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ジョージ・ハリスン『GONE TROPPO』

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ジョージ・ハリスン『GONE TROPPO』

ジョージにとって10作目となるスタジオ・アルバムは、1982年5月上旬から8月末にかけてその大部分がレコーディングされた。それは『Somewhere In England』がリリースされてから1年余りが経った時のことだった。本作はワーナー・ブラザーズとの契約下で制作された最後のアルバムであり、そのことを念頭に置いて作られた感もあるが、多くの驚きに満ちた本作の概説としては、それはあまりに単純化が過ぎるというものだ。

『Gone Troppo』は1982年11月にダーク・ホースからリリースされたが、ジョージは本作のプロモーション活動を全く行わず、彼の心は他のプロジェクトに奪われていた。 この時期、ジョージの音楽業界に対する見解は、恐らく本作のアルバム・タイトルに最も巧く要約されているだろう。これはオーストラリアの俗語表現で「頭がおかしくなる」という意味であり、元ボンゾ・ドッグ・バンドのレッグスことラリー・スミスが手掛けた素晴らしいアルバム・ジャケットのアートワークに、その感覚が反映されている。

このアルバムには、ジョージの音楽仲間が多数参加。英国の頼れるパーカッショニスト、レイ・クーパーは、マリンバやグロッケンシュピール、エレクトリック・ピアノも担当、ドラムスはヘンリー・スピネッティ、ベースにはハービー・フラワーズ、ビリー・プレストンはオルガン、ピアノ、キーボード、シンセサイザーおよびバッキング・ヴォーカルを担当、ジム・ケルトナーはドラムスとパーカッション、マイク・モランはキーボード、ジョー・ブラウンはマンドリンとバッキング・ボーカル、そしてジョーの妻ヴィッキーもバッキング・ボーカルを担当している。こういった才能の結集がアルバムに多大な貢献を果たし、フライアー・パークのスタジオで録音された本作は、珠玉の楽曲を含む精巧な作品に仕上がった。

そういった曲の一つが、アルバムを締めくくる「Circles」だ。これが書かれたのは1968年、ビートルズがマハリシ・マヘシュ・ヨーギのもとで超越瞑想を学んでいた時のこと。輪廻転生がテーマとなっており、曲名は人間の存在の周期性を指している。 ジョージは1968年5月に、自宅で「Circles」のデモを録音。 1979年発表の『Gone Troppo』に収録するため最終的にレコーディングする以前にも、1979年のアルバム『George Harrison』のセッション中に再検討したことがあった。 アメリカでは1983年2月、本アルバムからの第2弾シングル「I Really Love You」のB面として選ばれている。

「Dream Away」もまた、本作の収録曲中、ファンと評論家の両方から特に人気が高い曲で、ジョージが設立した映画製作会社ハンドメイド・フィルムスが手掛けた1981年公開の映画『バンデットQ』(原題:Time Bandits)のエンドクレジットで流れていた。これはテリー・ギリアムがソロとなって成功を収めた初めての映画だった。この映画で使用された歌はこれのみで、オーケストラによるサウンドトラックが、映画用に書き下ろされている。ギリアムによれば、この曲の歌詞は、映画製作中のギリアムの行動と、彼が頑としてジョージの曲をサウンドトラックに使用しなかった時に生じた緊張感について、ジョージが綴ったメモが元になっているとのことだ。

「Wake Up My Love(邦題:愛に気づいて)」は、本アルバムからの第1弾シングルのA面で、全米シングル・チャート最高位53位。「That’s The Way It Goes」はハワイとオーストラリアで書かれたもので、世の中がカネと地位にばかり夢中になっていることに対するジョージの見解が表されており、それが不可逆的であることを彼は受け入れるようになっていた。この曲は、本作の中でも特にジョージが気に入っているものの1つで、評論家の間でも人気が高く、コンピレーション・アルバム『Best of Dark Horse 1976-1989』にも収録。2002年11月、ジョージが亡くなってから1年後、ロンドンで開催された『コンサート・フォー・ジョージ』では、ジョー・ブラウンがこの曲を披露している。本作に収録されているカヴァー曲は1曲。 リロイ・スウェアリンジェンが書き、ヴォーカル・グループのザ・ステレオズが1961年にレコーディングして全米29位となった「I Really Love You」がそれだ。

発表当時は珍しく成功に至らず、全米アルバム・チャートで108位に終わったものの、本作は年月が経つにつれ、より正当な評価を受けるようになったアルバムだ。 2004年、 ローリング・ストーン誌はレビューで次のように述べている。「『Gone Troppo』は、ハリスンの作品中、最も過小評価されたアルバムかもしれない…….。ここでは最も肩の力が抜けた、遊び心たっぷりのハリスンの姿が捉えられている。」

ジョージのアルバムの何作かに言えることだが、『Gone Troppor』もまた、年を経るにつれ味わいの深まった作品の一つだ。これを掘り起こしてかけながら、世界が今とは大変異なる場所だった、30年以上前の時代に思いを馳せようではないか。

- Richard Havers

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George Harrison - Gone Troppo

 

 

George Harrison - Gone Troppo

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