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ジョージ・ハリスン『EXTRA TEXTURE(邦題:ジョージ・ハリスン帝国)』

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ジョージ・ハリスン『EXTRA TEXTURE(邦題:ジョージ・ハリスン帝国)』

 不運に見舞われた1974年のツアー後、ジョージは1975年1月、フライアー・パークに帰還。デレク・テイラーにこう語っている「飛行機から降りて、家に帰ると、まず庭に行ったんだ。すごくホッとしたよ。 あの時、僕は神経衰弱スレスレだった。 家の中に入ることさえできなかったんだ」。

その3ヵ月後、新しいアルバムを録音するためロサンゼルスに戻ったジョージ。 それはジョージにとって、EMI/アップルからリリースされる最後の作品となった。またLAでは、自身のレコード・レーベル<ダーク・ホース>や、同社が契約して間もないアーティスト達、つまりステアステップス、ヘンリー・マカラック、そしてアティテュードらの事務処理も行なっていた。

別のダーク・ホース契約アーティストであるスプリンターが、ロサンゼルスのラ・ブレア・アベニューにあるA&Mのスタジオを予約していたものの、様々な事情からセッションを行うことができなくなったため、ジョージはその時間をアルバムのレコーディングに使うことにした。それが後に、(正式名称で)『Extra Texture (Read All About It)』 となるアルバムだ。 ジョージが長らく抱えてきた感情の発露となった、この作品の制作に手を貸したミュージシャンには、ゲイリー・ライト、ジェシー・エド・デイヴィス、クラウス・フォアマン、トム・スコット、そしてジム・ホーンら、数多くの旧友が含まれている。

本作のほぼ全体に参加しているもう1人の旧友が、ドラマーのジム・ケルトナーだ。彼はカナダのキーボード奏者デヴィッド・フォスターと共にアティテュードを結成していた。フォスターは『Extra Texture (Read All About It)』で、ピアノ、オルガン、シンセサイザーを担当しており、「This Guitar (Can’t Keep from Crying)(邦題:ギターが泣いている)」と「The Answer’s at the End(邦題:答えは最後に)」「Can’t Stop Thinking About You(邦題:つのる想い)」 でストリングスの編曲に貢献。LAのセッションでは、アティテュードのポール・ストールワースが、ジョージ自身やフォアマンとベースを分担している。

1975年4月21日から5月7日にかけ、ジョージは書き溜めていた曲のベーシック・トラックを録音。まず着手したのが「Tired of Midnight Blue(邦題:哀しみのミッドナイト・ブルー)」と「The Answer’s at the End」だ。 5月31日にジョージはオーバーダブを開始し、この時、「You(邦題:二人はアイ・ラヴ・ユー)」と呼んでいた曲を再検討することにした。これは、ロニー・スペクターが夫フィル・スペクターによるプロデュースの下、アップルからソロ・アルバムのリリースを計画していた際、1971年2月上旬に録音していた曲だ。 ロサンゼルスでは、ジム・ホーンがサックス・ソロを録音するためスタジオ入りし、他の楽器パートも追加された。本作には同曲のリプライズで、それにふさわしいタイトルが付けられた「A Bit More of You(邦題:君を抱きしめて)」も収録されている。

ジョージによるスモーキー・ロビンソンへの豪華なトリビュート曲「Ooh Baby (You Know That I Love You)(邦題:うー・ベイビー、わかるかい)」と、「His Name Is Legs (Ladies and Gentlemen)(邦題:主人公レッグス)」では、サックス奏者トム・スコットに加え、ジョージのツアー・バンドの一員だったトランペッターのチャック・フィンドリーが、ホーンのオーバーダブに参加。 曲題にある“Legs”は、1960年代に活躍し、コメディ・チームのモンティ・パイソンらにも多大な影響を与えた、ボンゾ・ドッグ・バンドのドラマー、“レッグス”ことラリー・スミスを指す。この曲のベーシック・トラックは、前年に行ったアルバム『Dark Horses』のセッション中にフライアー・パークで録音されたものだ。

スモーキーにインスピレーションを受けたジョージの曲は、思ったほど、本作の残りの大半の曲からかけ離れたトラックにはなっていない。『Extra Texture』は、ジョージの“ソウル・アルバム”であり、彼が魂(ソウル)をさらけだしていると同時に、この時点までのキャリアで手掛けてきたソロ曲との大半と比べ、よりソウルフルなアプローチを取っている。本作は、所々メランコリックである一方、時の試練に耐え得る非常に美しいアルバムでもある。

