第63回グラミー賞ノミネーション発表:クラシック部門の注目作品をご紹介

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Composer Max Richter. Photo: Mike Terry

11月24日(火)、第63回グラミー賞のノミネートが発表された。

今年のノミネーション発表には、新進気鋭のカントリースター、ミッキー・ゲイトン、伝説のメキシコ人シンガーソングライターで、複数のグラミー賞受賞歴を誇るペペ・アギラール、ナイジェリア出身のアフロポップ・シンガー、イェミ・アラデ、過去にもグラミー賞を受賞したクラシック・ヴァイオリン奏者のニコラ・ベネデッティ、コンテンポラリー・クリスチャン・シンガーのローレン・デイグル、2度のグラミー賞受賞歴を誇るアーティストのイモージェン・ヒープ、CBS朝のテレビ番組“CBSディス・モーニング”のキャスターのガイル・キング、同じく過去にも2度グラミー賞を受賞しているポップスターのデュア・リパ、そしてCBSのトーク番組“ザ・トーク”で司会を務めるシャロン・オズボーンなど、世界中から多彩な顔ぶれが参加した。

クラシック部門での注目すべきノミネート作品をピックアップしてご紹介する。

マックス・リヒター
『映画《アド・アストラ》オリジナル・サウンドトラック』

最優秀映像メディア・サウンドトラック部門
マックス・リヒターは、俳優ブラッド・ピット主演のSF映画『アド・アストラ』(ドイツ・グラモフォン)のサウンドトラックで、最優秀映像メディア・サウンドトラック部門にノミネートされた。今作は、ストリングス、エレクトロニクス、ボーカルを組み合わせた壮大なサウンドトラックで、ヴァニティ・フェア誌では「見事なシンフォニー」と評されている。

アヌーシュカ・シャンカール
『Love Letters』

最優秀グローバル・ミュージック・アルバム賞
シタール奏者アヌーシュカ・シャンカールは、アルバム『Love Letters』(Mercury KX)で最優秀グローバル・ミュージック・アルバム賞にノミネートされた。『Love Letters』には個人的な変化を綴った詞的な曲が収録されており、ソングライター、ミュージシャンとしての彼女の新しく、生々しい一面を見ることができる。

ダニール・トリフォノフ(ピアノ)ヤニック・ネゼ=セガン指揮フィラデルフィア管弦楽団
『ラフマニノフ:ピアノ協奏曲第1番・第3番』

最優秀クラシック・インストゥルメンタル・ソロ賞
リスト作品集でグラミー賞を受賞したことがある若手ナンバー・ワンのヴィルトゥオーソ・ピアニスト、ダニール・トリフォノフ。
技術的にも音楽的にも非常に高度な要求を奏者に求める難曲中の難曲言われ、映画《シャイン》でも有名な人気曲ピアノ協奏曲第3番を収録したアルバムでノミネートとなった。

チェチーリア・バルトリ(メッゾ・ソプラノ)ジョヴァンニ・アントニーニ指揮イル・ジャルディーノ・アルモニコ
『神の声~ファリネッリのためのアリア集』

最優秀クラシック・ヴォーカル・ソロ賞
メッゾ・ソプラノ歌手、チェチーリア・バルトリは、バロックのスーパースター、ファリネッリの足跡を辿るアルバム『神の声~ファリネッリのためのアリア集』(デッカ・クラシックス)で、最優秀クラシック・ヴォーカル・ソロ賞にノミネートされた。

トーマス・アデス
『ピアノと管弦楽のための協奏曲』

最優秀クラシック・インストゥルメンタル・ソロ賞
最優秀クラシック・コンペンディアム賞
最優秀現代クラシック作曲部門
指揮者、作曲家であるトーマス・アデスは、『ピアノと管弦楽のための協奏曲/死の舞踏』(ドイツ・グラモフォン)で3部門にノミネート。この作品は、聴衆からも批評家からも熱狂的な反響を呼び、現代音楽への惜しみない賞賛となった「ピアノと管弦楽のための協奏曲」のライヴ録音に、2013年の作品「死の舞踏」がカップリングされている。

グスターボ・ドゥダメル指揮ロサンゼルス・フィルハーモニック
『アイヴズ:交響曲全集』

最優秀オーケストラ演奏賞
最優秀アルバム技術賞
グスターボ・ドゥダメル指揮ロサンゼルス・フィルハーモニックの『アイヴズ:交響曲全集』(ドイツ・グラモフォン)は、最優秀オーケストラ演奏賞と最優秀アルバム技術賞の2つの賞にノミネートされた。ロサンゼルス・タイムズが『バーンスタインの名演を凌ぐものだった』と絶賛したチャールズ・アイヴスの交響曲全集のライヴ録音となっている。

以上のように、クラシック部門では、トーマス・アデスの『ピアノと管弦楽のための協奏曲』が3部門、グスターボ・ドゥダメルの『アイヴズ:交響曲全集』が2部門でノミネートされるという結果になっている。

グラミー賞の授賞式は、米時間2021年1月31日(日本時間2月1日)にロサンゼルスのステイプルズ・センターで開催(日本ではWOWOWで独占生中継される予定)。“ザ・デイリー・ショー”の司会者として知られ、過去にグラミー賞にもノミネートされていたコメディアンのトレバー・ノアが司会を務める。

各ノミネーションの対象アルバム/楽曲とアーティストなど、全部門の詳細リストはグラミー賞の公式サイトでご覧いただける。

クラシック部門の主なノミネート結果は以下の通り。

最優秀オーケストラ演奏賞
ASPECTS OF AMERICA – PULITZER EDITION – Oregon Symphony
CONCURRENCE – Iceland Symphony Orchestra
COPLAND: SYMPHONY NO. 3 – San Francisco Symphony
IVES: COMPLETE SYMPHONIES – Los Angeles Philharmonic
LUTOSłAWSKI: SYMPHONIES NOS. 2 & 3 – Finnish Radio Symphony Orchestra

