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【独占記事】バリー・ギブとクラプトンらがプロデュース、P.P.アーノルドの秘蔵音源が発売

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アメリカのソウル・ヴォーカリストであるP.P.アーノルドの秘蔵音源である、バリー・ギブとエリック・クラプトンによるプロデュース作『The Turning Tide』がKundalini Musicより10月6日にリリースすることがわかった。1960年代から70年代にかけてレコーディングされたこの作品には、のちのデレク&ザ・ドミノズのメンバーが参加してる他、ミック・ジャガーとキース・リチャーズ、スティーヴ・ウィンウッドなどが書いた楽曲が収録されており、同時にP.P.アーノルドの自伝『The First Cut Is The Deepest』がSt James Publishingより出版されるほか、UKツアーも行われるという。

これらの曲は、ロサンゼルス生まれのシンガー、P.P.アーノルドの失われた逸話として長年語られていた。彼女と英国音楽シーンとの繋がりは、彼女がアイク&ティナ・ターナーのコーラス隊であるアイケッツのメンバーとしてイギリスに渡った際に、ミック・ジャガーの勧めでアンドリュー・ルーグ・オールダムが運営するイミディエイト・レーベルと契約したところから始まる。

P.P.アーノルドはスモール・フェイセスと共演したり、未だにキャット・スティーヴンスのヴァージョンがよく知られている「The First Cut Is The Deepest」をカヴァーし、1967年にUKトップ20を、そして数多くのイミディエイト・レーベルの作品の中から「Angel Of The Morning」ではトップ30を記録した。

自身のソロ作でUKでブレイクした後も、ニック・ドレイク、ドクター・ジョン、ピーター・ガブリエル、ロジャー・ウォーターズらと数多くの客演をこなし、1988年にはフィーチャリング・ヴォーカリストとして参加したビートマスターズの「Burn It Up」で再度UKトップ20を記録した。そして今年(2017年)の夏には、彼女とスモール・フェイセズ、そしてフロントマンのスティーヴ・マリオットとの関わりを描いた大ヒット・ミュージカル『All Or Nothing』が英国中で再演され、さらに9月には3度目となる海外公演ツアーが決定した。P.P.アーノルド自身の50周年記念ツアーも9月23日から行われ、2018年にはプロデューサーにオーシャン・カラー・シーンのスティーヴ・クラドックを、そしてポール・ウェラーのバンド・メンバーを迎えてニューアルバムのレコーディングを予定している。 

イミディエイト・レコードが1968年に閉鎖して以来、P.P.アーノルドはその頃手がけていたソロ・アルバムのリリースを画策し続けていた。当時、ロバート・スティグウッドのアシスタントをしていた故ジム・モリスは、ロバート・スティグウッドに見出されたビー・ジーズのバリー・ギブにP.P.アーノルドを紹介した。既にP.P.アーノルドのファンであったバリー・ギブは彼女のアルバムをプロデュースすることを約束した。

「彼と仕事が出来ると知って、とても興奮したわ」P.P.アーノルドは思い返す。「私はビー・ジーズの大ファンだったから私のセカンド・アルバム『Kafunta』で彼らの”To Love Somebody”のカヴァーを収録していたの。かなり長い期間を費やして練習やリハーサルを繰り返して、最終的にIBCスタジオに行ってレコーディングする時はとても嬉しかったのを覚えているわ」

2人は10曲をレコーディングし、そのうちの8曲が間も無くリリースされるアルバム『The Turning Tide』に収録されている。アレンジはビー・ジーズやジーン・ヴィンセントの作品を手がけたビル・シェパードによるものだ。この中には、バリー・ギブ自身が書いたタイトル・トラックと「Born」の他に、「Bury Me Down By The River」(弟のモーリス・ギブと共作)や「Spinning Wheel」、「You’ve Made Me So Happy」といったカヴァーも収録されている。

しかし、ビー・ジーズは自分達の急速に拡大していくキャリアに専念しなければならなくなり、セッション完了前に離脱、ロバート・スティグウッドは代わりにエリック・クラプトンをP.P.アーノルドと組ませることにした。そしてマネージャーは、エリック・クラプトンがブラインド・フェイス解散後に行ったデラニー&ボニー&フレンズとのツアーの前座にP.P.アーノルドを入れ込んだのだ。彼女のリズム隊には、後にイエスのギタリストとして名を馳せるスティーヴ・ハウに、硬派なロックで知られるアシュトン・ガードナー・アンド・ダイク、そしてヴォーカリストのレスリー・ダンカンとケイ・ガーナーという編成だった。

P.P.アーノルドのヴォーカルとライヴ・パフォーマンスに感激したエリック・クラプトンは、ロバート・スティグウッドの提案したプロデュースの役を快諾し、バリー・ギブと終えることができなかったセッションの続きを引き受けた。デラニー&ボニーのツアー・メンバーはその後デレク&ザ・ドミノズと名を変え、さらにリタ・クーリッジとドリス・トロイという名ヴォーカリストを迎えてP.P.アーノルド『The Turning Tide』セッションの続きをレコーディングした。

選ばれた曲には、ザ・ローリング・ストーンズの「You Can’t Always Get What You Want」、トラフィックの「Medicated Goo」(スティーヴ・ウィンウッドとジミー・ミラー作)、そしてヴァン・モリソンの「Brand New Day」があり、すべてエリック・クラプトンがプロデュースを手掛けている。さらに、当時既にエルトン・ジョンのバンド・メンバーであったギタリストのカレブ・クエイの書いた(そしてP.P.アーノルドと共同プロデュースした)「If This Were My World」、「Children Of The Last War」が加えられた。

残念ながら、これほどまでに著名なミュージシャンとのコラボレーション、バリー・ギブとエリック・クラプトンによってレコーディングされた作品にも関わらずこのアルバムはお蔵入りとなってしまう。以来、これを正式にリリースする事が、P.P.アーノルドの使命となった。そして、現在の彼女のマネージャーであるサリー・クレイドックとプロデューサーであるビル・レヴェンソンの助けにより数々の(当初協力的でなかった)出版社からの許諾を得る事がようやく出来たのである。

この新たなアルバムのミックスを手掛けたスティーヴ・クラドックは、ポール・ウェラーから彼が所有するブラック・バーン・スタジオの使用を許され、彼のエンジニアであるチャールズ・リースがアシスタントを務めた。

「この作品には、イミディエイト時代以降の私の成長と発展した過程が記録されているわ」とP.P.アーノルドは語る。「そして、私のキャリアの中で多くが失われた時代の中で、現役のソロ・アーティストとして生き残ろうと必死に戦う姿でもある。それを、この現代で聴いて体験出来ることにとても興奮しているし、素晴らしい記憶を辿る旅だわ」

Written by Paul Sexton


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