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クランベリーズ「Linger」解説:初の全米ヒットを記録したドリーミーなポップ・アンセム

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Cover: Courtesy of Island Records

クランベリーズ(The Cranberries)の「Linger」ほど適切なタイトルのポップ・ソングがあっただろうか?(「Linger」はなかなか消えない,長引く,いつまでも残るという意味)

バンドの1993年のデビュー・アルバム『Everybody Else Is Doing It, So Why Can’t We?』のセカンド・シングルとしてリリースされ、バンドにとって初の全米ヒットとなったこのドリーミーなインディー・ポップ・アンセムは、その後も長く聴衆を魅了し、現在では彼らの代表曲のひとつとして受け入れられている。

この曲がバンドが初めて行ったリハーサルから生まれた曲だったことを考慮すれば、それはなんとも素晴らしい結果と言えるだろう。

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The Cranberries – Linger (Official Music Video)

 

ドロレスが語る楽曲の制作背景

ヴォーカルのドロレス・オリオーダンは、後にアイリッシュ・タイムズ紙のインタビューでこの曲についてこう振り返っている。

「“Linger”は、私たちが初めて書いた曲で、最初はメロディも歌詞もない、ただのコード・シェイプだった。そのテープを家に持ち帰って、ヴァースとコーラスをつけたんです。フラれた経験について書いたんだ。それがこんな重要な曲になるなんて当時は想像もしていなかったですね」

「Linger」のために彼女が書いた歌詞は、当時10代だったドロレスにとって非常にパーソナルな内容だった。若さゆえの無垢な気持ちを表現したこの歌詞は、彼女が故郷リムリックのクラブで出会い、恋心を抱いた男性との一夜にインスパイアされたものだ。

彼女はこう続けた。

「ある男性にダンスに誘われて、彼のことを素敵な人だなって思ったんです。そこで彼は私に初めて大人のキスをしてくれた。私はその余韻をずっと引きずっていました。また彼に会えるのが待ちきれなかった。でも次にディスコに行ったら、彼は私の前を素通りして、私の友達をダンスに誘ったの。ショックでした。あの日、ディスコにいたみんなが私が振られるところを見ていましたね。17歳のときはすべてがドラマチックだったから、それを歌詞にしたんです」

 

「Linger」がヒットするまで

「Linger」の初期の録音は、1990年のクランベリーズの最初のデモテープに収録されていたが、プロデューサーのスティーヴン・ストリートが編曲の仕上げを手伝い、アルバム『Everybody Else Is Doing It, So Why Can’t We?』のレコーディング・セッションでその魅力的なメロディを引き立てる巧妙な弦楽器が追加されたことで、初めてこの曲の真価が発揮された。

The Cranberries – Dreams (Dir: Peter Scammell) (Official Music Video)

この曲に確かな手応えを感じたバンドは、アルバムのファースト・シングル「Dreams」に続くシングルとして「Linger」を選んだ。「Dreams」は全英チャートでトップ30入りを記録したが、「Linger」はそれを上回る記録を残した。

ジャン=リュック・ゴダール監督の1965年のSFノワール映画『アルファヴィル』をモチーフにした、MTV向けの印象的なビデオの助けも借りて、「Linger」は全米チャートで8位まで上昇し、クランベリーズは『Everybody Else Is Doing It, So Why Can’t We?』と1994年の『No Need To Argue』でマルチ・プラチナム・セールスを記録する国際的な成功を収めていったのだが、バンドは「Linger」がなければこの成功は実現しなかったかもしれないと認めている。

ギタリストのノエル・ホーガンは、2019年のNMEのインタビューでこう語っている。

「ドロレスが亡くなってから、“Linger”や“Dreams”のような曲の良さがわかるようになったんです。僕らにとってはセットリストの中の1曲に過ぎなかったけど、僕ら以外のみんながこの曲に夢中だった。今聴くとあんなに若くして作ったこれらの曲がどれだけ素晴らしいのかがわかるけど、当時は決してそんな風には思っていませんでした。“Linger”は人生で何十万回も演奏してきたはずだし、ずっとライヴの定番曲になっていたけど、今は違うんです。今は違うんだ。僕たちは、それを残せたこと、そのレガシーを持てていることをとても幸運に思っています」

Written By Tim Peacock



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