを作ってみてください” と伝えています」

    Written By Tim Peacock



     

  • ロック・アイコンの撮影の裏側にいた男:ミック・ロック

    70年代、80年代のロック・シーンにおいて、偉大な有名人たちをとらえたレンズの向こう側にいた写真家ミック・ロック、その人生は彼の被写体の人生と肩を並べるものである。

    アイコニックなイギリスのロック・フォトグラファーの人生が『Shot! The Psycho-Spiritual Mantra Of Rock』というタイトルのドキュメンタリーとなって劇場公開、ストリーミングが開始された。(*訳注:日本公開は未定)

    SHOT! Mick Rock Documentary

    ミック・ロックは、その時代のもっとも忘れられない瞬間を切り取ることがある。たとえば、ルー・リードに名誉を授けることになったアルバム 『Transformer』 や 『Raw Power』のカヴァーや、後に「Bohemian Rhapsody」のVideoに再構築されるクイーンの『Queen II』のカヴァーなどのように。他にもデヴィッド・ボウイの性別不明な美しさやイギー・ポップの筋骨たくましい生々しさ、フレディ・マーキュリーの傷つきやすさなどもとらえていた。

    まるで自身のサー・ネーム“ロック”のように、ミック・ロックは熱狂的身をささげ、自身の生得権を追及した、そして、映像監督のバーナビー・クレイはその詳細を余すところなくすべてとらえている。しかしこれは、単なる型にはまったセックス、ドラッグ、ロックン・ロールの話ではなく、ミック・ロックの個人的なアーカイヴやコンタクト・シートなどを掘り下げることで、彼がすべての撮影でいかにその瞬間をとらえてきたかということ、そして彼の伝説的なロックの神々についての物語を吟じるものである。

    ミック・ロックは、映画内で、「だれも俺のことを部外者だとは考えていなかったよ。俺は人生の一部だった。認められていたし、彼らはそれをわかっていたと思う」と語っている。

    映画は、亡くなったデヴィッド・ボウイやフレディ・マーキュリー、ルー・リードやピンクフロイドの創始者であるシド・バレットなどのレジェンドの未公開映像や未発表音源などの宝庫となっている。

    彼の名による本のシリーズでは、何十年にも及び、ミック・ロックのレンズの裏側の様子がとらえられている。それらには、ブロンディ、モトリー・クルー、セックス・ピストルズ、スヌープ・ドッグ、ヤー・ヤー・ヤーズ、ファーザー・ジョン・ミスティなど今日までに及ぶ多くのアーティストの撮影が含まれている。

     

    3度の心臓発作、オーヴァードーズ寸前になるなど、彼の被写体たちが生き延びることができなかった事柄をミック・ロックは生き延びてきた。しかし、彼は過去を理想化しすぎることはなく、多弁かつ魅力的な語り部となっている。


    『Shot! The Psycho-Spiritual Mantra Of Rock』 は劇場にて公開中、また、Amazon Video, iTunesや他のサービスでストリーミングされている。(日本公開/販売は未定)。

    映画の予告編はこちら(英語)