最優秀オペラ・レコーディング賞
DELLO JOIO: THE TRIAL AT ROUEN – Boston Modern Orchestra Project; Odyssey Opera Chorus
FLOYD, C.: PRINCE OF PLAYERS – Milwaukee Symphony Orchestra; Florentine Opera Chorus
GERSHWIN: PORGY AND BESS – The Metropolitan Opera Orchestra; The Metropolitan Opera Chorus
HANDEL: AGRIPPINA – Il Pomo D’Oro
ZEMLINSKY: DER ZWERG – Orchestra Of The Deutsche Oper Berlin; Chorus Of The Deutsche Oper Berlin

最優秀コーラス歌唱賞
CARTHAGE – The Crossing
DANIELPOUR: THE PASSION OF YESHUAH – James K. Bass, J’Nai Bridges, Timothy Fallon, Kenneth Overton, Hila Plitmann & Matthew Worth; Buffalo Philharmonic Orchestra; Buffalo Philharmonic Chorus & UCLA Chamber Singers
KASTALSKY: REQUIEM – Joseph Charles Beutel & Anna Dennis; Orchestra Of St. Luke’s; Cathedral Choral Society, The Clarion Choir, Kansas City Chorale & The Saint Tikhon Choir
MORAVEC: SANCTUARY ROAD – Joshua Blue, Raehann Bryce-Davis, Dashon Burton, Malcolm J. Merriweather & Laquita Mitchell; Oratorio Society Of New York Orchestra; Oratorio Society Of New York Chorus
ONCE UPON A TIME – Sarah Walker; Skylark Vocal Ensemble

最優秀小編成アンサンブル・パフォーマンス賞
CONTEMPORARY VOICES – Pacifica Quartet
HEALING MODES – Brooklyn Rider
HEARNE, T.: PLACE – Ted Hearne, Steven Bradshaw, Sophia Byrd, Josephine Lee, Isaiah Robinson, Sol Ruiz, Ayanna Woods & Place Orchestra
HYNES: FIELDS – Devonté Hynes & Third Coast Percussion
THE SCHUMANN QUARTETS – Dover Quartet

最優秀クラシック・インストゥルメンタル・ソロ賞
ADÈS: CONCERTO FOR PIANO AND ORCHESTRA – Boston Symphony Orchestra
BEETHOVEN: COMPLETE PIANO SONATAS – Igor Levit
BOHEMIAN TALES – Charles Owen; Symphonieorchester Des Bayerischen Rundfunks
DESTINATION RACHMANINOV – ARRIVAL – The Philadelphia Orchestra
THEOFANIDIS: CONCERTO FOR VIOLA AND CHAMBER ORCHESTRA – Albany Symphony

最優秀クラシック・ヴォーカル・ソロ賞
AMERICAN COMPOSERS AT PLAY – WILLIAM BOLCOM, RICKY IAN GORDON, LORI LAITMAN, JOHN MUSTO – Stephen Powell
CLAIRIÈRES – SONGS BY LILI & NADIA BOULANGER – Nicholas Phan
FARINELLI – Il Giardino Armonico
A LAD’S LOVE – Katie Hyun, Michael Katz, Jessica Meyer, Reginald Mobley & Ben Russell
SMYTH: THE PRISON – Experiential Chorus; Experiential Orchestra

最優秀クラシック・コンペンディアム賞
ADÈS CONDUCTS ADÈS- Mark Stone & Christianne Stotijn; Thomas Adès, conductor; Nick Squire, producer
SAARIAHO: GRAAL THÉÂTRE; CIRCLE MAP; NEIGES; VERS TOI QUI ES SI LOIN – Clément Mao-Takacs, conductor; Hans Kipfer, producer
SEREBRIER: SYMPHONIC BACH VARIATIONS; LAMENTS AND HALLELUJAHS; FLUTE CONCERTO – José Serebrier, conductor; Jens Braun, producer
THOMAS, M.T.: FROM THE DIARY OF ANNE FRANK & MEDITATIONS ON RILKE – Isabel Leonard; Michael Tilson Thomas, conductor; Jack Vad, producer
WOOLF, L.P.: FIRE AND FLOOD – Matt Haimovitz; Julian Wachner, conductor; Blanton Alspaugh, producer

最優秀現代クラシック作曲部門
ADÈS: CONCERTO FOR PIANO AND ORCHESTRA -Thomas Adès, composer (Kirill Gerstein, Thomas Adès & Boston Symphony Orchestra)
DANIELPOUR: THE PASSION OF YESHUA – Richard Danielpour, composer (JoAnn Falletta, James K. Bass, Adam Luebke, UCLA Chamber Singers, Buffalo Philharmonic Orchestra & Buffalo Philharmonic Chorus)
FLOYD, C.: PRINCE OF PLAYERS – Carlisle Floyd, composer (William Boggs, Kate Royal, Keith Phares, Florentine Opera Chorus & Milwaukee Symphony Orchestra)
HEARNE, T.: PLACE – Ted Hearne, composer (Ted Hearne, Steven Bradshaw, Sophia Byrd, Josephine Lee, Isaiah Robinson, Sol Ruiz, Ayanna Woods & Place Orchestra)
ROUSE: SYMPHONY NO. 5 – Christopher Rouse, composer (Giancarlo Guerrero & Nashville Symphony)



 

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