本作において、フライアー・パークにあるジョージの家にインスピレーションを受けた「The Answer’s at the End」より美しい曲は恐らく他にないだろう。 オックスフォードシャー州ヘンリー・オン・テムズにあるヴィクトリア朝ゴシック様式のその邸宅は、1890年代、ロンドン市の弁護士で顕微鏡愛好家のフランク・クリスプによって、13世紀の修道院の跡地に建設された。 家のインテリア・デザインと庭園の両方に、クリスプの奇抜な発想や風変わりな嗜好が反映されており、庭の塀の入り口上部に次のような碑文が刻まれているのをジョージは見つけた。「友人を顕微鏡で注意深く調べてはいけない。彼の短所は分かっているのだから、些細な欠点など受け流すことだ。友よ、人生は一つの長い謎である。だから、読んで、読み通すのだ、答えは最後にある」。

(ビートルズが崩壊へと向かっていた辛い時期、恐らくジョージが心に留めていたであろう)このような胸を打つ文章を見つけ出すということと、その文にこんなにも素敵なメロディーを付けるということは、全くの別物だ。 このトラックは、デヴィッド・フォスターが手掛けた素敵な弦楽アレンジから多大な恩恵を受けているが、それ以上に効果を発揮しているのが彼の華麗なピアノ演奏である。 ジョージにとって最大の隠れた名曲ではないだろうか?

「This Guitar (Can’t Keep from Crying)」は、1974年の北米ツアーで受けた批判に応える形でジョージが書いた曲で、1975年12月にシングルとしてリリースされたが、これほど良い曲にも拘らず、驚いたことチャート入りを果たせなかった。「While My Guitar Gently Weeps」と比較されることはほぼ避けられず、ジョージが1968年に発表したそのアンセム曲の水準に達していなくても驚くほどのことではない。だが想像してみてほしい、もし「While My Guitar…」が存在していなかったどうだっただろう? 「This Guitar」はきっと、全く違った見方をされていたはず。これはそれほど優れた曲だからだ。この曲もフォスターのピアノ演奏と弦楽アレンジのスキルから恩恵を受けている。 ジョージのスライド・ギターが前面に押し出されているが、それ自体『Extra Texture』では稀なことだ。

ジョージは1992年、「This Guitar (Can’t Keep from Crying)」を、この曲でエレクトリック・ギターを弾いているデイヴ・スチュワートのためにデモとして再レコーディング。その10年後、スチュワートのプロジェクト『Platinum Weird』のために、リンゴがドラムを重ね、ダーニ・ハリスンがギターを、カーラ・ディオガルディがヴォーカルを加えた。それが本作のリマスター盤にボーナス・トラックとして収録されている。

「Can’t Stop Thinking About You」もまたソウル・ソングで、この曲を“ポップ”だと退けてしまう人もいるが、それは的外れだ。 ポップであることに何ら問題はないし、この曲にも問題など何一つない。この曲にはソウル的な感覚が漂っているにも拘らず、どこか『All Things Must Pass』を思わせるハーモニー・コーラスとバック・コーラスがあり、やはり典型的なジョージの曲だ。恐らく最も驚くべきは、この曲がシングルとしてリリースされなかったことだろう。

その他、誰もが納得のシングル「You」は、アルバム発売の2週間前にリリースされた。 英国ではBBCレディオ1の“今週のイチ押しシングル”に選ばれたにも拘らず、全英チャートで最高位38位に留まった。米国では、全米チャートのトップ20に2週間ランクインしている。 「You」には、カール・レイドルとジム・ゴードンが参加しており、1971年2月にレコーディング。その後間もなくして彼らは、デレク&ザ・ドミノスの2作目に着手したが、そのアルバムはお蔵入りとなった。

米国では1975年9月22日に、そして英国ではその2週間後にリリースされた『Extra Texture (Read All About It)』は、世間一般から称賛を受けることはできなかった——むしろその真逆だったと言える。 世の中の人々も批評家も、ジョージ・ハリスンのあらゆる作品に対して高い期待を抱いており、殆ど大抵の場合、彼らは判断の基準を、レビュー執筆時に聴いているものにではなく、過去の作品に置いていた。

また批評家達には、対処しなければならない問題がもう一つある。つまり、聴き込み不足の問題だ。 編集者は短時間でレビューを大量生産する必要があり、その音楽に必要な聴き込み込みレベルに達していなくても、急いでレビューを書かなくてはならないのだ。このアルバムも例外ではない。本作は晩成型であり、1970年代という不思議な年代の中盤に活躍していた、同時代のアーティストの作品の数々と比べても、遥かに時の流れに耐え得るアルバムであることが証明されている。本作はそれでも尚、全米チャートで8位を記録、全英でも16位となった。

もしあなたがこのアルバムを見落としていたとしたら、試しに聴いてみても決して失望することはないはずだ……。そして憶えておいていただきたい、1度聴いただけでは決して十分ではないことを。

- Richard Havers

ジョージ・ハリスンアーティストページ

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George Harrison - Extra Texture

 

 

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